光、始動
「…まさか本当に来るなんて思ってませんでした」
私は思わず呟きました。それほど入ってきた情報は信じられないものでした。
「頼みましたよ勇者様!」
「必ずオークキングを倒して下さい!」
城にいる皆さんが声をかけてきました。
「はい。任せて下さい!」
私は手を振りながら城門に向かいました。
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「…何でおれまで駆り出されるんだ?」
城壁の上に向かいながらルーシーに話しかけた。
「相手は七魔将の幹部ですからね。課長のサポートがあった方が戦いやすいと踏んだんでしょう」
ルーシーはメガネの位置を直しながらいった。
「そうか。魔力が切れかけてても使ってもらえるなんて光栄だな」
「…あんた顔とセリフが全く合ってないわよ」
声がした方を見ると呆れ顔をしたサヤがいた。
「皮肉だから当然だろう。サヤは軍義終わったのか?」
「ええ。と言っても光をどうサポートするかを話し合うくらいだったけどね」
サヤは事もなげに言った。
「どうでもいいけど魔力が切れかけってあんた裏で何やってたのよ。魔力なんていくらでも節約できるでしょうに」
サヤは無表情で聞いてきた。
「召喚獣は維持するのに魔力を食うからな。何日も出しっぱなしにしてたら消耗が激しいんだ」
「ふーん。そんな状態でよくあんなこと出来るものなのかしらねえ」
サヤは意味深に笑いながら言った。
「さあな。そんなことよりヒカリは大丈夫なのか?」
おれの言葉にサヤはピクリと反応した。
「負けることはないでしょうけど止めをさせるかは微妙ね。最低追い払うことは出来るけど後は正直状況次第だわ」
サヤは衝撃的なことをサラリと言ってのけた。
「…状況次第では命を奪えるのか?」
「ええ。…出来ちゃうからあの子は余計に苦しむのよね」
サヤは遠い目をして呟いた。
「ま、いずれは光も命を奪わないといけない時が来る可能性は高いわ。もし光が手を下すことになってもそんなことさせたオークキングが悪かったと割り切るしかないわね」
サヤはそう言っておれに背を向けた。
「とりあえず今は出来るだけのことをするしかないわ。後のことはそれから考えましょ」
「…そうだな」
おれたちはそれから一言も喋らないで城壁の上に向かった。
話が進まなくてすみません。次こそは話を進めたいです。




