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12話 友達とゲームセンターへ……

 バイトの面接から、2週間ほど経ったある日、わたしは恵梨香と凛子と一緒に教室で、お昼を食べながら他愛のない話をしていました。


「あっ! そういえば、瑠璃華。バイトはどんな感じ? あの『pâtisserie(パティスリー) AMAI(アマイ)』で働いてるんでしょ。あの店のケーキ美味しいから、うらやましな~」


「私も、あのお店のケーキ好き……恵梨香と一緒に買いに行ったことがある……」


「いや~慣れないことが、多くて大変だよ~。まず、ケーキやお菓子の名前を覚えないといけないけど、覚えにくい名前とかあるし。ラッピングも綺麗に出来るように、家で練習したりとか」


「へ~。あたしには無理かも、ケーキとか崩しそうだし、ラッピングなんてやったらぐちゃぐちゃになりそう」


「ふふ、恵梨香は、不器用なところあるから……」


「もう、凛子そんなこと言わないでよ~」


 そう言って、2人はイチャイチャし始めた。本当に隠す気がないようで、もうクラスの全員がこの2人は恋人同士であると認識しています。


 それに……。


「あっ! お箸、落としちゃった」


「もう、瑠璃華はドジだな~」


 わたしが、落としたお箸を拾い、何気なく恵梨香と凛子の足元を見ると……2人の脚が絡みあっていた。恋をすると、こんなにもイチャイチャするものなんでしょうか? それとも、この2人だからなのか……。わたしには、まだ、わからないです。


「わたし、お箸洗ってくるから」


「は~い、いっといで~」


 わたしは、水道でお箸を洗い、教室に戻る途中でふと窓の外を見ると、遥先輩が友達と歩いているのが見えた。


 遥先輩とは、この2週間。生徒会の方がバイトなどでいない時に、お手伝いをしていました。そのあと、遥先輩が出してくれるお茶とお菓子をいただきながら、話をしてから帰っていました。


 遥先輩と話していて不思議なのが、遥先輩と話しているとハルと同じ雰囲気があって、とても話しやすいんですよ。『Stella(ステラ)』でハルと話している時は、遥先輩と話している感じがします。まぁ、あの2人はとてもやさしいですし、面倒見がいいから、そう思うのかもしれません……本当にそうなのかな~?


 わたしが、教室に戻って、席に着き食事を再開すると、恵梨香が話しかけてくる。


「ねぇねぇ、瑠璃華。今日はバイト休みなの?」


「ん~そうだけど、恵梨香どうしたの?」


「放課後、どこか遊びに行かない? 最近、瑠璃華と遊んでないし。凛子も瑠璃華と遊びたいって言ってたから」


「うん……瑠璃華、遊ぼ?」


 はっ! そういえば、最近はバイトとか遥先輩の手伝いで、恵梨香と凛子と遊んでない……友達と遊ぶという、高校生っぽいことが、全然出来てないじゃん。


「いいよ、わたしも2人と遊びたいし」


「やった。じゃあ放課後ね」



◆◆◆



 そして放課後、私たちは、繁華街にやって来ました。 


「ねぇ、どこ行く? 凛子、瑠璃華」


「瑠璃華は、何処に行きたい? 瑠璃華の行きたい所に行こ」


「えっ! そうだな~」


 わたしが、周囲を見渡すとゲームセンターが目に入った。そうだ! 2人とプリクラを撮ろう。


「ゲームセンターに行って、プリクラ撮らない?」


「おっ! いいね~。凛子はどう?」


「うん……いいよ。2人とプリクラ撮りたい……」


「じゃあ、ゲーセンにいこ~う」


 というわけで、ゲームセンターにやって来ました。わたしたちは、プリクラを撮るために店内を移動しています。ひさしぶりのゲームセンターだし、友達とプリクラなんて憧れだよね~。


