ミーシャとレーナ、その3.
方や、それなりに整った顔と肢体をもつが、ドラゴンの角にコンプレックスを持つために、男との間を詰められず、生娘のままの、レーナ・オズワルド。
方や、美しい顔とナイスなボディーを手に入れたが、(恋多き女)のレッテルを貼られ、色々な男から言い寄られているが、未だ処女の、ミーシャ・レイン。
そのことを知る、数少ない人々から付けられたあだ名は、そのものズバリ。
“ミスフォーチュン・ペア”とよばれている二人組は、泣き泣きファルゴス王国の冒険者ギルドへ入った。
「い、いらっしゃいませー」
「ランダスの冒険者ギルドのメンバーカードよ(グスン)」
「ファルゴスでも、問題なく使えると聞いたわ(しくしく)」
ファルゴスの冒険者ギルドの受付嬢のナナは、はっきり言って困っていた。
メンバーカードにではない、それを見せている二人に、である。
一人は『恋多きバーサーカー、麗しのミーシャ』
もう一人は『ドラゴン・ウィッチ、レーナ』
色々とやらかしていると聞く、特に男の関係で、その二人が泣きながらカードを見せているのが問題だった。
(すでに、なにかやらかしたか…)ナナはそう理解した、何かあったのは事実だが、二人は今回被害者なのだがナナの耳には入っていない、なのでこの誤解での今のナナの第一印象は、(厄介なのが来たなー…)というものだった。
「はい、ランダス王国のメンバーカードでも仕事の斡旋は問題いなく出来ます、ですが一応書類の審査は必要なので、字がお書きできないのであれば、職員が代筆致しますが」
ナナはチラリと職員室の扉を見る、少しだけ空いた扉のすき間から、期待(おもにミーシャに対する)と、不安(おもにレーナに対する)の入り混じった視線をナナは感じる。
「「いえ、字は書けるので」」と言って書類をもって二人は、壁際のテーブルへ行ってしまう。
カウンターの奥の扉から、おもに失望の気配が強くなる。
(貴方たち、そんなに露骨だと殺されるわよ!)とナナは笑みを浮かべながら、冷や汗をかくも、二人組は黙々と書類を文字で埋めていく。
安堵のため息を小さくつくナナ、そこへ、玄関の扉が勢いよく開かれると。
「ナナさん、帰ったよー!」
と言って一人の少年が、元気よくギルドの中に入って来る。
えっと。だいたいこれで登場人物は出そろって…、いません! あいつは中盤にならないと登場しません! …あの、ストーリーブレイカー…。