俺は埃だ。
ちょっとした思いつきから出来た小説です。埃ってどこにでもいるいうことからこんな話が出来ました。
俺は埃だ。
埃というのは大体あまり使わないものに貯まるものだ。そしてそこは格好の俺の住み処である。
俺の生い立ちは空気の塵だ。いつの間にか無限に広い空の中に現れ、このだだっ広い外の世界というものを風に流され、白い雲海を飛び世界を見下ろしていた身である。まぁジェット気流に流されたときは流石に目が回ったが楽しいに越したことはなかった。
そこから一気に転落した。いわば夢のような空を舞う時間は唐突に終わったのだ。
原因は人間という生き物が作ったジェット機。いつもならば衝撃波で飛ばされてヒャッハーとテンションMaxにスリルを楽しむはずだったのに……その時は運が悪く、エンジンの中に吸い込まれてしまった。
「えっ……ちょっ……嘘だろォォォー!!」
俺は埃だ。だからエンジンの中身など知らない。いや、入るなど考えもしなかった。自分という極小の粒が入るなど……認めたくないが入ってしまったものは仕方ない。
まぁ、他の仲間が悲鳴と共に中に吸い込まれていくのを何度も目撃していたからいつかは自分の番がくるだろうとは予期してたけどね。だが、まさか空気の流れがエンジンに向かうとは……。
エンジンルームに吸い込まれると物凄い騒音が自分を迎え入れてくれた。まったく中は夜みたいに真っ暗だ。さっさと外に排出してくれと暴風の如く風が流れる中、出口を探した。さっきの網みたいな穴が入口なら反対に出口だってあるはずと辺りを見渡した。
するとあることに気付く。そのまま反対側に通り抜ければいいんじゃね?と。
俺は埃だ。だから自分は何もすることはない。否。何もすることが出来ない。ただ風に流され、何処かへ抗うこともなく飛ばされ続ける存在だ。
だから俺は願う。この暴風が吹き荒れる銀色の箱から無事に吹き飛ばされ、再び空に投げ出されることを。そうすればまた、あの自由奔放な旅を続けることができる。
だが、不幸なことにそれはかなわなかった。何故なら俺は運悪くエンジンオイルと呼ばれているベタベタした粘着力のある壁に張り付いてしまったからだ。
「嘘……だろ」
この粘着したものに囚われた埃の末路は脱出できた仲間から聞いたことがある。ストレートに言って行方不明になるという末路だ。更に話を過剰に追加すれば噂だと地面という所に連れて行かれるらしい。
まさか……自分がそうなるなんて。嘘だ……。
外に目を向けると、段々と白い塊が上の方に遠ざかっていくのが見えた。それは自分のかつていた世界。
うぉォォォ―――!!
俺は連れて行かれた。地面という場所へ。そこで俺はどうなってしまうのか?暗い思考に陥りながらも
、悪あがきとばかりに黒いオイルの中で俺はもがき続けた。
飛行機が降下するときの風圧で更にエンジンルームの壁にべったりとくっついてしまったが。
元々の題名は
埃に誇りはあるのか~ゴミ箱の中の大論争~ です。
一応続きの話はあったりします。