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8話 優雅なティータイムを『Stella』で……

 入学式から4日ほど経った日曜日。わたしは、新しい自宅であるマンションで惰眠をむさぼっていた。なぜなら、入学式の次の日から、学園についての説明や学園内の案内など、色々やることや覚えることが多くて、とても疲れました。とくに部活の勧誘が激しくて、それが一番疲れましたよ……。


わたしはバイトをする予定だし。恵梨香と凛子は、やることがあって忙しいらしくて、部活には入らないそうです。


 そんな訳で、疲れたわたしは、昼前まで眠っていました。1人暮らしだと、早く起きろだとか、言われることもありませんからね~。


 目覚めたわたしは、この素晴らしくも儚い日曜日を堪能するために、『Stella』で食事とティータイムを満喫し。ハルとお話してメイド成分を補給して、明日から始まる一週間に備えるのです。


 そういえば、そろそろバイトも見つけないといけません。帰りにコンビニで無料の求人誌でも貰ってきましょう。今回は、前回みたいに忘れないようにしないとね。


◆◆◆


 はい! やってきました。『Stella』に! もう店内で食事を済ませて、優雅にティータイムと洒落こんでいます。あぁ~もうここがわたしの実家で良い気がします。ここに来ればどんなに辛いことがあったり、疲れていても、全部吹き飛んでしまうでしょう。三回目の来店ですが、何度も通っている常連の気分ですよ。


 ハルとのお話が出来れば良いなと思っていたら、わたしの願いを聞き届けるかのようにハルがわたしも元へとやってきて……。


「お嬢様、今日も私とお話しませんか?」


「はい! よろこんで!」


 もう、このやり取りも三度目ですが、やっぱり嬉しいものです。学園のことや新しく出来た友達のことも話すことが沢山ありますからね!


「そういえば、お嬢様、凛聖女子学園はどうですか? お友達などはできましたか?」


「はい! 入学式の日に、とてもステキな友達が2人出来ました。その2人は受験の日に学園内で迷っていたところを、わたしが案内した2人だったんです。しかも、同じクラスなんですよ」


「お嬢様は、私から見ても魅力的な方だと思いますので、そういうところに惹かれたのでしょう」


「あはは、そうなんですかね~。入学式の帰りにカラオケに行って、2人のことを色々知ることができましたし。2人もわたしのことを知ってもらえて、仲良くなれたかな~とは思いますけど」


「お嬢様に、とてもステキなお友達が出来たことは、わかりました」


 ハルがそう言った後。あっ!っと思い出したようにハルが言った。


「あのですね……今更、聞くのも大変失礼だと思うのですが……聞きたいことがありまして……」


 ハルは申し訳なさそうに言う。


「えっと、わたしが答えられることならいいですけど……」


「えっと、ですね……お嬢様にお名前をお聞きしたいのですけど……よろしいですか?」


 あ! そういえば、わたしって名前教えてないね。三回目でこの話題が出たことに驚いたよ。まぁ、ハルがわたしの名前を知りたいなら、喜んで教えますよ。


「そうでした、わたしも名前を教えてなかったですね。改めまして、わたしの名前は成瀬瑠璃華っていいます」


「成瀬瑠璃華様ですね。じゃあ、瑠璃華お嬢様とお呼びすればよろしいですね」


 瑠璃華お嬢様かぁ~。いいですね! やっぱり、ちゃんと名前を呼ばれると気分がいいものですね~。


「ハルが、そう呼んでくれるなら、わたしも嬉しいです!」


「はい、それでは、瑠璃華お嬢様と呼ばせていただきますね。それで、瑠璃華お嬢様、もう一つお聞きしたいことがあるんですけど、よろしいですか?」


「はい、いいですけど」


「では、瑠璃華お嬢様のクラスは何組でしょうか?」


 なんで、ハルはわたしのクラスを聞きたいんだろう? うーん……もしかして、ハルの知り合いも凛聖に入学したのかな?


「わたしのクラスですか? わたしのクラスは1年2組ですけど……ハルは、何でそんなことを聞くんですか?」


 わたしの疑問にハルは慌てたように、答える。


「あのですね、瑠璃華お嬢様……実はですね……私の妹も凛聖女子学園に、入学しまして、もしかしたら瑠璃華お嬢様と同じクラスではないかと、気になったのです……」


「そうなんですね。それで、ハルの妹とわたしは同じクラスですか?」


「いいえ、妹と瑠璃華お嬢様は、違うクラスの様です」


 そうなのか……。ハルの妹ならハルに似てすごい美人なんだろうな~。


「それとですね……生徒会長についてどう思います?」


 えっと……生徒会長ですか……なんでハルは生徒会長について聞いてくるんだろう?


「なんでそんなこと聞いてくるの?」


「え! そ、それは妹から話を聞きまして……はい……」


 なるほど、生徒会長は……メガネが……。


「そ、そうですね……生徒会長は……メガネが個性的な方だなって思いました……第一印象としては……はい……」


 そう言った、わたしがハルの方を見ると……。あっ、あれ? ハルが涙目になってるんですけど!? なんで!?


「えっと……第一印象はそうなんですけど……真面目でいい人そうだな~っと思いましたし。それに、メガネをかけていても、整った顔立ちであることは、わかりましたから、勿体ないな~と思いましたね」


 わたしがそう言うと、ハルの機嫌が良くなった気がする。なんだったんですか、今のは? まぁ、機嫌が良くなったし、いっか。


「ふふ、そうですか。あっ! そうです、瑠璃華お嬢様、お店にいらしてから髪の毛が乱れているのが気になっていまして……」


「えっ! あぁ、そういえば、髪を整えるのが面倒で適当にやっちゃいました」


「駄目ですよ。髪は女性の命です。ちゃんと整えないといけませんよ。私が整えて差し上げましょう」


 そう言い、ハルは席を離れ、わたしの後ろに立って、何処から櫛を取り出してわたしの髪を梳かし始める。


「え! いやいや、そんなことしなくても大丈夫ですから」


 そう言ったわたしに、ハルは耳元で囁くように話しかける。


「瑠璃華お嬢様、動かないでください。大丈夫です。私にお任せください」


「ひゃい! で、では、よ、よろしくお願いします」


「ふふ……お任せください。瑠璃華お嬢様」


 耳元で囁くように話しかけられたわたしは……あ! この囁きは、ASMRみたいでいいかも~と、内心で大喜びしていた。


 そして、わたしの髪の毛を梳かしている、ハルの手の感触が伝わってくる。その手は暖かく、まるで大切な物を扱うようでした。


「はい、終わりましたよ。瑠璃華お嬢様。これで、確認なさってください」


 ハルは、また何処からか、手鏡を取り出しわたしに渡してきた。渡された手鏡で確認して見ると、わたしがやるより綺麗なんですけど……さすがハルです。


「すごいです! わたしがやるより綺麗に整ってます。もう次からはハルに頼んじゃおっかな~なんて……へへ~」


 わたしが冗談っぽく言うと……。


「ふふ、気に入って貰えたなら嬉しいです。瑠璃華お嬢様がお望みであれば喜んで」


 冗談で言ったつもりなんですが、ハルは本気でやってくれるようです。本当にいい人ですね~。


「あっ! そろそろ帰らないと……ハルと一緒にいると、楽しくて時間を忘れちゃうよ」


「私も、楽しかったです。名残惜しいですが、またいらして下さい」


 会計を済ませたわたしは、お店を出て帰宅する……前に、コンビニで無料の求人誌を手に入れて帰宅した……今回は忘れませんでしたよ。


 いいバイトがあれば良いんだけどな~。

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