5.遊び
テレビ画面には怪獣の映像が流れていた。その怪獣は自衛隊の戦闘機と戦っている。
リビングのテレビの前では、子供2人がレゴブロックと恐竜のフィギュアをいくつも出して遊んでいる。
レゴブロックは翼のある乗り物を10機以上作り、ひとかたまりにしてある。そして恐竜は乗り物たちの向かいに何十匹も並べられている。
乗り物 対 恐竜。
そんなところだろうと思う。きっと後ろで流れているテレビの影響だ。テレビから流れてくる怪獣の映像や音を取り込み、そのまま再現しているに違いない。
子供は何でも吸収してしまうのだなと思った。
ある日。
テレビで行方不明の男性のニュースが流れていた。
するとテレビの前で遊んでいた子供達が、恐竜のフィギュアを片手に、奇妙な行動を始めた。
「たすけてー!ぶくぶくぶく!」
もう1人は頭を抱えている。
「やばい、やばーい!」
叫びながら、顔は笑っている。
「なにしてるの?」
「遊んでるのー。」
「なんの遊び?」
「分かんなーい。」
そしてすぐに「たすけてー!」「やばーい!」という遊びが再開された。「嫌な感じの遊びだな」と思った時だった。
ニュースの続きが耳に入ってきた。
『友人数人と川に遊びに行き行方不明になっていた男性ですが、川の下流で発見されていたそうです。発見時には意識は無く、病院に運ばれましたが先程亡くなったそうです。男性は友人数人と遊んでいていて、目を離した隙に1人が居なくなってしまったということでした。川遊びをする際は・・・』
「たすけてー! ぶくぶくぶく!」
「やばーい! やばーい!」
子供達を見た。この子達は、なぜ突然こんな遊びを始めたのだろうか。これはただの偶然なのだろうか。