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魔王の姉、はじめました。 ──〈魔王がポンコツだから私がやる。〉Re:Novel Edition  作者: さくらんぼん
第04章:【サクラ】ポンコツ魔王軍(2名・Lv1)結成!
18/27

#桜012:新スキル:鮭取り(※異世界に鮭は居ない)

 ダンジョンに静けさが戻る。


 魔王軍の初戦闘は、なんだかんだで終わった。

 今日はクマを食べて寝る。


 魔王の間に運び込んだはいいが、私たちは料理ができない。

 つまり──焼く。以上。


 調理室の隅で火を起こし、クマ型モンスターの肉を串に刺して炙る。


 ジュワッ。

 脂が落ちて、炎が小さく跳ねた。煙が立つ。

 獣っぽい匂いと、焼けた肉の匂いが混ざって、腹の奥が勝手に鳴る。


「いやー……人間だった頃の私なら、こんなの絶対ムリだったけどねぇ……」


(今は腹が勝つ。人間、負け。)


 一口。


 ……うまい。

 血の臭みがない。脂が甘い。

 それだけで、世界をちょっと許せる気がした。


(人間やめるの、案外うまいな……)


「ビバ! ジビエ!」


「お姉ちゃん、肉もっと焼くねー☆」


「はーい。お願いしまーす」


(うん、もう気にしない。美味しければそれでいい)


 私は串を指先でくるくる回し、二口目にいった。


 その時。


 ──ぺったん♪

 

 【新スキルを習得しました!】


====================

【新スキル習得】:冬眠(Lv1)

 → 体温を低下させて長期間の省エネ生存が可能になります。

====================


「え……なにこれ?

 クマの肉食べたら……冬眠……?

 できるようになったんだけど……?」


 スキル欄に "冬眠" の文字が追加された瞬間、私は静かに目を閉じた。


 ……しばらく虚空を見つめる。周囲がとても静かだ。


 エストの鼻歌だけが響く。

 焼けた肉の匂いだけが、やけに強く残る。


 調理しているエストの声が、遠くなる。

 世界は変わらないのに、私だけが変わっていく気がした。


「……スキル……なのこれ……?」


 ギャグみたいなスキルだ。

 でも、なぜか笑えなかった。


 ──なんか、嫌な予感しかしない。直感が脳裏をよぎる。


(私、このままずっとネタスキルしか覚えないのでは?)


(……うん。きっと何かの間違いだ)


 私は串を置いた。そっと深呼吸する。


 すぅ。


 焦げた肉の匂いが、少しだけ心を落ち着けてくれた。


 こないだ "偏食" から進化した "暴食" ってスキルの効果か!?


 ──ぺぺぺぺったん♪

 

 【暴食を解析しました】


====================

【パッシブスキル】:暴食(自動発動)

 → 七つの大罪の一つ。倒した/食べた対象の特性を確率でスキル化します。

====================


「おおおおお?……チートだ!」


 顔を擦り付けるようにステータス画面を確認する。


「これ絶対チートだよね!?

 異世界転生者についてる系のやつだよね!?」


(やっと来た……まともそうなスキル……!)


 私は鼻息荒く、勝利宣言を叫んだ。


「エスト様ぁあ!私、どうやら!

 "食べたらスキル取れる"タイプのチーターですッ!!」


「えええー!?

 めっちゃレアだよそれ!? すごいじゃん!」


「見てください! "冬眠" です!!」


 ──ぺったんこぉー♪


====================

【スキル一覧・抜粋】

・怪力(Lv10)←殴りすぎ

・偏食(Lv5)←野菜嫌い進行中

・暴食(Lv3)←ネタスキル量産機

・冬眠(Lv1)

 → 体温を低下させて食料の少ない冬季間を過ごす事ができる。

 ←NEW!←役に立つかは未定!

====================


「おおお! 冬眠ッ!!」


……こぉー♪ ……ぉー♪

しずかに響き渡る効果音。


「……とう……?」 「……みん……?」


 私とエストの声が重なる。


「……。」 「……。」


 炎がパチ、と小さく弾けた。


「……と、ととととと冬眠? 私、何か悪いことした…!?」


「お姉ちゃん! 泣かないで!」


『冬眠は役に立たないように見えて、実は強力な生存スキルです。

 しかし、サクラのような「動いてないと死ぬようなタイプ」には、概ね向いてません』


また来たよ。天の声。暇かお前。


「うるせーぞ!?」


(……でもチートって分かったのは、ちょっと嬉しい)


(……でも、なんでクマの冬眠が、スキルになるんだ?

 やっぱり私、この世界に遊ばれてる?)


『……"暴食"は巡りを乱す』


(え? ……なに今の語り口)


『サクラ。お前は未だ気づかぬ。己が、世界の"鍵"に触れていることを』


(え、ちょ、マジで何なのこのナレーション!?)


『……まぁゴミみたいなスキルしか覚えないけどな』


「最後に台無しにすんなや!!」


 ──ぺったん♪

 

【大サービス!新スキルを習得!】


====================

【新スキル習得】:鮭取り(Lv1)

 → 川で鮭を取るのが上手くなる。

  ※鮭限定です。異世界には居ないかも。

====================



 ……は?



「……こいつぅううううううう!!!」



 *



「鮭取り……このスキル使うとどうなるんだろ? 使って──」


【スキル:鮭取り 発動── 】


「おい! 勝手に発動したぞ!?」


 間。


【周囲に鮭がいないため、代わりに"似たもの"を召喚します】


「ん? 似たもの!?」


 ズゴゴゴゴゴ……



【召喚対象:魔界超サーモンキング (Lv999)】



「ちょ! 待てやあああああァァァ!!」



(つづく)



 ◇◇◇



──【グレート・ムダ様語録:今週の心の支え】──


『成長に努力は不要だ。利用できるものは全て利用しろ。』


解説:

ムダ様の「努力不要」は怠惰のすすめではない。

"努力"って言葉を口にした瞬間、負けたと思ってる。

努力してる時点で、世界に使われてる。

利用してる奴は、世界を使ってる。

ムダ様は"使う側"だ。


だから言う。

「利用できるものは全部使え」

──敵の怒りも、観客の歓声も、照明の熱すらも。


ムダ様はかつて言った。

「リングに上がる時点で、空気も武器だ。呼吸で勝て」

意味はわからない。

でも聞いた奴は納得した。勢いがあったからだ。

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