28話 当たり前になっていく二人の日常
遥先輩がわたしの家に来てから、しばらく経ち、6月になりました。夏の暑さも近づき、制服も夏服に衣替えです。
あの日以降もわたしは、遥先輩に生徒会室などで膝枕をして貰ったりと色々と甘えさせてもらったりした結果……。
「瑠璃華さん、お菓子食べますか?」
「は~い。食べたいです」
「それじゃあ……口を開けて下さい……」
「あ~ん。うん……このお菓子おいしいですね」
今は生徒会室のソファーで、遥先輩に膝枕してもらいながらお菓子を食べさせてもらっています。
なんかですね……わたしも遥先輩も、慣れてきまして……多少のことでは、恥ずかしくならなくなりました。今ではわたしが、遥先輩に抱きついて甘えても、遥先輩は、少しだけ顔を赤らめる程度で、やさしく相手をしてくれます。
わたしも、最初はやり過ぎたと反省したのですが……結局、本能には逆らえず……遥先輩に抱きついて甘えてしまいます。
人間って結構、どんなことにでも慣れる生き物なんだな~っと、実感しました。
「瑠璃華さん。もっとお菓子食べますか?」
「よっと。いえ、大丈夫ですよ」
わたしは、遥先輩の膝の上で仰向けに姿勢を変えながら、足をブラブラと揺らし答える。やはり……遥先輩の膝枕は、わたしをダメにする力を秘めているようです……心地が良すぎるのも問題ですよ……。ここから、動きたくなくなります。
「もう、瑠璃華さん。足をブラブラさせないでください。その……スカートの中が見えてしまいますよ」
「大丈夫ですよ。ここには、わたしと遥先輩しかいないですし。誰も見たりしませんよ」
「しょうがないですね。瑠璃華さんは……私と2人きりの時だけにして下さいね」
「心配しないでも大丈夫ですよ。遥先輩にしか見せませんよ」
流石にこんな状態のわたしは、恵梨香や凛子には見せられません……。
「それにしても、最近暑くなってきてますけど。『Stella』で働いている時、メイド服暑くないですか? まぁ、エアコンついてますけど」
「そうです。メイド服で思い出しました。『Stella』のメイド服ですけど、夏仕様になるんですよ」
「へぇ~。夏仕様って、デザインとかが変わるんですか?」
「いえ、私が見た限りですが、デザインは殆ど変わっていないです。服の素材が変わって涼しくなったことと、少しメイド服の膨らみというか、ボリュームが減って、以前のメイド服よりも細く見えるかもしれません。瑠璃華さんが実際にお店に来て見ていただいた方がいいかも知れませんね」
夏仕様のメイド服……とても気になりますね。次の休日に行って確認しなければいけません。
「じゃあ、次の休日にお店に行きますね」
「ええ、是非いらして下さい。待ってますから」
その後も、ゆったりと時間は過ぎていき……。
「瑠璃華さん。そろそろ帰る時間ですよ」
「えぇ~。もうそんな時間ですか。もう少しだけ、このままが良いです……ダメですか」
「もう……しょうがないですね。少しだけですよ。最近の瑠璃華さんは、甘えるのがうまくなっている気がします」
「そうですか? わたしは、ただお願いしてるだけなんですけど」
「以前の瑠璃華さんは、遠慮したり恥ずかしがったりしてましたからね。まぁ……私もそうでしたから……でも今は、慣れてきたのか、遠慮なくやって欲しいことを言ってくれますから、私としては、とても嬉しいですけどね」
「確かにそうですね。これが、わたし達のやりたかったことですから。これからも、これが当たり前になっていくんですよ」
「これが当たり前になる……ですか……ふふ、良いですね。こうして、瑠璃華さんを膝枕して頭を撫でたりすることが、当たり前になるというのは、とてもステキなことですね」
「わたしだって、遥先輩に膝枕してもらえることが、当たり前になるのは、幸せですから……これからも、よろしくお願いしますね。遥先輩……」
「はい……こちらこそ、よろしくお願いします。瑠璃華さん……」
こうして、今日もわたし達の当たり前は続いていく……。




