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TS魔法少女オトメリッサどもは漢気を取り戻したい  作者: 和泉公也
第三章

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77話 「白龍説は新たな伝説になりたい④」

『へっ、へへへへ! あっしに勝てると思っているんですかい? オトメリッサになりたての分際で』

「貴様こそ思い上がりも甚だしいな。まさか、自分のことを伝説に相応しい好敵手だとでも勘違いしているのか?」

『さっきから伝説伝説伝説伝説伝説伝説……。うっせぇんだよオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ! この伝説厨がああああああああああああああああああッ!』

「全く、理解力は鳥並みらしいな。オレは伝説厨ではない。伝説そのものだッ!」

『ほざけえええええええええええッ! でさああああああああああああああああああああああッ!』

 フェニックスアクジョの口元に黒い熱気が集まっていく。予想通りの攻撃、というわけか。芸がない。

「さて、そこの毛玉。オレはどうやって戦えばいい?」

「メ! まずは漢気を解放するメ! そしたらGODMSが集まって本格的に戦闘態勢になるメ!」

「ゴドムス?」

「要するに漢気を具現化したものだメ! 何気に久しぶりにこの単語を使ったメ!」

 何を言っているのか良く分からないが、とりあえずはやってみるか。

「漢気、解放ッ!」

 オレの周囲に白い光の粒が集まっていく。それらは次第にオレの両手にそれぞれ何かを形成していき、しばらくすると二丁の白い拳銃をオレは握りしめていた。

 ――なるほど。

『ぐ、ぐがあああああああああああああああああッ!』

 大きく息を吸い込むように、フェニックスアクジョがのけ反って上を向きながら更に黒い熱気を蓄える。

「今だメ!」

 バキュンッ!

 とオレはすかさずフェニックスアクジョの首元目掛けて銃を撃った。

『がはっ!』

 バンッ! と口元の熱気の玉は破裂して、爆散した黒い火が上空へと舞い上がっていった。

「やったメ!」

「いや、まだだ」

 フェニックスアクジョはオレたちのほうを見直して、ゴホッ、ゴホッと咳込みながら睨みつけた

『へ、へへへへへ! なんのこれしき……』

 フェニックスアクジョはそういうとバタ、バタ、と羽ばたいていく。

 屋根の砂埃が少しずつ巻き上げられたかと思うと、強風がオレたちに向かっていく。

「きゃあッ!」

 影子とアメジラが向かい風に煽られて少しずつ後ろに下がっていく。マズいな、このままだと落ちてしまう。

「レジェンド! これを使って!」

「メ!」

 影子から何かを受け取った毛玉がオレに何かを渡してきた。

 リボンのついた、カラフルな小瓶のようなものが三つ。これは……、

「香水、か?」

「それをその銃にセットして!」

 どういう仕組みなんだ? と一瞬悩んだが、銃のシリンダーを開けると確かに小瓶がはめ込まれそうな形状があった。

 良く分からないが、やってみるしかない、か。

「漢気、創造ッ!」

 三つのうち白い小瓶をセットして再び銃口を向ける。

 引き金を引くと、銃口から霧吹きのように真っ白な液体が拡散していく。

 それはやがてひとつに集まっていき、何かを形成する。白い、大きな、羽の生えた馬のような……。

「あれは……」

 ペガサス、か?

 一体の羽の生えた馬が、目の前に現れた。

『なっ、なんでさ……』

 ヒヒン、と高らかに嘶いたペガサスは、フェニックスアクジョに怯むこともなくそのまま勢いよく体当たりしていった。

 ――ドフッ!

 そのまま地面に大きな音と共に、奴の馬鹿でかい胴体は叩きつけられた。地面はクレーターでも出来たかのようにめり込んでいる。

「ふふん、どうかしら? 私が発明したレジェンドパフュームのお味は?」

「す、すばらしいです! あんなお美しいアイテムを作られるとは! 貴方、もしかして天才ですか!?」

「その通りよ。貴方良く分かっているじゃない。もっと褒めて頂戴」

「素敵です! イニム様の次くらいに!」

 眼鏡女性陣で何やら和気藹々と盛り上がっているようだが……。

 その間にも、フェニックスアクジョはよろめきながら立ち上がっていく。

 オレも屋根から地面に飛び降りていった。

『こんな、ただの体当たりでやられるわけが……』

 ――やれやれ。

 ま、コイツのしぶとさを考えると、これしきで倒されるとは思っていないが。

 ここはもう一発、お灸を据えてやるとするか。

「漢気、大解放ッ!」

 フェニックスアクジョが立ち上がり、キョロキョロと周囲を見渡す。

『ん? 奴は……、どこへ消えたですかい……?』

 ――ふっ。

 どうやら、なかなか面白い能力が使えるようだな。

「イニム、様?」

『どこだ……、どこへ行きやがったんですかい……』

「ここだ、愚か者」

 フェニックスアクジョははっと振り返った。

『なっ……』

「なるほど、こうやって姿を消せるというわけか」

『ふざけた真似を……』

 奴が驚く間もなく、オレはすかさず緑の小瓶をシリンダーに仕込み、

「漢気、創造ッ!」

 敢えて地面に向けて引き金を引くと、緑色の霧が地中に吸い込まれていく。と思いきや、地面に目と鼻のようなものが浮かび上がる。

「キエエエエエエエエエエエエエエエッ!」

 地面の顔から金切りと言わんばかりのとてつもない奇声が発せられ、地中から根っこが何本もドドドドと生えていく。そして、それらは奴の脚と羽の付け根にしっかりと絡みつき、

