5話 入学式と新しい友達。そして、生徒会長
入学式当日の朝、わたしは新しい制服に身を包み、鏡の前に立っていた。
「よし!」
これから始まる、学園生活に思いを馳せて、わたしは凛聖女子学園へと向かう。
◆◆◆
やってきました。凛聖女子学園! 今、わたしは、1年2組の教室へと向かっています。まず、教室に集まってから体育館に移動して入学式をするそうです。
わたしは教室の扉の前で、一呼吸おいて扉を開ける。
教室に入ると視線が、一斉にわたしに集まる。そして、ある1人の生徒が声を上げる。
「あーー!!」
わたしが、何事かと声の聞こえた方を向くと。あれ? なんか見たことあるな~あの2人。
とりあえず、邪魔にならないよう扉から離れ、わたしの席を探して鞄を置くと。先ほど声を上げた生徒と、もう1人の生徒がわたしの席へやってきた。
「ひさしぶり! 合格できたんだ」
「えっと……お久しぶりです……」
わたしに声をかけてきた2人は、わたしのことを知っているようなんだけど……。誰だっけ? わたしも確かに、2人とは何処かであった気はするんだけどな~。思い出せないよ……ここは正直に話したほうがいいよね……。
「えっ! えーっと。ごめんなさい……2人に見覚えはあるんだけど……どこで会ったんだっけ?」
早速、やってしまいましたよ。向こうはわたしことを覚えているのに、わたしは覚えていない……こういう些細なことで、印象が悪くなって、友達が出来ないなんてことが起こってしまうんですよ。あぁ……わたしの輝かしい学園生活がピンチですよ……。
「あはは! やっぱ、わかんないよね~。受験当日にあたしと凛子が学園内で迷ってた時、あなたが助けてくれたんだよ。あの時はホントありがとね」
「あ、ありがとうございます……」
お礼を言ってくる2人に、ようやく、わたしは思い出した。あっ! そういえば、迷って困っていた2人を、偶然通りかかったわたしが案内したんだった。
それにどうやら、2人のことを忘れていた件については、気にしていないようです。よかった~。
「あっ! 思い出した。そうそう、迷っていたあなた達を案内しました」
「思い出してくれた! よかった~。そうだ、自己紹介がまだだったわね。あたしの名前は神宮寺恵梨香よ。そして、あたしの隣にいるのが」
「えっと……一橋、凛子……です。よろしく……」
「凛子は人見知りなんだ~」
「そうなんですね。わたしは成瀬瑠璃華です」
2人の特徴としては、恵梨香さんは明るく元気そうで話しやすそうな雰囲気です。凛子さんは長い黒髪で目元が前髪で隠れています。けどあまり暗い雰囲気ではないんですよね~。何故でしょう? 不思議な人です。
「いや~。まさか、瑠璃華が同じクラスになるなんて思わなかったよ。これから仲良くしよ」
「はい! 恵梨香さんと凛子さん、これから、よろしくお願いします」
「あはは! 呼び捨てでいいよ。あたし達、もう友達でしょ! ねっ! 凛子」
「う、うん。友達……だよ」
あぁ……友達、なんていい響きでしょうか。こんなに早く友達が出来るなんて、最近、いいことばかりだな~。
その後、このクラスの担任がやってきて、出席確認を行い。わたし達は入学式のため、体育館に移動しました。
◆◆◆
入学式は順調に進行していき。次が在校生代表挨拶です。1人の生徒が壇上に上がり話し始めました。
壇上に上がった女子生徒は、どうやら生徒会長のようで名前は春町遥さんというそうです。しかし、あの生徒会長のメガネ……あまり言いたくはないけど……絶妙にダサいのです。メガネ越しでも顔が綺麗に整っているのは感じるんですけど……メガネが絶妙にダサい。なんというか素材の味を殺していると言いますか……。
わたしが、そんな失礼なことを考えながら遥会長のあいさつを聞いていると、目が合ってしまいました。偶然でしょうが、わたしと目が合った遥会長は一瞬声を詰まらせました。もしかして、わたしは遥会長と何処かで会ったことがあるのでしょうか?
恵梨香さんと凛子さんの件もありますし、思い出してみよう……ん~確かになんか見覚えのあるような気がするんですけど……。あの絶妙にダサいメガネをかけていたのなら忘れるはずないんですけどな~。
わたしが思い出そうとしている間に、あいさつが終わってしまったようです。全然聞いてなかった……。
その後、無事に入学式が終わり。教室に戻り自己紹介をしました。たぶん、変なことは言っていないハズです。連絡事項や教科書の配布などがあり。今日はこれで終りだそうで、帰っていいそうです。
この後、どうしようかな? わたしが考えていると……。
「瑠璃華! あたし達とカラオケ行かない? 瑠璃華に話したいこともあるし」
恵梨香と凛子がやってきて、わたしをカラオケに誘ってくれた。こういう、友達と寄り道して帰るって、なんか高校生らしくていいな。
「いいよ、行こ!」
「やった! じゃあ、早く行こ。凛子もほら」
「うん……」
わたし達は、学園を出てカラオケ店のある。街の繁華街へと向かった。
そういえば、わたしと目が合った時の遥会長の反応は何だったんだろう? まぁ。わたしの気のせいかもしれないけど……。