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盗賊討伐

「…ここですね沙夜ちゃん」

隣にいた光が真剣な顔で聞いてきた。

「そうね。聞いた情報とも一致するし、かなりの人がいる気配を感じるわ。ここで間違いないでしょうね」

あたしは目の前の洞窟を見た。正直こんな所をアジトにするやつらの気が知れないわね。ま、気づかれにくいのは認めるけどね。

「私たち二人だけで行くんですよね?大丈夫なんでしょうか?」

光が不安そうな顔で聞いてきた。

「まあ何とかなるでしょ。いざとなれば待機してる騎士団に合図を飛ばせばいいしね」

あたしは洞窟の中を探りながら光に返した。

「…少し自信が出てきました。これ以上盗賊さんたちに苦しめられる人を出さないためにもがんばりましょう!」

光は真剣な顔で言った。その瞳には決意と悲しみが同居している。本当は例え盗賊でも傷つけなくないんでしょうね。

「そうね。早く片付けちゃいましょう」

あたしは光に頷いた。


今回あたしたちに与えられた任務は盗賊団の討伐だ。何でもある貴族の領地にある山の洞窟を本拠地にしてるらしい。でもどうもキナ臭いのよね。そこの貴族は一度も討伐隊を出してないし、その貴族の領地では貴族に不満を漏らした人だけが狙われてるらしい。これは盗賊とその貴族がつながってると見た方がいいわね。王はそのことをつかんでいて、あたしたちの力を示すと同時に貴族派の力を削ぐつもりなんでしょうね。

「ま、どうせやることは変わらないか」

「?何か言いました」

光が不思議そうな顔をで聞いてきた。

「何でもないわ。とにかく入りましょう」

「はい!」

あたしと光は洞窟へと足を進めた。


「…ずいぶん狭いですね」

光は魔法で前を照らしながら言った。

「ええ。一応魔法で探っては見たけど実際入るとまた違うわね」

見た所人一人分の広さしかない。あたしたちでも2列に並ぶのはきついんだから盗賊は言わずもがなという所ね。

「これじゃあまり自由に動けませんね」

光は辺りを見回しながら言った。

「それは向こうも同じよ。むしろ人数差を気にしなくていい分こっちの方が有利だわ」

普通なら攻めて来た方が苦戦するでしょうけどね。まさか2人で来るなんて誰も思ってないでしょう。

「挟み撃ちには注意しといた方がいいわね。あたしも探ってはいるけど光も背後と罠には注意しときなさい」

「はい」

光は小声で答えると慎重に前を歩き出した。


しばらく歩いていると誰かの話し声が聞こえてきた。

「あーダリい。何で見張りなんかやらないといけないんだよ」

あたしは立ち止まった光の後ろから覗き込んだ。見るとそれなりに開けた所で男2人が佇んでいた。

「おい、そんなこと言ってるとボスに怒られるぞ」

「だって事実じゃねーか。領主と繋がってるおれたちに手出し出来るやつなんていねーよ」

男の言葉を聞いてもあたしはやっぱりそうかとしか思わなかった。元から予想はついてたしね。


「領主と盗賊が繋がってるなんて…。あの人たちが言ってることは本当なんでしょうか?」

光は信じられないという顔をした。予想外の展開にショックを受けてるみたいね。

「多分ね。そうじゃなきゃ他の領地やここの貴族に都合が悪いやつしか狙われてない理由が説明できないわよ」

「…ここの領主は一体何で盗賊と手を組んだんですか?」

光は険しい顔をしてあたしに尋ねた。

「さあね。私腹を肥やすためとか都合が悪いやつを消すためとかそういう理由じゃない?」

あたしがそう言うと光はあたしが止める間もなく隠れてた所から飛び出した。


「だ、誰だ…って何だ女じゃねーか」

「道にでも迷ったのかいお嬢ちゃん?」

盗賊は光にニタニタと気持ち悪い笑いを浮かべながら話し掛けた。

「いいえ。あなたたちの悪事を止めに来ました」

光はそう言って鞘から刀を抜いて構えた。

「ヒャハハ!おれたちを止める?ずいぶん命知らずじゃねーか。お望み通りたっぷりかわいがってやるよ!」

ダルそうな男は盗賊には似合わない立派な剣を構えた。さすが貴族と繋がってるだけあるわね。

「行くぜ!おらー!」

ダルそうな男が光に向かって斬りかかった。

「ふっ!」

光は向かってくる相手をいなして峰打ちで背中を叩きつけた。

「ぐげっ」

ダルそうな男はものすごい音を上げて壁に激突した。あれヘタしたら峰打ちでも死んでるわね。


「次はあなたです!…あれ?」

光はもう1人の男の姿が見えないのを見て首を傾げた。

「光が構えた時にはもう奥に消えてたわ。構えでヤバいって感じ取ったのかもね」

光はあたしの方を振り向いた。すると光の顔がサーっと青くなった。

「ご、ごめんなさい!こっそり潜入するはずだったのに頭に血が上ってしまいました。おまけに目撃した人を取り逃がしてしまうなんて…」

光は涙目で頭を下げた。こうやって自分の非をすぐ認めることができるのが光のいい所ね。

「気にしないでいいわ。どうせ殲滅しなくちゃいけないんだからやることは変わらないしね。それにここの方が何かと都合がいいわ。そうじゃなきゃ逃げた瞬間射ってたわよ」

あたしは黒い弓を光の目の前につきつけた。

「ここで盗賊を迎え撃つわ。作戦を説明するから盗賊が来るまでに覚えてね」

あたしは倒れた盗賊を縛り上げてから、作戦を説明するために口を開いた。

今回はここで切ります。少し短いかもしれません。長くても次々回には盗賊討伐を終わらせる予定です。

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