29話 メイドは回り、瑠璃華は喜ぶ
遥先輩が言っていた。『Stella』の夏仕様のメイド服を見るために、わたしは『Stella』に来ています。
既にわたしは、席に案内されて注文も済んでいる訳ですけど。
席に案内されている時に、ハルの着ているメイド服を見たのですが。見ただけでは変わっていない感じがしますね。少しスカートのボリュームが減ったような気がする位です。恐らく、生地が薄くなったから、そう見えるのかな?
ハルとお話しする時に、もっと詳しく見てみましょう。
メイド服と言えば、わたし。遥先輩がハルになって甘やかしてくれた時、色々とありすぎて、遥先輩のメイド服をちゃんと見れていないんですよね……。なんか……抱きついたり、膝枕の時に、肌でメイド服を味わいましたが……それに対しての感想が肌触りが良くて、高そうってなんですか! あの時のわたしに説教してやりたい位です! 色々とあって余裕が無かったですが、メイド服や着ている遥先輩にもう少し感想を言うべきでした。
メイド好きとして、ダメダメです。
次は、ちゃんと見て感想を言いましょう。今のわたしなら、大丈夫な筈です!
わたしが、そう決意していると……ハルがやってくる。
「お待たせいたしました、瑠璃華お嬢様。ご注文のダージリンとショートケーキで御座います」
「ありがとうございます」
ハルは、バックヤードに戻っていき……しばらくして、ハルがわたしの元へやって来て……。
「瑠璃華お嬢様。私とお話ししませんか?」
「はい、お話ししましょう。どうぞ、座って下さい」
「では、お隣失礼します」
いつものやり取りをした後。わたしの隣に座っているハルを見る。
うーん……。やっぱり、前のメイド服より生地が薄目で軽そうです。やはり、ロングスカートですから、軽い方が動きやすくていいのかもしれません。わたしが、ハルの着ているメイド服を見ていると……。
「あの……瑠璃華お嬢様。どうでしょうか? 私、似合っているでしょうか?」
ハルが、わたしに聞いてきたけど……座っているから、分かりづらい。
「あの~ハル……ちゃんと見たいから立ってくれませんか?」
「そうですね。座っていては、分かりづらいですね」
ハルは、立ち上がる。
「では……瑠璃華お嬢様、どうでしょうか?」
わたしは、ハルを見る。やっぱり、生地が薄く服自体が軽くなっているからなのかな? ハルが少し動いただけでロングスカートが揺れて……チラリとハルの脚が見え隠れする……。やっぱり……メイド服もそうでけど……ロングスカートから見え隠れする脚は……いいですね……。
「すっごくいいです。前のメイド服よりも服の印象が軽く感じます。実際に着ていてどんな感じですか?」
「そうですね……瑠璃華お嬢様の仰る通り、軽くて動きやすいです」
そう言ったハルは、その後。くるりと回って見せた……ロングスカートがふわりと舞って、ハルの綺麗な脚が見えた……お、お~。も、もう一回やってくれないかなぁ。
やばい。今のわたし、少し変態みたいじゃないですか! す、少し落ち着こう……。
「ふふ……瑠璃華お嬢様。どこを見ていたんですか?」
ハルは、わたしの耳元で悪戯っぽく、ささやいた……。
「あっ……えっとですねぇ……その……ハルのロングスカートから見える脚が綺麗で……つい……わたし、ロングスカートから見える脚がですね……す、好きなんです……はい……」
わたしは、一体なにを言っているんですかね……。ここお店ですよ。近くにいるハルに聞こえる声で話していたので、大丈夫だと思いますが……他の人が聞いているかもしれない場所で、こんなことを暴露するなんて、わたしはバカですね。いや、ホントに。
「そうなんですか……瑠璃華お嬢様の気が済むまで、見せてあげたいですが……ここはお店ですから我慢してくださいね」
「い、今言ったことは、忘れてくれませんかねぇ?」
「ダメです。瑠璃華お嬢様の好きなことが、分かったので次に生かさせて貰います。ふふ……楽しみにしていて下さいね」
耳元でそうささやいたハルは、とても嬉しそうだった……。
そして、それを聞いたわたしは、期待しかしていません……。なんか最近のわたし……欲望に正直すぎじゃない?
「き、期待しています。ハル、座って話の続きをしましょう」
その後もハルと、メイド服についての話をしましたが、帰る時間になりました。
『Stella』を出たわたしは、買い物して帰っている途中で……。
「あぁ、もう! なんで雨降っちゃうかな」
急な大雨で家に帰ったころには、ずぶ濡れですよ……。
はぁ……折角『Stella』に行ったのに、気分が台無しです。このままじゃ、風邪をひくかも知れないし、お風呂に入って温まろう……。
今日の出来事を思い出しながら、わたしは、ゆっくりと湯船に浸かり、雨で濡れて冷えた体を温める。
明日は、月曜日。遥先輩と何をしようかな?




