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1 大学にて

『まただって!怖いわよねー』

『湘南怖くて行かれないよ!』

『首切るって話しよ?』

『首切るってスッと切るんじゃ無くて斬首だってよ!』

『それってどんな馬鹿力だよ・・・』

『その首を眺めて舐めるらしいぞ!食ってるのかな?』

『食事中にやめてよ!食べれないよ!』


楽しいコミュニティの場である大学の学食が、物騒な話題で溢れている。

「おはよー(あきら)。はぁ?また学校でそれ食べてるの?」

長い黒髪で色白、お嬢様モデル風美人の志乃(しの)が隣に座る。

「口臭がするでしょ!せめて海苔塩かうす塩にしなさいよ」

「それはそうなんだけどね、でもこのガーリックの味も香りも好きなんだよねぇ」

「キスするとその香りなのよ!せめて食べたあとは牛乳飲んで歯を磨きなさいよ!」


俺は合間明(こうまあきら)

東京の御茶ノ水にある国秀院大学政治経済学部の20歳の大学2年生だ。

隣に座るのは幼馴染で実家も隣で医学部・開間志乃(かいましの)。かなり優秀で、80年前に居た伝説の女医・紺野サエの生まれ変わりと言われている。 


実は彼女は俺の婚約者だ。

志乃の親と志乃とうちの親父の推しで婚約した。卒業後結婚する事になっている。

志乃の事は好きだったので問題はないが、その時はちょっと強引でびっくりした。


「何食べようか?」

「いつものでいいんじゃ無い?」

ナポリタンの皿を持ったカップルが目の前に座る。


男女のカップルがこっちに歩いて来る。

「またガーリックのポテチなの?ちょっとは違うの食べなさいよ!」

「お前達もナポリタンばっかりじゃないか?たまにはペペロンチーノでも頼んでみろよ!」

「・・・ほんとニンニク好きね?でも学食のメニューにペペロンチーノ無いわよ?」

「・・・それはマジで知らなかった」

「このウインナーとピーマンだけのシンプルさが良いんだよ」

「タマネギは?」

「ダメだ水っぽくなるだろ?」

「そうよ!わかって無いんだから!」

「ふーん、変なこだわりだな」

2人のナポリタンにポテチを乗っけてやる。

神と絵里はポテチを摘んで口に放り込む。

「う〜ん、やっぱり私はうす塩派だわ!」

「ポテチより煎餅だな・・・」


目の前2人も幼馴染で家も4件並びだ。

男は蔵間神(くらましん)

女の方は僧間絵里(そうまえり)

恋人同士でともに文学部だ。

2人共に高校を卒業して金髪に染めているが、なかなか西洋風の顔立ちなのでとても似合う。


俺が[合間(こうま)]で志乃が[開間(かいま)]、神が[蔵間(くらま)]で絵里は[僧間(そうま)]。


4人とも苗字に[間]が付くしだいたい一緒に居たから、4間sと言う事でシマズとか呼ばれていた。

4人のリーダーは志乃だ。

神と絵里は俺の言う事は聞かないが、何故か志乃が言う事は聞く。

そう言う事で自然と志乃がリーダー的存在だ。


2人の話題も昨日のニュースだ。

「夜の連続通り魔恐ろしいな、頭だけ持ち帰るとか怖いな」

「コレクションでもしているのかしら?」

「頭が旨いからじゃ無いか?」

「ああ、そう言うことなのね、美味しい物は取っておくのね」

「シラス丼食べに行かれないよね」

「新鮮な釜揚げシラス美味いよなぁ・・・」

「えー何?そこ?」

(全く神と絵里は何か緊張感が無い?まぁいつもこんな感じか?)


◾️◾️◾️◾️


幼馴染と別れ1時から外国書講読の講義に出た。アメリカのモンロー主義について英文で説明されている。

まぁ大した内容では無い。 


90分の授業を終えた明は校内の駐輪場に行き、艶消しパープルのダホン・ボードウォークを引き出す。

カットライク・タコのメットを被り皇居方面にゆっくり漕ぎ出す。

今日のように暑くも寒くも無い時のチャリは気持ち良い。

乃木神社を超え40分程で渋谷の自宅に着く。


いつもはRG400ガンマで通学している。

渋谷から御茶ノ水まではガンマで20分。

電車でも20分。

自転車でも40分ほどだ。

天気の良い日は自転車で行くようにしている。

まぁガンマが2ストロークエンジンで大食いだと言う理由もある。


2ストは圧縮比が低いのでレギュラーガソリンでOKなのだが、いかんせん燃費が悪い。

家に着き鞄を置いて工具とプラグを持ってガレージに向かう。

先週ガンマのプラグを奥多摩仕用の9番の冷え型から、街乗りの8番に交換する。

焼け具合を見ながら順番に交換していく。

やはり3番シリンダーがカブリ気味だ。


この400ガンマは2代目だ。最初の愛車ウォルターウルフ400ガンマは椿ラインで、対向車のセンターラインオーバーで突っ込まれた。車身体は大丈夫だったが愛車は一発で廃車だ。


最初のウォルターウルフガンマも3番シリンダーはカブリ気味だったから、もしかしたらこれは設計レベルの問題なのかも知れない。


この時代のバイクはメーカー仕様による色々と変なクセがある。足回りは当時流行りのアンチノーズダイブサスに16インチタイヤだ。

これがコーナーでは16インチが巻き込むようにインに入り、アンチノーズダイブサスがストロークを抑え、路面の追従性が悪くなり限界が下がりフロントから一気にコケる恐ろしいクソなシステムだ。


従ってコーナーは本気で攻めると危ないが、俺は直線番長のコイツが気に入っている。

アクセルを捻るとリアの4本のチャンバーから、カストロの焼ける匂いと共に真っ白な白煙が吹き出る。

後ろが見えなくなるぐらいだ。 

ロケットの発射のように煙と共に宇宙に飛び出しそうな感じがワクワクする。

オイルも一緒に飛んで背中にオイルのシミが出来るのはご愛嬌だ。


先日ルーニーのチャンバーを手に入れたのでスタイリッシュになった気がする。

カウルを外し丸目のセミビキニカウルにし、暗めのガンメタにオールペンしているので渋めのマシンに仕上がっている。


メットはもちろんA G Vでカラーリングはバリーシーンだ。

世界チャンピオンになってもプライド1ことゼッケン1をつけずに、自分のラッキーナンバー7をつけていた。

この時代のゼッケン7といえばバリーだ。


エリザベス女王に「貴方の馬より私の馬の方が速い!」っとサーの叙勲の時に言い放った楽しい男だ。

ケニーロバーツなどのアメリカンスタイルレーサーが多くなる中、最速のヨーロピアンスタイルレーサーであった。

そんなバリーの話をネットで見聞きしてガンマを購入した。


プラグを変え終わり部屋に工具を置きに行く。

親父に呼ばれたのでリビングに向かう。





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