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王女は理想のために魔王のところへ行き勇者抹殺の計画を企てる  作者: 怠惰
王女はもう一度計画を考えなければならない
79/92

計画73

「先程まで体が光っていたのですか……」


「ええ、かなり輝いていました。なので何かまた体に変化があるかと思いまして」


「調べてみた感じですとなにも反応はないのですが、もしかしたらまた戦闘時のような条件がある効果なのかもしれません」


「いったいなにが俺に……」


馬鹿のふざけた行動により異常事態が発生したので、ベルに調べさせましたが異常なし。

このパターン何回もするとそのうち誰も心配しなくなりますよ?


「あ!」


「どうしたんですか勇者様?」


「いきなり大声を出さないでください」


「いやさ、俺の世界にとある物語があるんだ。その物語でも色々あって主人公が呪いをかけられて大変だったりするんだけどね? 必ずって方法でその呪いは消えるんだよ」


「そうなんですかぁ。勇者様の世界は凄い物語があるのですね」


「いや、あくまでも事実ではなく空想上の話だからな?」


「2人ともとりあえず物語の事はいいですから、勇者様の思いついた事を教えてください」


「そうそう。その物語で考えると、呪いはキスで消えるんだ。真実の愛の! それでさっき俺とリーンはキスしただろ?」


あ、この馬鹿。


「リーン様! 本当ですか! キスしたんですか!」


「……はい。それがどうかしましたか?」


「何故最初に言ってくださらなかったんですか!」


「言う必要はないかと思いまして」


「だっていきなり勇者様の体が輝いたと言っていたじゃないですか」


「まぁまぁ、落ち着いてよベルさん。リーンも恥ずかしかったんだよ。だから言えなかった、それだけ。ああ! あの時のリーンは顔を真っ赤にして可愛かった!」


怒りでね。


「そんなリーン様、見たかったです!」


見せるわけない。というよりも2度とあんな思いしたくない!


「2人とも? また話が変な方向へ進んでいますよ。しっかりしてください」


「す、すみません。えっとそれでは、勇者様の話を聞いて推測すると呪いが解呪された事になりますよね?」


「そうなります。なので確かめる為に今からザザールさんを呼んできますので待っていて」


「ベルが呼びに行けば良いじゃん。リーンはここに居ろよ」


この部屋に居たくないんですよ。貴方と一緒が嫌なんですよ、少しでも。


「そうですよね! 私に任せてください!」


余計な事を……。

それから私は馬鹿が永遠に語りかけて、どれだけあのキスが素晴らしかったか、やはり運命なんだ!とついその口を切り裂いてしまいたくなるような話をしてくるので、我慢するのが大変でした。

キスキス連呼するな!吐き気がする。


「王女お前マジか。キスして呪いを解呪したって」


ザザールの入って来て第一声がこれだった。この女、普通に説明したな。


「え、ええ。まぁ、その、色々とありまして」


「まさかお前が勇者にキスするとは驚きだ」


「なんだよ、何か文句でもあるのか?」


「いや? 別にぃ? それで俺は何をしたら?」


ちゃんと説明しろよこの女。なんで呪いが解呪した事しか話してないんですか。


「ベルさん話してないんですか?」


「すみません……。そのキスで呪いを解呪するなんて凄いなぁって思っていたら話すのを忘れていて」


お年頃の恋愛脳ですかね?使えないですね。


「この前のように軽く勇者様が殴りますので、それを受け止めてください。もし呪いが解呪されているのならこの前のようにはならないはずですので」


「わかった。オラ、こい」


私の説明を聞いて構えたザザール。そして馬鹿が……。


「死ねぇ!」


死ね?


「ちょ、なんだお前!」


「よくも俺のリーンとデートしたな!」


馬鹿が殴る。蹴る。噛みつく。剣を……それは駄目だろ。


「落ち着いてください! なにを考えているんですか!」


「話してくれリーン! こいつはお前を狙っている男だ!」


「ベルさん今のうちにザザールさんの回復を!」


「はい!」


「離せ! そいつは許さない!」


呪いがかかったままの方が良かったかもしれません。

どうしましょうかこの馬鹿。


「テメェ、やりがったな……」


「黙れ! 他人の女に手を出すクソが!」


「勘違いもいい加減にしやがれ! 俺と王女は仲間でしかねぇんだよ! この被害妄想野郎!」


「じゃあなんでリーンはお前の話をする時、笑顔なんだよ!」


え?そうなんですか?だとしたら無意識ですね。この中で1番ストレスがない人物ですし。


「お前の行動に悩まされて、頼れる人が俺くらいだからじゃねぇか?」


「え、私は……」


「ベルさん。異性でって話ですよ?」


「そ、そうですよね!」


本当は違いますけど。


「リーン! なんでこんなのを信頼しているんだよ!」


「勇者様。ザザールさんは何度も戦闘を経験した事のある人です。見極める力があります。その力を頼って何が悪いのでしょうか?」


「俺はどうなんだ!」


「勇者様は闘う技術を身につけました。しかしながらこの世界に来るまでは戦いなんていうのは、無縁と言っていましたよね? だからこそ私はこの旅に熟練の魔法が使えて、数々の戦闘経験のあるザザールさんに仲間になっていただいたのです」


「そんなの俺だって少しは……」


「この数日での戦闘で、勇者様にはやはり戦略面はまだ難しいと思います。今はもっと技術を高める事を目指しましょう? ザザールさんはきっとしっかりとした戦略を考えてくれますから、勇者様は強くなって私達全員を引っ張る存在であって欲しいのです」


「そっか……。わかった。今まで悪かった。これからよろしくお願いします。ザザール」


「はぁ、任せろ」


「とりあえずこれで勇者様の呪いもなくなりましたし、仲直りもできました。どうでしょう、少し飲みませんか?」


「私は賛成です!」


「俺ももっとみんなと親睦を深めて頼れる存在になる!」


「ほどほどに飲むか」


「それでは皆さん下に行って飲みましょう」


まぁ、こんな感じにある程度仲良くしてもらわないと私が辛いですからね。なんとかなりましたよね?


「王女」


「なんですか? ザザールさん」


「上手いことやったな」


ザザールはそう言って下に向かって行った。

あいつは警戒しとかないといけませんね。

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