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王女は理想のために魔王のところへ行き勇者抹殺の計画を企てる  作者: 怠惰
王女はもう一度計画を考えなければならない
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計画、魔王

「魔王様、こちちらが今日の分になる報告書です」


「また多いな、今日も」


「勇者に対しての呪い関連の記述などもありますので」


我の目の前には膨大な紙束が山となって積まれている。この1枚1枚を確認し人事や経済、最近では勇者への対抗策なんかも決めねばならない。


「失礼ながら魔王様、意見をよろしいでしょうか?」


「良い、話せ」


「いつまであの女を生かしておくつもりでしょうか? もしお許しをいただけるのならば今すぐに、何人もの動かす準備は……」


「ならん。我はあれを殺すつもりはない。今後周りにもその考えを広め、手出しをさせぬようにしておけ」


まったく、余計な事をしようとするな。あやつは死なせてはならんのだ。現状。


「何故ですか! 何故あんな人間1匹を殺さないんです! あんな無礼で、役に立たない女なんか始末したほうがいいです! それに、奴は魔王様の弱点を知っている人間なのですよ? あんなこちら側とか言ってはいますが、それもまた裏切って魔王様を殺すかもしれません! どうか賢明な判断を」


「落ち着き、我の質問に答えろ。お前は我が弱いと思っているのか?」


「そ、そんなことは!」


「我が何も考えず、ただあの女を生かしていると?」


「いや、その」


「お前には我が愚かな判断をする王と見えているようだな」


「わ、私は決してそんな風には!」


「黙れ。聞け。良いか? あの女が我の弱点を知っていて何ができるのだ。幹部の者達はあの女よりも弱いとでも? あの中の誰か1人でも護衛に着かせればあいつは何もできなくなる。そうだろう? そして我らは勇者を殺さねばならん。いいか? 勇者だ。目標はあの女ではなくてな。むしろ、あの女を殺したら面倒な事になるだろうな」


「は、はい! すみませんでした!」


「まぁ、他にも殺さねばならぬ奴がいるのだがな」


「そ、それはどういう事なのでしょうか……」


「今は気にするな。さぁ行け、そして伝えろ! あの女は殺すなと」


「はい! 失礼しました!」


あの女は面倒な存在だ。所詮は人間、簡単に消す事はできるがそれは奴のみに限っての話。

あれには妖精王の目がある。あいつの話によれば、本来我は世界を手に入れていた。この世界の王。人間達もほぼ滅し、魔族の世界を作ったはずなのに……。全てを無にされた!理由はあの女のもっと面白い行動が見たいからだと?ふざけるなよ!

この怒りはあの女に向けたところで意味がない。所詮あいつも哀れな存在。根源だ。正すべき、元あるべき世界にするには妖精王……お前を消す。

不気味なのは観察と言い残して、本当に一切干渉がない事だ。本当に観察しかしないのか?こちらに出て来ないのか?というより、あの女は本当に観察されているんだよな?あの女からも会ったという話は聞いていない。何故接触しないのか?

やる事は多い。勇者殺し、妖精王殺し、世界掌握。あの女は……。まぁ放置で良いだろう。手を出す価値もない。計画の1つ1つを綿密に考え、成さねばならない。絶対に我が覇道は誰にも邪魔はさせん。


「魔王様! 大変です!」


「どうした。何があった?」


「勇者の呪いが消失した事が今確認されました!」


なんでだよ……。


「どういう事だ」


「先程デビル様に異変が起きまして、苦しみの中勇者への呪いが消えた事をお話になりました」


「原因などについては?」


「それが……」


「まだ何かあるのか?」


「デビル様は現在意識不明になってしまいまして、苦しみ出して倒れる直後に言った最後の言葉が勇者への呪い消失でした……」


デビルの奴が意識不明だと?勇者の呪いが消失した影響によるものなのか?とことん思い通りにならんな。

しかしデビルが倒れた今、呪い関連の記述はこの提出された報告書のみだけか。


「デビルはいつ目を覚ましそうなのだ?」


「それがわからずでして、いつ頃になるのか……」


どこまで我の計画を狂わせる?何だこれは?何故こうなった。幹部の1人がそれも、重要な立ち位置に居たデビルが。

まさか、妖精王が何かしたのか?あの女に少しは手を出している。警告としてデビルに……。おのれぇ。


「検査の結果としましては、呪いが消失した事により術者にその反動がきたという事ですのでしばらくは安静にですね」


妖精王は関係ないのか。という事はあいつが何か知っているな。というよりも一緒に居るのだから勇者がどう呪いを解呪したのか知っているだろう。聞き出さねば。


「デビルの件はわかった。早急に意識回復するようにせよ。我はこれからやる事がある」


「かしこまりました」


さて、どんな報告をしてくるのか。あの女も呪いが消失して落ち込んでいるだろう。

それにデビルが倒れた今、しょうがないが少しはあいつにも役立ってもらわないと困る。こちらの計画なども少しは話さないとな。


「おい、聞こえているか。返事をしろ」


「やっぱり連絡してきますよね。私から連絡しようとしていた時……。ナイスなタイミングですね」


「その反応なら要件はわかっているな」


「まぁ、結果から言いますと解呪されました」


「知っている。そのせいでこちらにも被害が出ている。さて、どうやって解呪をした」


返答がない。何故黙る?知らぬ間に解呪されていたのか?


「わからないのか?」


「いえ、その……」


「知っているなら話せ」


「本当に偶然ですし、思い出したくもないんです」


「お前の気持ちなぞ知らん。話せ」


「キスです……」


「何?」


「キスしたら、解呪されました……」


この女は何を言っているのか。キス?は?駄目だ何故か頭が痛くなってきたぞ。

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