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出逢った話

【現在】


 辺りを見渡すと、右には結衣…コードネーム《紅色の薔薇姫》、私の唯一の妹。

 私の周りを囲うのは、同じグループに所属している仲間が、結衣の他に5人。多いため説明は省かせていただく、こちらはまた後ほど。

 目の前には、華奢な肉体に完璧な顔立ちを持った美少女。現在進行形で対戦している強敵であり、1年前の宿敵でもある。……相手が覚えているかは別として。


ーーーーどうすればっ、


 何故だろう、今現在またもや主人公は“選択”に追われている。その経緯とは……

【1年前】


 主人公は、お洒落な街並みに紛れる時計塔の最上階、高くて死角が多い位置でターゲットに狙いを定めている。入社したての主人公にはハードルが高過ぎた。そう… 高過ぎた のだ。


 そんな主人公に背後から銃を向ける人影が1つ。主人公が気付けるはずもなかった。しかし、その人影もまた、弱かった。そう… 弱かった のだ。


 案の定、主人公はターゲットに銃の弾を放つ。

 案の定、人影も主人公に銃の弾を放つ。


ーーーーばんっ‼︎


ーーーー何故か、弾はどちらも命中した。おそらくまぐれだ。


 そして、結果は命中したが場所は大違いである。

 主人公の放った弾はターゲットの頭へ。人影の放った弾は主人公の太ももへ。もちろん、どちらも普通であればなかなか致命傷だった。普通であれば。


 主人公にとってのターゲットは、ばたりと卒倒し、周りには人集りが出来始めている。


 一方で時計塔の最上階には主人公、それはもう名家の生まれで、なんと便利な身体を持っていることか。


ーーーーこの程度はかすり傷。

ーーーー1発しかくらってないから1ヶ月で完治。

ーーーー痛いけどっ‼︎


 撃たれたことに対する主人公の内心思っていたことであった。

 そう、どんな傷も、怪我をした1時間後に死んでいなければ、1ヶ月ほどあれば余裕で完治。そんな強靭な身体を持っているのが、この物語の主人公である。俗に言うスーパー最強系主人公であった。

 そんなことは言っても怪我したては普通の人と変わらない痛みが押し寄せるのは、いつものことである。


「っっっっ〜〜‼︎」


 その場にしゃがみ込み、その数秒後、うめき声が喉に押し寄せた。かすり傷だと思っていても、身体はやはり慣れてくれないらしい。


 一方その頃、お洒落な街並みの一部では人騒ぎが起こっていた。世の中が戦国だったとしても、機能している街だって所々には存在しているので、救急車や警察のような役割を担ったサイレンが鳴り響く。


 時計塔の最上階では、主人公の太ももから血が流れ落ちる。けれど、本来の人間に比べて明らかに出血量が少ないことを人影が悟ったのであろう、咄嗟に逃げ出した。

 しかし、人影は去り際、振り返ってしまった。そして主人公は見た、いや、見てしまった。その顔立ちを。


その弱かったが運だけは少しあった人影、いや、コードネーム《掃除屋リーゼ》としておこう。聡明さがあり、可愛さをも兼ね備えている整った顔立ち。

 それは完璧に出来上がっていた。


 何故だろう、《掃除屋リーゼ》のことを主人公は忘れることができなくなったのは。彼女が美しかったから?それとも、自分の事を初めて撃った運命の宿敵だから?もしくは、運が良くも悪くもあったから?


 そんな事は、問うまでも無い。何故なら、誰に聞いたとてその答えは分からないからである。また、基本的に怠惰である主人公に、今の状況でそんな事を考える気力は残っていなかったのも、また事実。どうでも良い、が本心であった。


 そんな状況であるが、今、この業界に入ってからは初めてである“選択”が主人公に押し寄せていた。


Q1,彼女のことを、『追いかける』or『撃つ』


 何もしない訳にはいかなかったので、その選択肢は主人公には無い。

 さて、主人公はどちらを選んだであろう。誰でも、考えれば分かるはずである。


 主人公なりの答えは見つかった。では、その答え合わせに入る。



ーーーーどっちにしろ無理だ…出来ないっ!


 何故こうなったのか。それは、主人公が怯んだからではない。もちろん、何もしない選択肢を選んでしまった訳でも無い。

 そう、主人公は怪我をしている。追いかけるなんて不可能。流石のスーパー最強系主人公でも、怪我したてで止血もしていないのに全力で走って追いかけるなんて凄技は無理がある。

 そこで、本来なら『撃つ』という選択をとるはずである。それならば、何故にそれをしなかったか。


 それは、もうその判断をした頃には目の前に《掃除屋リーゼ》の姿がある訳が無かった。


 そう、この依頼は主人公にとって初めての仕事であり、主人公はまだ入りたての新人だ。なぜそんな主人公に咄嗟に完璧な判断が出来ると思ったか。さらには、いくらスーパー最強系主人公であっても、初任務で瞬時に銃を出してしまう天才技は出来ないに決まっている。この物語はどっかの主人公戦闘無双系統の漫画でもあるまい。(あまり変わらないかもしれないが)


 話が逸れたが……、

そんな天才技を華麗に決めるには業界での経歴が少なくとも3年以上は必要である。

 そんなこんなで、主人公は放心してその場に立ち尽くした。いや、正確には撃たれた後しゃがみ込んだまま、ただたださっきまで《掃除屋リーゼ》が居た位置を眺めていた。

 このころの主人公にその名前が分かるはずもなく、《掃除屋リーゼ》だってこのコードネームが付いたのは半年後の話である。


【現在の数時間前】


 そんなこんなで1年ほど経ち、お互い忘れかけている…かと思いきやそうでもなかった。

 お互い、初の成功任務、失敗任務である。単純に考えみても忘れる方が難しいであろう。


 そんな時、道端で出逢った。


 いや、出逢ってしまったのだ。

読んでくださり、ありがとうございましたー!!

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