超人対魔神信奉者、その3.
「……そんなばかな……」
ネィガールは尻もちをついている。
「…そんな、バカな」
東の空から太陽が昇るが、空は薄い灰色をしていた。
「そんな、馬鹿なー!」
それどころか、カインゼルを中心とした半径六百メール(約六百メートル)の範囲が、木々や草花、いや、大きな岩も地面さえも灰塵と化していた、もちろんあのデーモンでさえも大きな灰の塊となり、風に舞っていた。
「こんな事があってたまるかー!!」
この灰の中で生きているのは、腰が抜けて立てずに喚き散らしているネィガールと、元気に泣いている赤ん坊、そしてこの惨状を作り出し、その中心で白い歯をみせて笑っているカインゼルだけだった。
ネィガールは自分が生きている自分が信じられなかった、おそらくあのカインゼルという男は、“災害級魔法”をこの地で使ったのは間違いない。ネィガールが“災害級魔法”をその目で見たのはまだ若かったころに一度だけある【天空の鉄槌】という大魔法だけだったが、アレは敵も味方もまとめて吹き飛ばす、というとても使い勝手の悪い魔法だったし、話しには聞く【大地の怒り】や【大海の嘆き】も、大なり小なり同じようなものだと聞く。
ネィガールが自分を失っていないのは、ひとえにカインゼルの使った(おそらく)大魔法の完成度に目を奪われたからだった。
「おおお」
ネィガールが“魔神信奉”に足を踏み入ったのは、伝説的な魔法使いに少しでも近づきたいからだった。
「おおおおおお」
ネィガールの顔色が土色になる、怒りと妬みの目でその大魔法をいとも簡単に使った男を睨む。
男はネィガールに剣を突き付ける。
「ひっ」ネィガールの口から情けない悲鳴があがる。
「俺の名前はカインゼル、いいか決して忘れるな」そう言うと男はくるりと背をみせて去っていく。
「オオオ、お前!」ネィガールは震える声でこう言った。
「神は殺せんぞ! お前が何をしても神は何度でも復活するのだぞ!」
ネィガールの震える声は、狂乱の大声に変わっていった。
「神は何度でも復活するー!!」
う、うまく貼り付け出来ない…。じ、時間が飛んで行く。うわあ! 現在20:59時、も、もう寝ないと…。ではおやすみなさい。あ! 感想等々お待ちしております。