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討伐完了

「ギャハハ。本当に1人で来てやがる!」

中に入ると沙夜ちゃんが言った通り5人の盗賊がいました。服装から見て真ん中の人がボスみたいですね。

「たった1人でおれたちに勝てると思ってるのか」

「大人しくしてたらかわいがってやるぞ。ぐへへへ」

盗賊がいやらしい目付きで話しかけてきました。

「人数差なんて関係ありません。あなたたちがこれ以上悪事を重ねるなら止める。それだけの話です」


「下っぱを倒したからっていい気になるなよ。あんな使えないやつらとおれたちを一緒にするな!」

盗賊のボスらしき人が怒りで顔を歪めながらどなりました。

「自分のために戦ってくれた人にそんな言い方をするなんて…。あなたは仲間を何だと思ってるんですか!」

「仲間?はっ。部下なんかただの道具でしかねーよ!使えないやつなんかただのゴミだ」

ボスらしき人はニヤリと笑いながら言いました。

「なぜそんなことが平気で言えるんですか。あなたは指導者の器ではありません」

「ゴチャゴチャうるせえ!やっちまえ野郎共!」

ボスらしき人がそう言うと盗賊たちは構えました。盗賊にしては構えが洗練されてますね。きっと厳しく鍛えられてきたんでしょう。

「…あなたは何のために剣を習って来たんですか?このようなことに使うとせっかくの腕が泣きますよ」

私は居合いの構えを取りながらいいました。


「だ、黙れ!」

盗賊が走って来たのでみぞおちにぶつかる位置に刀を出しました。すごい勢いで自滅しましたが峰打ちなので大丈夫でしょう。

「ぐほっ」

盗賊は苦悶の声を上げて倒れこみました。

「てめええ!」

今度は二人同時に左右から斬りかかってきました。私は右から来た盗賊をあしらい刀で地面に激しく叩きつけ、左から来た盗賊は首筋に手刀をくらわせました。

「ひ、ひい!」

上からやみくもに斬りかかってきた相手の剣を遠くに弾き飛ばし、その勢いで上に飛び上がって頭を強打しました。峰打ちじゃなかったら多分真っ二つでしょう。


「後はあなただけです。大人しく降伏して下さい」

私はボスらしき人の首に刀をつきつけながら言いました。

「はっ。あんたにおれが斬れるのか?」

「…今はその機会ではありません。話を聞きだすためにあなたを生かしておく必要がありますからね」

私がそう言うとボスらしき人は両手を上げました。

「はいはい降参…なんて言うと思ったか!」

ボスらしき人は悪どい笑みを浮かべました。

「誰がおれたちが5人だけだって言った!そいつに矢を放て!」

ボスらしき人が叫びましたが何も起こりません。

「ど、どうした!なぜ射たない!」

ボスらしき人はわめきましたが何も起こりません。まあそれは当然でしょう。

「私1人で来たなんて言いましたっけ」

私がそう言うと沙夜ちゃんが岩陰から出てきました。


ーー

「な、何だお前!隠れてたやつらはどうした!」

人相書きに描いてあったのと同じ悪人面をしたボスが聞いてきた。

「眠らせておいたわ。これからの末路を考えると永眠した方がよかったかもしれないけどね」

あたしがそう言うとボスは顔を醜く歪めた。

「ギャハハハ。バカか。おれたちは領主と繋がってんだぞ。たかが冒険者の言うことなんか簡単に握り潰せるんだよ!」

ボスは調子に乗ってまくし立てた。


「わかったら大人しくしてろ!『ファイヤーボール』!」

ボスはいきなり火の玉を撃ってきた。

「『ライトシールド』」

光が唱えると白い盾が火の玉を防いだ。

「ひ、光属性だと?!バカな!勇者は貴族の味方のはずだ!」

ボスは顔を青くしてうろたえた。

「それは勇者(笑)の方よ。光をあんなのと一緒にしないでほしいわ」

あたしがそう言うとボスは絶望的な顔で光を見た。腕で勝てないのはわかりきってるし、相手が勇者じゃ領主程度では握り潰すこともできない。おまけに味方もいないんじゃ完全に詰んでるとしか言いようがないわね。

「降参、してくれますよね?」

光の言葉にボスは武器を捨てて激しく頷いた。


―――

「…これで任務完了ですね」

ボスと他の盗賊を連れて洞窟から転移して騎士団に引き渡すと、光は涙を人指し指でぬぐって横に弾き飛ばした。光のこの仕草を見ると終わったって感じがするわね。

「ええ。これで1つ目の任務は終わったわね」

あたしがそう言うと光はあたしの顔をじっと見た。

「…やっぱりこういう盗賊はまだいると思いますか?」

「多分ね。そしてそいつらの討伐にあたしたちが駆り出されることは確定事項よ」

あたしがそう言うと光はあたしに不安そうにあたしの目を見た。

「…沙夜ちゃんはついてきてくれますか?」

…はあ。本当に光はバカね。不安でたまらないくせにあたしが危険な目に合うことを心配してるなんて。そんなこと考えずについて来いって言えばいいのにね。

「当たり前よ」

あたしが光の手を握って答えると、光ははにかんだ笑みを浮かべた。







盗賊討伐はこれで終わりです。次からはもっと貴族派をもっと追い詰めていく予定です。

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