悪魔と魔神。
悪魔と魔神は根底から違う。悪魔と魔神のすがたがどれほど似通っていようとも、悪魔が神をどれ程口汚く罵っても、悪魔はその神の引き立て役であり、極論すれば天使と同じ存在なのである。
悪魔はその人物が信仰している神の使いであり、その信仰心が揺らいだ時に現れて、飴と鞭を使い分けてその信仰心を奮い立たせるのが、その本来の役目である。
万が一悪魔の甘言に負けてしまった者には、その神の地獄へ送り神の代わりに罰を与える事までが、悪魔の役割だった。決してそれ以上のことはしないし出来ない、神の陰から神の信仰を助けること、それが悪魔だった。
対してデーモンは、魔神は。魔“神”なのだ。
例えどう見えていても(悪魔のように醜いか、もしくは美しく、或いは可愛らしく見えていても)魔神は神の絶対的な敵である。
だからこそ、魔神信奉者は“神の地上神罰代行者”を自称する者達から命を狙われる。勿論、魔神信奉者達だってそんな自分勝手な者達には、負けていない、こうしてこの世界の裏側では、自称、“正当なる神の代行者達”の手による血で血を洗う抗争が行われ続いていた。
「カインゼルがどうして“デーモン・スレイヤー”になったのかで接触の方法を考えないといけないわね」
「ええ、ただ強いやつと戦いたいから、なんていうただの“いかれた”奴じゃあ、我が国には招待出来ないわ!」
レーナの言葉に、以外にも『麗しのバーサーカー』などという、物騒な二つ名を持つミーシャが同意する。
「あら、同意してくれるなんて珍しいわね、ミーシャ?」
するとミーシャは頭を振り「それくらいの事は私だって考えるわ、ドラゴン・ウィッチ」
「あら、ごめんあそばせ、バーサーカー」
「…とにかくこの国にカインゼルが居ればいいのよね、後のことは、国に連れ帰るに値するかは、彼の行動を見てから考えましょう」
「……悪い物でも食べた? ミーシャ?」
そのあと、宿の主人からクレームが来る程の、大喧嘩が始まったのは。また別のお話。
この作品はフィクションです。当ったり前じゃあないですか。でもね、現実の世界でも、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の元となった…。いや、これ以上は話しが長くなるか、皆さんで調べてくださいねー。