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オーナー

 上位デーモンの口(?)元から生える触手の一本がヌルリと持ち上がり、風切り音を上げてケイに伸びる。

「おっと」そんなあまり緊張感のない声をあげて左へよけるケイ。

 デーモンはそんなケイに向かって第ニ、第三の触手を伸ばすが、ケイの足の方が早い。

 ケイはこれも左へ、左へとデーモンを中心に時計回りで触手をかわす。

 そんなケイにデーモンは一本目の触手をヘビの様に地面を這わせてケイの足を狙う。

「見えているぞ」ケイの足元まで這って来た触手をロングソードで切断する、噴き出す体液、その体液のかかった土と草が音を立てて溶けてゆく。

「忘れていたよ、お前の体液が腐蝕液だって事を」切断されてもなお暴れる触手を苦々しく見て、ケイは嫌な顔をする。

「おぎゃあぁぁあああぁぁぁああ!」デーモンが叫びをあげる。それが肉体を手に入れた喜びの叫びなのか触手を一本斬られたための痛みの声かは解からないが。

 ケイは戦法を変えてあえて接近戦を選んだ。だがそんな事はデーモンにはお見通しだった。

 デーモンは残り十九本の触手をケイに向かって伸ばす。だがケイの顔には笑みが浮かんでいた。

【雷撃の刃】ケイの持つロングソードに閃光が走る。稲妻の刃がロングソードを数倍の長さに伸ばす「ぎいいゃああぁぁああぁぁぁああー!!」十九本の触手が一度で切断される、切断された触手からは体液は流れない、強力な電流が触手を黒焦げに焼いたからだ。

「ケイ様って『魔闘士』だったんですか?!」ミーシャは興奮気味にアルテアに尋ねる。

 アルテアは指を一本立てるとその指を横に振る、そしてこう言う「ちょっと違う」

「ええ? でもさっきの技はどう見ても『魔闘士』の中でも数人しか使えない稲妻系の大技じゃあ有りませんか?」ミーシャはそう断言する。

「その通り、あの技は稲妻系の大技。その名も【雷撃の刃】と言う」アルテアはニッコリと笑ってそう肯定した。

 ミーシャの頭は混乱するが、レーナはアルテアが言いたい事が分かったのか顔を青くするとこう尋ねた。

「つ、つまりケイ様は『魔闘士』の上位職の『魔騎士』……」

 アルテアは大きく頷くと話を続けた「その通りケイ坊やは国が喉から手が出る程欲しがる職業、”国の華“英雄の卵…、いや、ケイ坊やは最早”英雄“だったね。まあそれは良い、『魔闘士』の上位職にして『わたしの天敵』そして、ファルゴス王国と、ランダス王国の二つの国を又にかけて暗躍する冒険者ギルド『レッド&グリーン』の陰のオーナー『魔騎士』ケイ・カインゼルなのさ!!」

「……………」アルテアのまくし立てる言葉に絶句するミーシャとレーナ。そして。

「恥ずかしいから止めてくれ」顔を真っ赤にしてケイはつぶやいた。





伏線って、回収する気が無くても用意してみるものですね。

ここまで伸ばしてきたのは、単に忘れていたからです。

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