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魔王の姉、はじめました。 ──〈魔王がポンコツだから私がやる。〉Re:Novel Edition  作者: さくらんぼん
第05章 : 【カエデ】ど天然ポンコツ勇者カエデ流浪編
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#楓005:天然勇者カエデ、街で入城拒否される

 こんにちは! カエデです!


 あ! 今度はちゃんと紹介しますね!

 この子はウィルソン556世。

 とてもとても大切な友達の良い形の石です。

 その辺に落ちてました。


 きゃあ!? またモンスターだ!


「くらえ! ウィルソン☆ファイヤー!」


 ふぅ。なんとか逃げ切れました。


「あ。……ふふ……これはまた良い形ね。

 あは。こんにちは。ウィルソン557世」


【カエデのスキル:『ウィルソンを投げつける』のレベルが 556 になりました。】


「あ! わーい! またレベルが上がった!」


 凄いんですよ!


 このスキルのレベルが上がるたびに狙ったところに

 ウィルソンが飛んでいくようになってるんです!

 

 大抵のモンスターは目、眉間、鼻の下、顎のどれかに

 ウィルソンをぶつければ簡単に逃げられるんですよ!


 でも、良い子はマネしちゃダメですよ?


 あれ? 王都から放り出されて……何日目だったっけ?

 数えてたはずなのに、もう分からなくなっちゃった。


 お風呂入りたいなぁ……ちゃんとした布団で寝たいなぁ…

 草はもう飽きたなぁ……ちゃんとしたご飯が食べたいなぁ…


 ……この街道はどこまで続いてるのかなぁ…


 *


 そしてさらに数日後……素晴らしい光景が私の視界に入ったのです!


 そう! 待望の街です!

 街を見つけましたー! やったー!


「やったよ! 街だよー! ウィルソン835世!」


 私は街までスキップしました。


 その辺のスキップじゃないです。


 両手を腰にあてて笑顔で首を左右に振るちゃんとしたスキップですからね!

 略してガチップです。


 そして街の入り口には衛兵さんが居ました。

 衛兵さんは剣を抜き、身構えていました。


「あの……街に入りたいのですが……」


 私はおそるおそる衛兵さんに話しかけました。


「あ……ああ……言葉は話せるのか……

 み、身分を証明するものはあるか?」


「いえ、ありません…」


「あんなガチスキップでここに来た奴は初めてでな……

 奇行種かと思ったんだ……少し調べさせてもらうぞ」


 なんということでしょう! ガチスキップが仇になるとは!


「まずは持ち物を確認させてもらう事になるが構わないか?」


「あ、はい。持ち物はこの袋だけです」


 私は唯一の持ち物である袋を見せた。


「この袋には何が入っている?」


 衛兵さんはいぶかしげな表情で私に確認してきます。


「少しのお金とウィルソン……いいえ、良い形の石が 1,000 個ほど……」


 お金は国外追放される時にヨハネさんがくれました。


「む。確かにこれらは良い形だな。石屋なのか?」


 ウィルソン達が褒められて少し嬉しかったです。


「いえ。違います。通りすがりの美少女です」


「……びしょ……?……

 そ、そうか…自分で言うタイプか……

 あまり関わりたく無いが……」


「冒険者ですか?」


「いえ、通りすがりの美少女です」


「商人ですか?」


「いえ、通りすがりの美少女です」


「……」


「……」


 沈黙。遠くからカラスの鳴き声。


「そ、そういえばお前はどこから来た?」


「はい。オサカの王都からです」


「え? ここまで徒歩で? 1人で?

 道中は危険なモンスターだらけだが……」


「あ、はい。まぁ……なんとか……」


「まぁいい。他に持ち物は無いのか?」


「あとはこの聖剣と聖靴と聖盾です。」


「ハンガーとスリッパと……黒い魔道具?

 まぁいい。武器になるような物は持って無さそうだしな。

 通って良いぞ」


「あ、ありがとうございます!

 この三つはちゃんとした武器です!

 あまりにも失礼じゃないですか!?」


「……もう関わりたく無い……斬るか……」


 衛兵さんが爽やかな笑顔で剣を抜いたので私はそそくさと逃げました。


 ──こうして私は無事に街にたどり着くことができました!


「街……街! 街だあーッ!

 もうビクビクしながら生活する必要は無いんだ……安全なんだー!」


「わーい! まずは宿屋に! お風呂! ご飯! 布団!」


 私はガチップで街を進みました。


「わっしょい! わっしょい! え? 違う?

 でも合ってる気がしてきたからOKです!! どすこい! どすこい!」


 私は嬉しさのあまり立ち止まって張り手をして壁に鉄砲を繰り返しました。

 街がざわついた気がしましたが、嬉しさでそんなの気にもなりませんでした。


 そして! とうとう念願の宿屋を見つけました!


「宿屋だ!!! 嬉しい! 嬉しい! 嬉しい!」


 私のガチップの速度が上がります!


 あとに聞いた話だと、左右に振る首が高速すぎて振ってないのかと思ったという人もいました。


 *


 その後、私のガチップ姿を見ていた宿屋の店主から


「さっき "奇行種" みたいな動きしてたアンタか……

 申し訳ないけど……うちはトラブルはごめんなんでね」


 と言われて宿泊NGをくらいました。


「あれ……? どうして……?

 私、ただちゃんとした布団で寝たかっただけなのに……。

 ご飯も食べたかっただけなのに……。ウィルソン、また野宿だね……」


 涙をぐっと堪えて空を見上げる。


 満天の星空が、ぼやけて滲んだ。


 今は空を……空を見ています。星が、星が……とても綺麗です。


(つづく)



 ◇◇◇



──【今週のカエデ語録】──


『わっしょい! わっしょい! え? 違う?

 でも合ってる気がしてきたからOKです!! どすこい! どすこい!』


解説:

合ってなくても、楽しければOK。

意味は分からなくても、気持ちが前なら進める。

テンションで押し切る、それがカエデ式ど天然道。

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