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ケイとアルテア、登場!

 今ここでこの上位のデーモンと戦えるのは、ミーシャとレーナの二人だけだった。なら戦うしかないではないか、そう二人は決意する。ケイを連れて逃げる、は考えに入ってはいなかった。二人は思う、もしそんな事をケイに言えば確実に軽蔑されると。それだけは断じて嫌だ。

 あの外見通りの子供っぽい。──それでいて意外なほど深慮深く、思いのほか人情に厚い性格も持ち合わせているのだ。三人で逃げるくらいなら一人でも、──あの傷を治す事もせずに戦うだろう。その結果は二人にもわかる、二人共それだけの戦闘経験は持っている。

「やってやろうじゃない!」ミーシャが叫ぶ。

「当ったり前じゃない!」レーナが同意する。

 二人共それなりの戦闘経験を持っている、あんな化け物と戦って勝てるなんて、小指の先ほども思っていない。だけど今回は勝率では無かった、いわば意地だった。“勝ってやる”と言う意地しかなかった。

「この大バカ者共が!」ミーシャとレーナの後ろから二人を罵倒する大声が飛んで来る。少しハスキーだったが、女性的な声だった。

 二人は振り返る、170セチ・メール(約170センチメートル)を少し超えるくらいの、キラキラと輝くブロンドの髪と黄色い瞳が特徴の美女がミーシャとレーナを睨んでいる。

「アルテアお師匠様!」レーナは思わず叫んだ。

「え!? レーナ? アルテア師匠?」ミーシャは混乱した、ミーシャはレーナの齢をもちろん知っている。そのレーナとほとんど変わらない美女が師匠?

「ミーシャ、アルテア様は魔導師よ」ミーシャは納得した。それなら外見の年齢と実際の年齢との差なんて、本人に聞かなければ解かるわけがない。

「そ、それよりお師匠様! ど、どうしてケイさんと…」レーナが言いよどんだ。それを聞いてミーシャも驚きの声をあげる。

「ケイ何故ここに、…というかなんて格好で…」ケイはあろうことかアルテアに、お姫様抱っこをされていた。

「…アルテア、そろそろ降ろしてくれないか…」ケイは少し小さな声でアルテアに言う。

「おや、ケイ坊やわたしの抱っこがいつの間に嫌いになったんだい?」アルテアはフフフッと不敵な笑みを浮かべると、ケイをそっと降ろす。一瞬よろめくがケイはパンッと自分の両手で頬を叩くとすっと自分の足で立つ。

「「ケイ!」」ミーシャとレーナは少しの安心と大きな不安感でその姿に声をかける。

 するとケイは赤褐色に日焼けした顔に笑みを浮かべると、ミーシャとレーナにこう言った。

「安心しろ、あいつらは俺が必ず倒す」そう断言するケイ。

「「…ケイ様…」」……ついにミーシャとレーナはケイの事を“様”づけで呼び始める。

 アルテアは笑いを堪えながら「この二人にお前の昔のヤサグレ具合を言っても良いか?」

「……それだけはやめてくれ……」ケイは顔を真っ赤にしてそう言った。



41話投稿します。

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