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2.白いワンピースの女性


 先日不思議な体験をしたが、この話をしても友達は信じてくれなかった。それはそうだ。たしかにこんな話、作り話にしか思えないだろう。


 だけど、あの女性は誰だったのか。

 どうしてあんな格好をしていたのか。

 なぜ私の考えが分かったのか。


 今でも気になっている。



♦︎



 友達と別れた後だった。


 夕方の駅前。信号の前に行くと、赤信号だった。立ち止まって周りを見ると、買い物袋を下げたおばさん、スーツ姿のおじさん、自転車に乗った男の子、他校の学生がいた。向かいの横断歩道の前にも、ちらほら人が立っている。その奥に、気になる人影が見えた。



 白いワンピースを着た女性だった。



 それだけなら気にならなかったのだが、この女性は長い髪を顔の前に垂らし、手や足に包帯を巻き、びっこをひいて歩いている。周囲の人と違う雰囲気を放っていた。

 かなり目立っていると思い、眉をひそめた。だが不思議なことに、周りにいる人はワンピースの女性を見る素振りもなければ、避けることもしなかった。学生の集団が笑いながら横を通り過ぎるが、誰も女性を気にしていない。



 なんか変だな・・・。



 そう思ったが、友達は既に帰ってしまったので、誰にも話すことができない。あの女性は他の人には見えていないのだろうか。私は遠くの女性を見つめた。


 信号が青に変わった。数人の人とすれ違う。横断歩道を渡り切ると、白いワンピースの女性がぎこちない足取りで私の前を歩いていた。


 足を一歩踏み出す。また一歩踏み出す。その度に、女性との距離が縮んでしまう。




 この人、生きてないな。

 



 直感で分かった。そう思ったが、女性の横を通らなければ家には帰れない。仕方がないので、下を向いたまま歩き続けた。



 地面を睨む。

 左斜め前に、女性の足が見える。

 その足が、ピタリと止まった。



 気付かないふりをして、息を止めて横を通り過ぎる。



 そのまま何事もなく通過することができた。

 ほっとして、安堵のため息を吐いた。







































「どうして分かったの?」




















 驚いて後ろを振り向くと、白いワンピースの女性はいなくなっていた。


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