天災級魔法、その2.
「あんな物に集中放射されたらわたし達終わりだね」アルテアはそんな恐ろしい事を、気楽なおしゃべりの様に言う。それは何故かと言うと、あの“天災級魔法”にそんな事が出来るのなら、もうすでにおこなっていると思っていたからだった。
「アレ、一応あいつの血液だぞ? そんな事をしたら血液不足で動ける訳がない。でも何で俺達への攻撃を続けるんだ?」ケイは冷静にそして疑問に思った事を口にだす。
「…お前、それ本気で言っているのか? アレの元、つまり上位デーモンとお前は二回戦っていて。その内の一回は殺しているんじゃあなかったか?」アルテアの冷静な突っ込みに、ケイは無言で自分の頭を叩く。
「そ、それよりも、アレの倒し方解らないか?」ケイの無理やりな話しの曲げ方に何か言おうと思ったアルテアだったが、“天災級魔法”からの攻撃が周りの自然にシャレにならないダメージを与えているのを見渡すと。ウーンと唸る。
「【天空の鉄槌】や【大地の怒り】はすぐにでも使えるが、あの“天災級魔法”に…」アルテアが
“天災級魔法”と口にすると。
「天災級魔法? 何なんだよ、それは。初めて聞いたぞ?!」案の定ケイが口を挿む。
「ああ、ケイ坊やは魔導師の世界には疎かったか、良いかよく聞け、今の魔術の世界では【天空の鉄槌】のような”災害級魔法“より強力な魔術の研究がされている、その一つに今わたしが口にした”天災級魔法“がある。その効果は”災害級魔法“の破壊力を”出来るだけ長く“維持すると言うのだ。馬鹿馬鹿しい話しだろ?」アルテアはそう口にするが、声には熱がこもっている。
ケイは元上位デーモンだった存在を指さし「じゃあ、あれがアルテアあんたの言う…」
「ああ、偶然に、偶然が重なって出来たとは言え間違いない。わたしが目にした初めての“天災級魔法”だ!」
「……アルテア、あんたは“天災級魔法”をどうしたいんだ?」ケイは自分の声に冷たいモノが含められているのを感じつつ、アルテアに聞く。
「決まっている!」アルテアの声には熱いものが含まれていた。
「あんなモノは破壊する! アレは存在してはいけない!!」アルテアはそう言い放つ。
「“天災級魔法”の研究は続けるが、アノ“天災級魔法”は再現しない。わたしの両親に誓う!」
アルテアが熱いのはアノ“天災級魔法”とやらをどうやって止めるかで頭の中がいっぱいだからだった。ケイは内心ホッとする。
「で、アルテア。あんたはアレをどうやって止めるんだい?」ケイはそう軽く聞くが。
「それなんだよ、問題は【天空の鉄槌】や【大地の怒り】はアレを止めるには使えない。この地を死の土地にしてしまうからねぇ」アルテアはウーンと唸る。
「おいおい、魔王のあんたがそんな事で大丈夫なのか?」ケイが眉をひそめて聞く。
「今思いつかないのなら、工房で研究──お? 羽を広げた!」何! ケイが顔を向ける。
確かに“天災級魔法”は、六枚の羽を大きく広げて行く。
さて、天災級魔法のお話も2話目。
二人はどうやって止めるのか?




