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27話 膝枕と耳かき。そして、過ゆく時間……。

「瑠璃華お嬢様。少々、お待ち下さい」


 ハルは、立ち上がりキャリーケースの元へと向かう。そして、キャリーケースの中からポーチと大きめの布を取り出し戻ってきた。


「あの~。何をするんですか?」


 ハルは、床に布を敷きながら……。


「耳かきです。私、耳かきに自信がありまして、瑠璃華お嬢様にして差し上げたいと思っていまして」


 えっ! 耳かきしてくれるの!? メイドさんが耳かきなんてASMRのシチュで結構あるやつじゃん! ASMRでそういうシチュを聞いてて、夢だったんだよね~。


「わたし、メイドさんに耳かきしてもらうの夢だったんですよ」


「ふふ……そうだったんですね。ソファーですると危ないですから床でしましょう」


「あっ。だからそれを、敷いていたんですね」


「ええ、ですので瑠璃華お嬢様。ここに来ていただけますか」


 ハルは座り。膝をポンポンと叩きわたしを待っている。


 わたしは、立ち上がるとハルの元へと向かい……。


「し、失礼します……」


「はい、どうぞ」


 わたしは、ハルの膝に頭を乗せた……。やっぱり、ハルの膝はいいです……。それに、抱きついた時にも思いましたけど。ハルの着ているメイド服……すごく肌触りがいいです。それに、なんか……品があるというか、『Stella』で着ているメイド服よりオーラが違います。このメイド服、良いお値段がしそうです。色々とあり過ぎて、ハルの着ているメイド服をちゃんと見ていませんでした……メイド好きとしてダメダメです……。


「あの、ハル。今更だけど……そのメイド服、すごく肌ざわりが良いですね」


「ああ、このメイド服ですか。これは、オーダーメイドの特注品でして、いつかこれを着てご奉仕したいと思っていまして。瑠璃華お嬢様のお陰で、このメイド服を着ることが出来ました」


「オーダーメイドの特注品ですか、だからこんなに肌ざわりが……す、すごく高そうですね……」


「まぁ……それなりに……ですかね。それよりも、耳かきをしましょうか」


 そうだった。わたし、これからハルに耳かきされるんだった。人に耳かきされるなんて、小さい時にお母さんに耳かきされて以来です。すごく……ドキドキします。


「よ、よろしくお願いします……」


「はい。では、耳かきのために耳かき棒を色々持って来たんですけど……そうですね……ここは定番の竹の耳かき棒を使いましょうか……まずは、耳かきの前に……ふぅ~」


「ひゃ!? ん、んん~」


ハルが、わたしの耳に息を吹きかけた。びっくりしたけど……すごく……いいです……。


「す、すいません。びっくりしましたよね。ちゃんと事前に言っておくべきでした」


「いえ、気にしないで下さい」


「はい……では、もう一回、お耳にふぅ~ってしますね……ふぅ~」


「んんっ……」


「それでは、始めますね。もし痛かったら言って下さいね……カリ……カリ……」


 ハルは耳かきを始めたんだけど……。なんと言うか……すっごく、気持ちいいです……。こ、これは、ヤバイかもしれません……。


 耳かき棒が、やさしくわたしの耳の中をかいている……自分でする時とは比べ物にならないくらいの気持ち良さ……ハルが耳かきに自信があるというのは、本当みたいです。


「瑠璃華お嬢様。どうですか? 私の耳かきは? 気持ちいいですか?」


「はぁい、とってもきもちいいですぅ」


「ふふ……瑠璃華お嬢様。顔がとろけていますよ。そんなに、気持ちいいですか?」


「うん……とってもきもちいいですよ~。これからも、ハルにおねがいしたいですぅ。あぁ……」


「いいですよ。瑠璃華お嬢様が望むのであれば、いつでもして差し上げます。カリ……カリ……お耳ふぅ~しますね……ふぅ~」


「ふぁ!? んんっ……あぁ……じゃあ、これからもおねがいしまぁす……」


 あぁ……ヤバイですよ。きもちよすぎて……いしきがどこかにいってしましそうです……。


「ふふ……本当に気持ちよさそうですね。瑠璃華お嬢様は、お耳が弱点の様ですね……カリ……カリ……ふふっ」


「しょうみたいです……ハルのみみかきいい……です……」


「ふふ……は~い。左のお耳は終わりです。次は右のお耳をやりますので、私の方を向いて下さい。はい、ごろ~ん」


 わたしは、ハルに言われるがままに、ハルの方を向く。


「は~い。右のお耳の耳かき、始めますよ~。まずは、お耳にふぅ~しますね……ふぅ~」


「あぁ……」


「カリ……カリ……そういえば、瑠璃華お嬢様。お誕生日は、いつなんですか?」


「ふぇ……たんじょうびですかぁ? えーっとですね……はちがつのはつかで~す」


「そうなんですね。では、その日は瑠璃華お嬢様のお誕生日会をしたいですね」


「ハルがおいわいしてくれるんですかぁ? うれしいですぅ。ハルは、たんじょうびは、いつなんですかぁ?」


「私は、10月の15日ですよ」


「そうなんだ……じゃあ、そのときは、わたしがハルのおいわいしてあげますよ~」


「ふふ……楽しみにしていますよ」


 その後も、ハルの気持ちいい耳かきは続き……。


「は~い。終わりましたよ」


「え~。もっとしてほしかったなぁ……」


「耳かきは、やりすぎると良くないですから、また今度にしましょう」


「んん~わかった……」


「ふふ……瑠璃華お嬢様。起き上がれますか?」


「もう少しだけ……こうしていたい……です」


「わかりました。では、瑠璃華お嬢様の頭を撫でて良いですか?」


「いいよ……なでても……」


 耳かきが終わった後も、ハルの膝枕を思う存分楽しみました……ずっとこの時間が続けばいいのに……。


 でも、楽しい時間もそろそろ終わりです。残念だな……。


「瑠璃華さん。今日は、どうでしたか?」


 メイド服から、私服に着替えた遥先輩は、わたしに聞いてきた。


「とっても楽しかったです。わたしが、遥先輩に抱きついて……あの……色々とやり過ぎてしまいましたけど……」


「私もその時は驚きましたけど、嫌じゃ……ありませんでしたので……次も遠慮しないで私に甘えて下さい」


「は、はい。今日は、本当にありがとうございました。気をつけて帰って下さいね」


「ええ。では、瑠璃華さん。お邪魔しました」


 遥先輩が帰ってしまい。わたしは、ソファーに座り、今日の出来事を思い出す。


 色々あったけど……本当にいい日だったな……。遥先輩が、次もって言ってたし……また、遥先輩を家に呼びたいな……。遥先輩の耳かきは、すっごく気持ちよかったし……オムライスも美味しかった。


 早く次が来ないかなぁ~。

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