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あ、ありのまま今目の起こったことを説明します。金田さんがイドルさんに魔法を放ったと思ったら、その魔法が金田さんに真っ直ぐ向かって行って金田さんに直撃し大爆発を起こしました。

「…誰に説明してるのよ。それにしてもどうなってるのかしら?あんなかっこつけてたんだから自滅を選んだわけじゃないでしょうし」

沙夜ちゃんはあごに手を当てながら言いました。

「わかりません。金田さんの魔法陣の上で何かが動いたことだけはわかったんですけど」

私がそう言うと沙夜ちゃんはゆっくりと顔を私に向けました。

「金田の魔法陣で何か動いた?それはたしかなの?」

「はい。ものすごい早さだったのでかろうじて見えただけですけど」

本当にあれは何だったんでしょう?一瞬でよくわかりませんでした。


「…なるほどね。そんなことができればそりゃ無双でしょうよ」

沙夜ちゃんは目を閉じて額をおさえながら溜息をつきました。

「え、イドルさん何かしたんですか?もしかして魔法ではね返したとか?」

「いえ。そんなチャチな物じゃなくてもっと根本的にヤバい物よ。イドルは」

沙夜ちゃんは言葉を切ってチェリルちゃん、ロべリアさん、エリザさん、ルーシーさんを見ました。

「―――攻撃対象を自分にするように魔法陣を書き換えた。違う?」

沙夜ちゃんの言葉に4人は固まりました。どうやら図星のようですね。

「魔法陣を書き換えたって…。そんなことやられたら魔法使いどうすればいいんでしょうか?」

「ほぼどうしようもないわね。この世界の魔法は魔法陣が全てよ。魔法陣に書かれた術式は確実に発動するようになってるわ。それを都合がいいように書き換えられたらたまったものじゃないでしょうよ」

沙夜ちゃんはそう言って肩をすくめました。


「でもそんなすごい方法があるなら何で誰もやらないんでしょうか?」

「…言われてみるとそうでありますね」

私とエリザさんは顔を見合わせて首を傾げました。

「そう簡単にできないからですわ。魔法陣を書き換えるには相手の魔法陣を見極めて、どのように書き換えればいいのか考えなければいけませんの。かなりの魔法陣についての知識がないととてもできない芸当ですわ」

なるほど。魔法陣にくわしくないとできないというわけですか。

「それだけではありません。魔法陣の書き換えには展開できる魔筆の数、魔筆を動かす速さと正確さが重要になって来ます。その上で魔法陣を瞬時に見定める判断力が必要です。そのような芸当ができるのはこの大陸でイドル様以外におりません!」

ルーシーさんがメガネを光らせながら捲し立てました。


「まだ学生だったころにあれを初めて見た時には驚いたものだ。まあ最初は不発させるだけで精一杯だったんだが、それでも私にとっては衝撃だったよ」

ロべリアさんは懐かしそうな口調で言いました。

「ロべリアさんとイドルさんって同じ学校に通ってたんですか?」

「ああ。あの時はイドルと私とあいつの3人でよくつるんでよくバカやってたな」

…お姫様がバカやるのっていいんでしょうか?まあ何か事情があったかもしれないので深くは追及しませんけど。

「その人は今どうしてるんですか?」

「城に勤めてる。今頃笑いながら見てるだろうさ」

ロべリアさんはどこか遠くを見るような感じで言いました。


「ふーん。それはそうと爆発がおさまったみたいよ」

沙夜ちゃんの言葉で闘技場を見ると、血塗れで半裸の金田さんがビクビクと痙攣してました。

『試合終了!勝者イドル・マギスニカ!』

審判さんが宣言すると闘技場中から歓声が上がりました。宮廷騎士団の人たちが大慌てで闘技場に乱入して金田さんを運び出しました。

「…金田さん大丈夫なんでしょうか?」

「何とも言えないわね。一応鎧のおかげで即死だけは避けられてるみたいだけど」

沙夜ちゃんに言われて舞台を見てみると金田さんがいた辺りに砕けた金属片が散らばってました。

「すごい威力ですわね。やはり腐っても勇者ですのね」

チェリルちゃんは軽く驚いた顔をしながら言いました。

「それだけではありません。あの光の玉の術式はかなり複雑です。普通1ヶ月かそこらで習得できるものではありません。土壇場でいきなりあのような魔法陣を組めるのが勇者の潜在能力ということでしょうか」

ルーシーさんはそう言ってメガネを直しながら言いました。


「何にしても勇者が負けたんだから貴族派はすぐに仕掛けるしかないだろうな。魔王軍が背後にいる以上このまま引き下がるわけがな い。おそらく戦力も資金も乏しいから短期決戦で来るだろう」

ロべリアさんは冷静な口調で言いました。

「問題なのは魔王軍がどう出るかね。金田を騙さないといけないからあまり大っぴらには動けないだろうけど何か仕込んでくるかもしれないわ。場合によっては勇者にしか対処できない事態になるかもしれないけどやれる?」

沙夜ちゃんは複雑そうな目で私を見ました。きっと沙夜ちゃんはわかってるんでしょう。私が誰かが死んだり誰かを殺したりすることを恐れてるということも、死ぬのが怖いということも。

「…やってみせます。それで罪なき人たちを救えるのなら」

私がそれでも立ち止まらないことも。

「そう」

沙夜ちゃんは私に寂しそうに微笑みかけました。


やっと更新できました。遅くなった上にグダグダになってしまってすみません。

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