9 初めての狩り
「目撃情報や発生パターンから、藤沢の廃工場が有力で本日、四門四家で殲滅作戦を決行したく集まってもらいました」
「はぁ、何か不安しかありませんが・・・」
「大丈夫だ、屍鬼はそんなに動きは速くない」
(無責任親父をぶってやりたい・・・)
「突然、実戦になり大変恐縮ですがよろしくお願いします。こちらのバトルドレスユニフォームに着替えて、プロテクターを装着して下さい」
青いアーバン系迷彩のBDUが渡される。市販のカラーと違うのはブルーアーバン・タイガーストライプになっている。
「派手ですね」
「仲間を見分けられるように派手にしてあります。暗い所も見えるし人の匂いが分かる屍鬼に、完全は迷彩は意味ないですから」
「この小さい手榴弾?みたいな奴は」
「中身はすりおろしニンニクです、レバーを握ってピンを抜いて、レバー離して5秒後に爆破します」
「やっぱりそれは苦手なんだ!」
「はいそうです。すぐに着替えて下さい1時間後出発します」
◾️◾️◾️◾️
荒下神社の別部屋で着替え大部屋に戻ると、机の上に工場の間取り図がある。寸法も書いてあるがそんなに大きな工場では無いようだ。
工藤さんと金子さんが説明を始めた。
工場の持ち主曰く、工場移転後しばらく倉庫として利用していたので、中は機械など無くガラガラだそうだ。
「南の大扉から突入します、中は暗いと思うのでこの4方向から投光器で照らします。3箇所の扉も開きます。南大扉は合間親子で、北は望月さん、東は河辺さん、西は荒下さんでお願いします」
『了解』
「2日前に数体屍鬼が居るのが確認されています。カーミラを発見した場合はインカムで連絡お願いします。すぐにそちらへ向かいます」
『了解』
「各人サポート3人づつ着きますので宜しくお願いします。では行きましょう!」
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「渡した時計が15時15分になったら一斉に突入します。では配置して下さい。」
3分前だ、親父が兼元を抜く、それにならい俺も天河を抜く。
時間だ!サポート3人が大扉を開く。
屍鬼が目の前に3体いる。
「赤気!」
左右の屍鬼の首が飛ぶ。
「寒風!吹雪!」
親父が右端の一体を抜きながら倒し、そのまま前の4体に襲いかかり殲滅する。
奥に向かって走る。
前から一体現れ柱の陰から1体現れ前後を挟まれる。
「白気!」
前後の2体を屠る。
(ん?静流さんか?)
無表情の静流さんが遠間にいる敵を前に突っ立っている。
突然、片手下段から恐ろしい身体のバネ力で前に飛ぶ。
「歪形…」
遠間に居た2体が吹き飛ぶ。
更に横の柱から5体ほど現れる。
無表情に眺めている。
「ゆらぎ…」
左右の柱から出て来た5体は床に転がる。
(静流さん怖っ!)
「下藤」
剣を肩に担ぎ刃を上にした望月さんが数体蹴散らし現れる。直江志津が煌めく、惚れ惚れするほど美しい剣だ。
「淡海!」
横一文字に屍鬼が斬られ床に転がる。河辺さんだ。
「ん?これは・・・」
望月さんが口を開いた。
「屍鬼は多かったけどね」
静流さんが答える。
「カーミラは居なかったのか?」
河辺さんだ。
「皆さん一旦、工藤さんと金子さんの所に戻りましょう」
親父が抜刀したまま回れ右して南大扉へ歩きだす。
皆もそれに続く。