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貴族派の挑発

「やーい。怖じ気づいたか愚民ども!」

「悔しかったら今すぐ出てこい腰抜け!」

城の前に布陣した貴族派たちは大声で騒いだ。

「安っぽい挑発ね。大方城から誘い出そうとしてるって所かしら」

あたしが呟くと弓兵隊長が頷いた。

「でしょうねえ。ま、誘い出した所で勝つ手段なんてありゃしないでしょうが」

弓兵隊長の言葉にあたしの部隊の隊員たちは頷いた。

「そうとも限らないわよ?もしかしたら思いもよらない罠が仕掛けてあったりするかもしれないじゃない」

あたしは内心賛同しつつも、可能性の1つとして適当にそんなことを言ってみた。

「…あの人にそんなやる気があるんでしょうか?」

貴族の子が意味ありげに言った。

「何でやる気ないなんて言えるの?」

「だっておね…隊長が言ってたことを考えるとそうとしか…」

貴族の子は何か含みのある口調で言った。

「そんな具体性に欠けることを言われても何を言ってるかわからないわ」

あたしがそう言って笑ってみせると貴族の子は頬を赤く染めた。あたしそういう趣味ないんだけど。


「…ま、細かい話は置いておきまして、あいつらかなりうっとうしくねえですか?」

弓兵隊長がうんざりしたように言った。

「出撃は許さないわ。こんな所で無駄に命を散らしてどうするのよ」

あたしがそう言うと隊員たちはいきり立った。

「で、ですがそれでは気がおさまりません!」

「そうです。貴族派なんかすぐ散らせばいいじゃないですか!」

まあ気持ちはわかるわ。そりゃ何であんなザコ共に好き放題言われないといけないんだって思ってもおかしくないでしょうよ。

「だからと言って怒りにまかせて罠に突っ込んでどうするのよ。大体こっちから攻めないのはオークキングを釣り出すためよ?蹴散らしたら警戒して出てこなくなるじゃない」

あたしの言葉に隊員たちは歯を食い縛りながら耐えている。やっぱり頭ではわかってても感情的には納得できてないんでしょうね。

「とにかく今は我慢してなさい」

あたしはそれだけ言って隊員たちに背を向けた。


--

「震えてないで打って出ろこの臆病」

罵倒していた宮廷騎士の横を一筋の光がかすめた。光は旗に当たり、根元からへし折った。そして大きな穴を空けて地面に落ちた。

「…これは矢ですね」

ネルキソスは誰の目から見ても明らかなことを呟いた。

「ば、バカな!私でさえあの距離から当てることはできないのだぞ!」

最近評判ががた落ちした弓の名家が驚きながら叫んだ。

「ありえない話ではないでしょう。向こうには『魔眼』がいるのですから」

ネルキソスはうさんくさい笑みを浮かべながら言った。

「バカな。『魔眼』の名などただの虚仮脅しのはずだ!」 

自己紹介をし出した弓の名家の目の前で沙夜は懐からメガネを取り出した。そして身につけて不適に笑った。

「う、うわああああ!」

沙夜の顔を見た弓の名家は叫び声を上げて逃げ出した。

「い、一体どうしたと言うんだ?!」

「大方件の弓のお大会で負けた相手が『魔眼』だったんでしょう。どの道あの距離からでも届くとわかった以上陣を下げた方がいいですね。万が一のために罠は残しておきましょう」

ネルキソスはそう言うと貴族派に指示を出し、自分たちだけ早々と転移した。






更新が遅れてすみません。次はあまり話が進まない可能性が高いのであらかじめご了承下さい。

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