『ぐがああああああああああッ! 放せ、放しやがれでさ……』

 もがく奴を見据えながら、オレはふぅ、と呼吸を整えた。

「さぁ、終幕といこうか」オレは銃口を奴に向けて、「オトメリッサ・レジェンドハンドレッドブレッドッ!」

 二丁拳銃を思いっきり、奴に向けて何発、何十発も奴に向けてぶっ放してやった。

 

 ダダダダダダダダダダッ!

 と強烈な破裂音と共に、腹部、羽、首元に風穴を開けていった。

『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!』

 硝煙と砂煙が周囲を埋め尽くし、辺りに粉塵の匂いが立ち込める。

 最後に一発、でかいのをドン! とぶち込んでやる。そしてしばらくすると、断末魔の叫びが落ち着くと共に、やがて視界もくっきりと晴れていく。

「……やった、か?」

『……ま、まだまだ、で、や、ん、す』

 晴れた先に現れる、フェニックスアクジョの姿。こぶし大の風穴が何発も身体に空いているにも関わらず、コイツはしぶとく生きているようだ。虫の息に近いようだが、な。

「もう決着は着いただろう。大人しく帰れ」

『ま、まだ……、あっしは、たたかえ、る、で、さ……』

 往生際がかなり悪い奴だ。

 女性の身体になって戦うのも面白いとは思ったが、流石にそろそろとどめを刺してやらないとな。この戦いも正直飽きてきた。

 さて……。

 どうしてやるか……。

「ふぅ、やっと片付いたぜ」

「なんかみんな一気に消えちゃったね」

 ――おっと。

 どうやらアイツらも終わったらしい。次々とオレのいる方へ集まってくる。

「……って」

「えっと……」

「どちら、様?」

 オトメリッサどもがオレの姿を見るや否や、呆然と立ち尽くしていた。

「まさか、お前……」

「説、くん?」

 ようやく気が付いたらしい。姿かたちが変わってしまったから無理もないが。

「はっはっは! どうやら変身できたようだな!」

「えっと、お名前は……」

「オレか? オレの名は……」

「どうせ伝説って言うんだろ?」

 読まれた。

 っと、流石にここはきちんと自己紹介しておかないとな。

「え、オホン。オレの名は、白龍説。またの名を……、オトメリッサ・レジェンド」

「おおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

 他のオトメリッサどもが一斉に頷いた。

「オトメリッサ・レジェンドか。なるほどな」

「すごいすごい! 説くん、これで僕たちの仲間……」

「呆けている場合じゃないぞ! あっちを見ろ!」

 オレは背後にいる息も絶え絶えのフェニックスアクジョを指差した。

「なんだ、あの気持ち悪いやつ?」

「不死鳥女だろ、どう見ても」

「もうほとんど原型留めていませんね」

「あそこまではやっておいてやった。後は貴様らがとどめを刺せ」

「なんだてめぇ! 偉そうに……」

「まぁまぁ、クロー。最後くらいは活躍の場があってもいいじゃない?」

「チッ、しゃあねぇなぁ」

「それじゃあ、久々にアレやるよ!」

 そう言って、オトメリッサどもは手に持ったルージュを一斉に高く掲げた。


「「「「「漢気、超解放ッ!」」」」」


 ルージュにGODMSが収縮されていく。

 そして、一斉にそれをフェニックスアクジョに向けて、しっかりと睨みつけた。


「「「「「オトメリッサ・インフィニティゴドムスッ!」」」」」


 集まったGODMSの粒が矢になっていき……、

 一気に、解き放たれた。


『て、てやんでええええええええええええええええええええええええええええッ!』


 フェニックスアクジョの身体を貫いた矢によって、光が辺り一面に広がる。

 目が眩んだのも束の間、フェニックスアクジョの姿は跡形もなく消えていた。

「やった、か?」

「あれしきでやられるようなタマじゃないと思うが……」

「あの分だと最早戦うことも叶わないだろう」

「つまり……」

「はっはっは! 俺たちの大勝利、ってことだなッ!」

 ――全く。

 能天気というか、なんというか。

 誰のおかげで勝てたと思っているのか。

「よし、これからよろしくね! レジェンド!」

 ――まぁ、いいか。


 この際、これからコイツらと新たな伝説を創るのも悪くない、な。

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