過去・(レーナ・オズワルド)
「カッコイイよ、レーナさんのその角。前頭部から後ろへ流れる様に伸びる角なんて初めて見た。それドラゴンの角だよね! ドラゴンの角を持っているなんて、すごい幸運なんだい羨ましいよ!!」
ケイ少年は目を輝かせてそう言った。
レーナが自分の角にコンプレックスを抱いたのは、もの心が着いてすぐだった。鏡を見て思ったものだ、“なんて醜いのだろう”と。
レーナの実家である、オズワルド家は。代々商人を生業としておりいわゆる富豪の一族だった。そのためだろうか、オズワルド家で唯一ドラゴンの角を持つ“変異体”であるレーナがいじめられたのは。石を投げられたのも一回や二回ではない。
そんな時に心の支えだったのは、レーナを溺愛してくれた父親だった。だからだろうか、レーナが異性に年上を求めているのは。そのことはレーナも薄々感じている。
だが、レーナが同年代以上の異性から言い寄られた事など無かった。レーナは美人だった、その赤い角でさえ、アクセサリーのようにレーナの美しさを引き立てる物なのに、本人の人見知りの性格が異性を逃避けてしまう。
声をかけて来る男性なんて居なかった。
レーナの心は自分の殻に入り、理想の年上男性を求め続けていた。自分の殻を砕いてくれる年上のおじさまを、だがその殻を割ってくれそうな異性は、レーナの理想とは真逆の年下の少年だった。
はっきり言ってパニックだった。
ツンツン髪の日に焼けた、活発な少年。これが運…──。
「ちょっと待ったー!!」と、二人の世界に入りそうな相棒を現実の世界へと強引に戻すミーシャ。ハッとするレーナ「私、何を考えて……」と現実世界でパニック状態になる。
ミーシャはケイ少年を見て「わ、私は? どう思う?」
ケイ少年はハッキリと「綺麗だと思う、けどケバイ」
「ケバ?!」ミーシャの心の中で何かが崩れる。
そんなミーシャにケイ少年はナナさんを指差し「ナナさんは何歳に見える?」と聞いて来るのでミーシャは「え、えっと…(そういえばこの人何歳?)」と思う、ケイ少年はナナさんに聞く「ナナさん、何歳?」
ナナは、クスクス笑いながら「十七です」と言うとミーシャは。
「私より年下?」と更なるショックに合う、そんなミーシャにナナは言う。
「ミーシャさん、女にとってお化粧は年上にも、年下にもなれる大魔法なのですよ」
ミーシャは、あごにショートアッパーを食らったように、崩れ落ちる。
前半と後半の落差が凄い!
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