第18話 更にやべえ奴、登場!
魔神クラスのナイトメア・メーカー、ノウエーが放ったトルネード攻撃をモロに喰らったダンサー。満身創痍状態にも関わらず、サンタに引けをとらない負けん気の強さと根性で立ち上がると、歯を食いしばって渾身の一撃を放つ。
ダンサーが放った超絶雷光がノウエーの頭上に落とされ、電撃が全身を突き抜ける。
その衝撃で周囲一体が強力な電磁波に包まれた。
「こいつでどうだよ、ズタボロになりやがれー!」
ダンサーが声を絞って張り上げたその時、ノウエーの周囲を包囲するように走っていたはずの電磁波がリフレクトされた。反射された電磁波が無数の雷光の刃となってダンサーを襲う!
立っているのも必死のダンサーは避ける術を持たず、いくつかの雷光が直撃!
持てる力を出し切った直後に大ダメージを受けてしまう。
そのまま力尽きて地に突っ伏したダンサーの意識が徐々に遠退いていく。
「 ーーーーー!! 」
ダンサーが雷光の直撃を受けて倒れ込む様を、一歩も動けずに見守っていただけのダッシャーとキューピッドは、声にならない叫びを上げた。
「まったく、小娘の分際で私の自慢の銀髪を焦しやがるとは・・・死んで報いなさい!」
ほぼ無傷状態のノウエーは右手に魔導力の塊をつくり出すと、地に這いつくばるように倒れているダンサーにでトドメの一撃を放つ・・・と、その時!!
突如、ノウエーの背後の空間が歪み始める。
背後に膨大な魔力を感じ取ったノウエーは咄嗟にその場から離れ身構える。
歪んだ空間は天から地へと縦に亀裂が走り、裂けた空間から悍ましく、そして暴力的で圧倒的な邪気が放出された。
同時に裂けた向こう側から、圧倒的且つ悍ましい邪気を帯びた何かがこちらの空間に入り込もうとしている。
空間の裂け目から少し距離のある位置にいるダッシャーとキューピッドでさえ、その悍ましい邪気に気圧されてしまって身動きが取れない。
さらに思念なのか、それとも声なのか判別のつかない得体の知れない言葉が漏れ聞こえてくる。
「随分と俺を小馬鹿にしてくれたなあ・・・ノウエー・・・貴様が出っ歯野郎の犬だったとはな・・・」
まるで地の底から響くような声が空間全体に響き渡った。
ノウエーがその声の正体に気がついたその時、
今度は流星のような赤い物体がノウエーの頭上に降り注ぐ。
「チッ! 今度はなんだ」
何者かの声に気を取られたせいで、赤い塊の接近を感知するタイミングが遅れた。
「うおりゃぁぁぁああ!」
男の息吹とでもいうかのような咆哮と共にノウエーが地面に叩き伏せられる。
そのあまりに凄まじい衝撃に地面が揺らぎまくった。
「なに!?・・・あれは? 」
「まさか・・・ありゃあ・・・サンタ、なのか?」
キューピッドとダッシャーは、足元が揺らぎバランスを崩しそうになりながらも、ノウエーの頭上に降り立つ赤い物体を注視する。
その姿は紛れもなくサンタ・クルーズであった。
目の前に起きた光景に呆然とする二人。
しかし、さらに圧倒的な邪気が二人を覆い尽くす。
先ほどの空間の裂け目に視線を戻すと、悍ましい邪気と共に漆黒の魔神が出現した。
「今度は・・・な、なに・・・あれ魔神クラスだわ・・・なんて禍々しいの」
「マジ・・かよ、もう何が起きても驚くことはないと思ったけど、やっぱりダメだ・・・
なんだよ、このプレッシャーは・・・どうにもならねえ・・・」
嘆くダッシャーを尻目に、漆黒の魔神は視線をノウエーに向けると口角を上げた。そのまま疾風の如く一直線にノウエーとサンタに向かって猛進。
迫り来る凄まじいプレッシャーを感じ取ったのは当然サンタだけでなくノウエーも同様である。
しかし、ノウエーの上に跨るように立っていたサンタは身構える間も無く、漆黒の魔神の体当たりによって弾き飛ばされてしまう。
同時にその場を離脱しようとしたノウエーを片手で鷲掴んで再び地面に叩きつけた。
「まさか・・・ア、アレス様・・・どうして・・」
常に冷静なノウエーが若干取り乱したような物言いとなる。
「貴様・・・この俺がこんなところへわざわざ出向いたのだ。もう理解しておろうがあ!」
まさに強襲!
漆黒の魔神ナイトメアメーカー卿アレスが顕現した。




