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はじまり。

 ミーシャとレーナは勝利を確信する。事ここでこの『神官』に更に援軍でも来ない限り、この魔神信奉者の集まりはお終いだと。そしてそんな者達がいるならもうすでに来なくてはならない。そこまでこの『クソ神官』は追い詰められていた。だが。

「くくく」ミーシャとレーナはこの『神官』がなにかを行いそうな予感があった。それが何か分からずにいるため止めを刺すことに躊躇があった。そしてそれがあだとなった。

「神官ネィガールの名を持って最後の命令を出す、全員、自害せよ」

「「!」」しまった。とミーシャとレーナは思った。が、すでに遅かった。

「ひひ」まだ自分の足で立っている者は、その大剣の刃で自分の首を斬る。

「ひひひ」大剣を持てないが片手が動く者は、持っていたナイフで自分の体を刺しまくる。

「ひひひひ」両腕の動かない者は、自分の舌をかみ切る。

 ミーシャとレーナはその惨劇をただ見ている事しか出来なかった。ここにいる者はミーシャとレーナ以外、ことごとく狂っている者ばかりだと言うことを二人は忘れていたのだ。

「さあ神よ、贄“神の信奉者の血と肉で描かれた不浄の魔法陣”を捧げますぞ。今ここに具現化されよ!!」

 流れる暗雲が渦を巻き始め、降っていた雨は黒い雨に変わる。

 レーナは体を流れる黒い水をすくい取る「……泥……」そう天から降る雨に泥が混じって降り始めたのだ。

「ミーシャ! 急いでここを離れるわよ!!」ここにいると体にどんな影響が出るか解からない、レーナはそう思いミーシャに言う。

「う、うん!」ミーシャもここはヤバイ、と直感的に感じてこの場を離れる。

「ハハハ逃げろ、逃げろ、もっともお前たち二人は決して逃がさん!」ネィガールは泥の雨を全身で浴びながら笑い続ける。

 ミーシャとレーナが血の池と化した場所から出て改めてその場所を見て愕然とする。血だまりの中の死体が溶け始めていた。肉は溶けて血と混ざりあいそのどす黒い液体はゆっくりと、反時計回りに回転をはじめていた。

 回転する血だまりがゆっくりと中心から空中へ上っていく。

「おおお……」全身を赤黒く塗りたくられたネィガールは“不浄の魔法陣”からはじかれる様に地面の上を転がると、空中に浮かぶ物体を仰ぎ見る。

「…卵?」レーナがその浮かぶ物体を見て、一番そのかたちに合う物を口にした。

 確かにソレは卵と呼ぶのがふさわしいモノだった。どれほど巨大で、その表面の赤黒い模様は一秒足りとも同じ模様に安定しなくとも、その物体を卵と呼ぶのがふさわしい。

「ひゃひゃひゃ」一人場違いにネィガールは笑っていた…、いや、それは本当に笑顔と呼べるものだろうか。その顔は引きつり喜びの笑顔とはとても呼べないものだった。

 …もしかしたらネィガールが一番正気かもしれない。大変な物を呼んでしまった。と…。


ネットワーク障害に、初めてあいました。

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