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慈悲深き少年、ケイ。

夕方には大宴会となっていた。

 明らかに三十人は入っていた。大入りだった。

 スラム街の子供で、ケイの知り合いというのが条件だった。最初は、スラム街の人間なら誰でもいい、という尾ひれがついていたが、流石にそれはミーシャが破産するとレーナが助け舟を出してケイ少年とナナさんと、話しを聞いてやってきたスラム街の顔役との話し合いの末(ケイ少年の名がスラム街でも結構知れ渡っていたのもミーシャを助けた)この人数で手打となった。

 それでも、三十人のお腹を空かせた子供達の食欲はすさまじく、レーナの施しのおかげでミーシャのテーブルには黒パンに、なんと! スープとソーセージがついたのだ!

「私、呪われているのかな…」とミーシャは暗い顔でソーセージをつつく、流石にレーナも言葉が出ない。そこへ「今日は本当にありがとう」とケイ少年はお礼を言いに来た。

 パッと明るくミーシャは微笑み「いいのよ、私冒険者だし、宵越しのお金は持たない主義だし!!」レーナはついさっきとは別の理由で言葉が出ない。

「それでも、ありがとう、ここ最近の干ばつのせいで、スラムじゃ食糧の配給が滞っていて、まともな食事にもありつけなかった奴もいて…」

「…まあ…」と言ったのはミーシャで。

「…そうだったの…」と言ったのはレーナだった。

「ケイ君のように自発的に何とかしようとする人も、居るには居るのですが…」と冒険者ギルドの受付嬢のナナが口をはさむ。

「ジャイアントボア一頭じゃあ、腹いっぱいにはならないけど、狩の練習は将来、冒険者になるのに欠かせない技術だから、今習っておいて損は無いと、だけどやっぱり腹は減るのは仕方が無い…実はそのことで言い争いになりそうだった…、だから冒険者になれば、こういう食事ができるって事を教えるいい機会と思って、あんたにたかるみたいな手を使っちまった。ごめんなさい!」

「「…わ、私達は気にしていないから!!」」そう二人は言う。

「本当に姉さん達がいい人で良かった」そう言ってケイ少年は、改めて頭を下げる。

 そしてナナは、ミーシャのつけ払いの借用書をビリッっと引き裂いた。

 その夜、冒険者ギルドの向かいにある宿に“格安で”泊めてもらった部屋で、二人は話し合う。

「これで、信用してもらえたかしら」

「こ、心が痛い…」

 ミーシャが胸を押さえる、「…私もよ…」レーナも胸を押さえたかった、だがそれよりも今は自分たちの祖国、ローサル国からの任務を遂行しなければ、自分達の帰る場所が無くなってしまうのだ。



こういうお話しも良いよね。あと2人の思惑は一体…。ブックマークやご感想等々お待ちしております。

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