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14話 隠し通せる気がしません!

「はぁ~。どうしよう……」


 バイトを終え、帰宅した私は、自室のベットに倒れ込み、とても悩んでいた……。そう、瑠璃華さんのことです……。


 今日の瑠璃華さんは、ハルと私の関係性を疑っている感じがしました。今までも、疑問に思っているような感じはしていたけど。今回は、私の反応も不味かったこともあり、かなり疑っている気がします。


 瑠璃華さんと話すのは楽しいけど、急に反応に困る話題を出してくるから、変に反応してしまいます。


 それに、学園では関わらないようにした方が、いいと思っていたんだけど……まさか、生徒会室に手伝いに来るほどの、仲になってしまったのは、想定外でした。


 私が、資料を持って生徒会室に向っている時に、急に後ろから声をかけられて、聞いたことがある声だと思って振り返ると、なんと瑠璃華さんでした。まさか、瑠璃華さんに声をかけられるとは思っていなかった私は、驚いて資料を落としてしまい。


 その結果、瑠璃華さんに拾うのを手伝って貰った訳ですが……その際に、最後のファイルを取ろうと手を伸ばしたら、瑠璃華さんの手と触れ合ってしまい驚いてしまいました。瑠璃華さんの方を見てみると、目が合ってしまい、少し気まずかったです。


 その後、生徒会室まで瑠璃華さんと一緒に資料を運んだんですけど、流石に手伝って貰った訳ですから、なにかお礼をしようと思いました。そう思っていたら、瑠璃華さんはバイトを探しているそうなので、私の伝手で探してあげることになった訳です。


 私は、困っている瑠璃華さんを助けてあげたかったので、そう言ってしまったのですが、流石に父や母に頼るのはダメだと思いましたので、『Stella』の店長である加恋さんに頼ったんです。


 どうやら、加恋さんが経営していたメイド喫茶の元従業員が、この辺りで有名な製菓店の経営者の娘さんだそうです。その方は、真莉愛さんという方だそうで、真莉愛さんを紹介して貰って、バイトの件について相談したら、バイトを募集しようと思っていたようです。


 丁度いいと言うことで、瑠璃華さんについて話しましたら、真莉愛さんは瑠璃華さんのことを知っているらしく。瑠璃華さんならバイトとして採用してあげたいと言っていましたが、ご両親を説得しないといけないそうです。


 そこで、私の名前を出せば、少しは説得の材料になるんじゃないかと思い、私の名前を出してもいいと付け加えました。家の名前を使うくらいなら、たぶん大丈夫でしょう。これも、瑠璃華さんのためですから……。


 そして、瑠璃華さんにバイト先を紹介したのですけど、バイトの件については喜んで貰えましたし。それについては問題ないんですけど……。


 まさか、妹について聞いて来るとは思いませんでした。妹は、その……特技と趣味がかなり個性的ですし……そして、何よりも妹の願望が、私と似たようなものですからね……これについては、我が家の宿命なのかもしれません。


 ちなみに、瑠璃華さんには、今現在、学園での妹についてお話しました。

これだけでも、返答に困っていたのに、『Stella』ついてどう思うかなんて聞かれたら、どう返せばいいんですか! 瑠璃華さんは、悪気はないんですけど、私が聞いて欲しくないことを聞いてくるのでヒヤヒヤしますよ……。


 まぁ、瑠璃華さんがハルである私と、お話しすることが楽しみだと言ってくれるのはとても嬉しいんですよ。


 そして! 私にとって、最も重要なことです。このあと私は、瑠璃華さんの願いを聞く訳ですが……まさか! 瑠璃華さんの願いが、メイドさんにご奉仕されたり甘やかされたいと思っているなんて誰が予想したでしょうか。


 普通の人なら、変だと思うでしょうが、私はそうではありません。だって、私は誰かをご奉仕したり甘やかしてあげたいんですから。瑠璃華さんは、私にとって理想の方でしょう。私が、瑠璃華さんをご奉仕したり甘やかしたいと思ってしまったのは、恐らくですが、瑠璃華さんの願いが強かったからでしょうか?


 私と瑠璃華さんの願いはとても相性がいい訳ですが……やはり、私の正体を明かすのは、気乗りしません……学園で瑠璃華さんと関わりを持たなければ、正体を明かすことを考えなくて良かったんですけどね……。


 まぁ、瑠璃華さんと関わりを持つどころか、週に数回ほど会って、お茶とお菓子を楽しむような仲になってしまいました……。


 その結果として、瑠璃華さんに正体を明かすことが出来ず。私は、瑠璃華さんを騙している状況です……。


 折角、ハルとして、遥として、瑠璃華さんと仲良くなれたのですから。もし、この状況で、私の正体を明かすと瑠璃華さんが、別人だと思ってハルと私に話していたことが、全部筒抜けであることを知ってしまったら、瑠璃華さんは、どう思うんでしょうか……。


 私には、悪気なんて微塵もありません! でも……もしかしたら私は、瑠璃華さんに嫌われてしまうかもしれません。悪気が無かろうが結果的に、瑠璃華さんを騙していることに変わりはありませんから……。


 私は、この関係を壊したくないんです……。ですが……私の我儘で瑠璃華さんを騙すのも正直限界です。どこかで、瑠璃華さんにお話ししないといけません。でも、いま正体を明かす勇気は……私にはありません……。


 今は、瑠璃華さんとの楽しい時間を過ごしたいです。いつか、正体を明かす勇気が出る時まで……どうか瑠璃華さんに、正体が気付かれませんように……。

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