「あっ! あった。凛子、瑠璃華、はやく~」


「待って、恵梨香……はやいよ……」


「そうだよ、別に急ぐ必要ないよ」


 急かす恵梨香の後に続きプリクラ内に入る。


「じゃあ、どうやって撮ろうか」


「うーん。そうだな~凛子はどう撮りたい?」


「えっ。じ、じゃあ……カラオケの時みたいに、私と恵梨香で瑠璃華を挟んで撮ろ……」


「いいね~。流石、凛子。それじゃあ早速……」


 わたしの右に恵梨香、左に凛子とカラオケの時と同じように、わたしは2人に挟まれてしまった。


「ちょ、ちょっと待って」


「いいから、いいから。ほら、笑って~」


「瑠璃華……笑顔だよ……」


 こうして、2人に挟まれてわたしは、プリクラを撮りました。まぁ、なんだかんだ嬉しかったんですけど、少し恥ずかしかったです。


「このあと、どうする?」


 店内を周りながら、恵梨香が聞いて来る。どうしようかな~と思っていると、クレーンゲームの景品に可愛いペンギンのぬいぐるみを見つける。


「あっ! このぬいぐるみ可愛い、やっていいかな?」


「やるのはいいけど、瑠璃華これ取れるの?」


「取れるかわからないけど、やってみるよ」


 こうして、クレーンゲームを始めたのは、良いんだけど……全然取れる気がしないよ……。


「これは、わたしには、無理かも……あきらめて、他のゲームしようか」


「待って、あたしにやらせて」


 そういって、恵梨香はクレーンゲームを始めたんだけど……あっさりと取ってしまった。


「すごーい、恵梨香上手いね」


「ふふーん。あたし、クレーンゲーム得意なんだ。はい! これ、瑠璃華にあげるよ」


「えっ! いいよ、恵梨香が取ったんだし」


「いいから、いいから。バイトを頑張っているご褒美だと思ってさ」


「瑠璃華、恵梨香がそう言うんだから貰うといい」


「あ、ありがとう。大事にするね」


 その後、わたし達は、店内にある自販機の前で飲み物を飲みながら、休憩していると……。


「あたし、トイレ行ってくるね」


 そう言って、恵梨香は席を離れ、行ってしまった。わたしは、凛子と2人きりになってしまった。


「ねぇ……瑠璃華」


「えっ! なに、凛子?」


 急に話しかけられて、動揺してしまった。恵梨香と一緒にいる時以外は、あまり話したことがないから……緊張する……。


「恵梨香のこと、どう思う?」


「え、恵梨香のこと? うーん……入学式の時、友達が出来るか心配だったんだけど、恵梨香が話しかけてくれたお陰で、こうして2人と楽しく遊べているから、感謝してるし、もっと仲良くなりたいって思ってるよ」


「ふふ、あげないよ……」


「いやいや、取らないって、友達として仲良くなりたいんだから。もちろん、凛子とも仲良くなりたいし」


「ふふ、そんなこと、わかってる……。それに、もっと瑠璃華とも、話せたらいいなって思ってるよ……」


 凛子は、楽しそうに笑っていた。しばらく、凛子と話をしていると恵梨香が戻って来た。


「なになに、凛子。瑠璃華となに話してたの?」


「ふふ、私が恵梨香を大好きって、話していただけだよ……」


「え~、恥ずかしいな~」


 あー、このままだと、2人がイチャイチャし始めて、収拾がつかなくなる。とりあえず、ゲームセンターから出よう。


「2人とも、そろそろ出ようか。わたし、お腹空いちゃた」


「そうだね、じゃあ、近くにファミレスあるし。そこ行こっか」


 ゲームセンターを後に、わたし達は、近くのファミレスを目指して歩いていると、遠くに、遥先輩が見えた。遥先輩は、繁華街から『Stella』や、わたしのバイト先である『pâtisserie AMAI』がある通りへと、消えていった。


 遥先輩、どこへ行くんだろう? 最近、遥先輩やハルについて気になることがあります。なにか、あるんでしょうか?


「瑠璃華、どうしたの? ぼーっとしてさ」


「えっ! あ、少し考えごとしてて……」


「そう、何かあったら、いつでも相談してね」


「うん、ありがと……」


 ファミレスに着いたわたし達は、食事をしながら、話に花を咲かせるのでした。

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