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王女は理想のために魔王のところへ行き勇者抹殺の計画を企てる  作者: 怠惰
王女はもう一度計画を考えなければならない
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計画83

「初日から寝坊とはいい根性している。人間は全員そんななのか?」


「違いますよ。魔物達の強化方法なんてちゃんと知らないので、色々と調べていたら遅くまで起きていましてそれで」


「ふん! 言い訳か、見苦しな。これではこの後が不安でしょうがない」


王宮にもいましたね、こんな奴。あの人はもう死んだでしょうか?あの教育係のババァめ……。そういえばローガンもある意味教育係ですよねこれ?魔物達の強化に携わっているのですから。ムカつく性格って、似るんですかね?職業で。

それからもありがたくない、ただの煩い小言を聞かされながらも今回の現場に着きました。あと少し長かったら殴ってたかもしれません。


「今回お前に強化してもらう魔物はこいつらだ」


「ローガンさん。こいつらだって言われましても林しか……どういう名前なのかを教えていただけませんか?」


「なんだ? 寝坊するくらいに勉強していたんじゃなかったのか? ん?」


「流石にその、1日では完璧とは……」


「なら無駄な事をしていたな」


本気で腹が立ちますね。


「すみません。それで、この林のどこに? 魔物の名前は?」


「とりあえず木に近づいてみろ」


「はぁ」


パキッ。


「何か音が?」


パキッ、パキッパキッ。


「え! ちょっと木が動いて! 待ってください! 捕まった! ローガンさん助けて!」


「木が魔物なんだ。トレントという木に擬態して、今のお前のように近づいて来た奴を捕食する。隠密性やらは良いんだが問題があってな」


「そんな今話をしていないでこの拘束から助けてから説明をお願いします! くっ、こうなったら。ホーリーアロー!」


バキバキバキバキ。


「え? あれ、簡単に」


「こいつらの耐久性は驚くほど低い。本体だったら今のでは流石に倒させないが、拘束する枝は何故か折れやすい。あげくに、火系の魔法を使われたら本体ごと消滅するのは一瞬」


「なんだかさっきまで焦っていたのが恥ずかしくなりますね。たしかに奇襲としてとても素晴らしい逸材なのに、見事に残念なその、なんていうかですね」


「トレントも個体数が減った。魔力があり、よく燃えるという事から好んで人間から狩られた結果目の前に存在している数しかもういない」


「そんなトレントを強化しろと?」


「そうだ」


「ちなみにですが、今までに強化しようとした事は?」


「結果ならずだな。だからこそ新しい観点、人間からの視点での強化方法を考えてみろって事だろう」


いやいや、誰がどうしても同じでしょうこれは。木の強化ってどうすればいいんですか。


「それじゃよろしく」


「え、私達でやるのでは?」


「ここはお前が担当。頑張れよ、せいぜい」


本当に行ってしまった。こうなったらやるしかない。このトレント強化訓練を。


「うーーん、折れた木の部分は思った以上に軽い。という事は中身自体そんなに密になっていないってことですよね? 栄養が足りてないんですかね? そういえば拘束してくる枝の数も少なかったですね。もっと多ければ敵としてかなりいいのに。何から着手しましょうか……。そうだ、意思の疎通ができるのか確認しないと! トレントさん、話できますか? もし可能なら返事をお願いします。無理ならば地面に文字を書いてこちらに何かしらのコンタクトを」


「……」


「……無視?」


ピクリとも動きませんか。私が人間だからでしょうかね?


「トレントさん改めまして。私は魔王様からあなたの強化を頼まれました人間であります、リーンと申します。これからよろしくお願いします、警戒しなくても平気ですよ」


反応はなし。魔物なんですよね?無感情の魔物とかでしたらいきなり強化させるのにはハードル高くないですか?

試しに手を近づけて……。


パキッ!


絡みついてきましたね。なるほど、本能しかないと。

あはは。ふざけるなぁ!せめて意思疎通できる魔物にしてくださいよ!しかも今まで訓練しても結果が出てない魔物とか、初めての奴に任せるもんじゃないですよね!

無理、無理です無理。はぁーー。


「あぁ、もう。とりあえずはやりましたよって感じは出しときましょうか。えっと、植物なんですし水とか重要そうですよね? 簡単に折れてしまう枝っていうのも、大元である本体そのもの全体に栄養がないからとか? 試しに1本のトレントを実験にしてみますか。水に高濃度の魔力を染み込ませて……」


あ、水の質も色々と変えてみましょう。この際ですからね、どんな風なトレントになるのかなにもならないのか。


「さてと、まずはこの普通に魔力を染み込ませた水をたっぷり与えましょう。ホーリーシールド」


近づいて拘束されないようにシールドを発動させながら、私は実験体1号に水をやった。


「なるほど、見た目に影響はないようで。しかし、拘束しようとする枝の本数が増えたという事はやはり栄養不足? いえ、この場合だと魔力不足ですね。次はどのような液体を……案外面白いですね」


こうして私のトレント強化訓練というよりも、トレントで実験が始まりました。

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