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王女は理想のために魔王のところへ行き勇者抹殺の計画を企てる  作者: 怠惰
王女はもう一度計画を考えなければならない
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計画67

「おはようリーン! 良い朝だね。今日も元気に……どうしたんだい? なんだか顔色が良くないけれど」


「そうですか? ご心配をおかけしまってすみません。私は大丈夫です」


「うーーん。そうか? まぁ、なにかあったら俺になんでも言ってくれよ!」


「ありがとうございます、勇者様」


昨夜の魔王との会話は最悪の結果だった。ああ言えば絶対に協力の道を探すと思ったのですが……。


『調子に乗るなよ人間の王女。たしかにお前は我の弱点を知っている。しかしだ、どうやってここまで来る? 単身で乗り込むか? 勇者と一緒に来た時に利用して我の弱点を破壊でもするか? やれるものならやってみよ! 我をなめるなよ。そっちがそのような考えならば守りを強化するのみだ。お前の考えは甘いな。ではこれでお前との話は終わりだ。最後に教えておいてやろう。これから我らは呪術を操る魔物を送り込み、お前達を襲わせる。巻き添えをくらいたくなければ……。わかっているな? それではな』


これからこの面倒な奴らを連れて、魔王の呪い計画がどんどん仕掛けられる。

死なないわよね?死にたくないわよ私。これから先が辛い。


「おはよう王女様」


「おはようございます! リーン様」


「ザザールさん、ベルさんおはようございます」


「ザザール、遅いぞ。リーンより遅く来るなんて何考えているんだ?」


「はいはい、すみませんね。俺だけ何故か注意されているのが謎だけどな!」


「あ、私も遅れてしまってすみませんでした!」


朝からこれか。馬鹿はザザールにどれだけ対抗心を持っているんですか?なんですか、私がザザールと付き合うとでも?あなた達2人とも仲良くお断りですから安心してください。


「ベルは良いんだよ。女性は身支度に時間がかかるからね、しょうがない。だから問題は弛んでるそこの男のみだ」


「はっ! 女に気を取られてまともに戦略も立てられない奴が何をほざいてんだか」


「お2人とも落ち着いてください。とりあえず朝食を食べて、これからのことを話しましょう」


なんとか2人を宥めて朝食を食べ始める私達。

これからのことをを話し合う時にはまた言い争いになったりにもなったが、どの村を目指して行くのかを決めて話し合いは終わった。

村を出て歩いていると馬鹿がまた先程の話を蒸し返す。


「なんでチマチマと村に寄らなきゃいけないんだよ。このまま一気に魔王の城まで行けば良いのにさ」


「それは無理だと説明したではないですか。魔王の居る城まではとても遠く、そんなに簡単には辿り着けません。道中には魔物との戦いもありますし、疲労も溜まります」


「でもなぁ、なんかさ面倒なんだよ」


「はぁ、こんな馬鹿が勇者とか本当に魔王は倒せんのか」


「あ? 誰が馬鹿だ?」


「お前だよ。お前」


「どうしましょうリーン様。またあの2人の喧嘩が……」


「もう放っておきましょう。そのうちに仲良くなるでしょう」


もうこの2人の喧嘩にいちいち関わるのが面倒になってきた。何故いつも私が仲裁をしなくてはいけないのでしょうか。偶にはこのアホシスターも止めてくれたら良いのに。

そんな事を考えている時、私達の目の前に上から何かが迫って来た!


「リーン危ない!」


私は馬鹿に庇われ、アホシスターはザザールに庇われたおかげでそれから回避できた。


「勇者だからなぁ。これくらいの不意打ちは避けて当然だよなぁ」


「お前。お前は誰だ!」


勇者が明らかに魔王の手下って魔物に啖呵を……。状況から考えられないんですかね?本当にこの馬鹿は。


「俺はな、魔王様からの命令によりお前達を殺しに来たリド。先ず女から殺して楽しませてもらおうかぁ? ウヒヒヒヒ」


昨日の夜から随分と早く刺客を送って来ましたね、あの魔王。


「そんな事させるか! リーンは俺が守る!」


「勇者様、私は大丈夫ですから。戦えますから。私よりもベルさんをしっかり守りましょう。ザザールさん、ベルさんの側につきながらの援護をお願いします」


「わかった!」


「待て! そんなのリーンが危険じゃないか!」


「勇者様今はそんな話をっ!」


かなりの速さで私に魔物が突っ込んで来た。なんとかそれを魔法で作った槍で防ぐ事ができたが、死ぬかと思った。


「貴方は勇者に呪いをかけに来たのでしょ? なら何故私を攻撃して来るのですか?」


私は小声で刺客に質問すると、ニヤァと笑いながらこいつは答えた。


「ああそうだよぉ、勇者を呪いに来たんだぁ。なぁ? 王女様。あんたは俺達魔族の味方をするんだよなぁ?」


なんですかいきなり。


「私は魔王と協力して勇者を殺そうと話を持ちかけました。しかし昨日の夜に」


「魔王様はなぁ、ちゃんと協力関係を続けるつもりだぞぉ」


そんな……。だって昨日の反応から見ていたらどう考えても……。


「魔王様はなぁ。勇者に呪いをかけやすくする方法考えたんだよぉ。それは、お前だ王女。勇者はお前がだぁぁい好き。お前を集中して攻撃したら、勇者はお前を庇って俺の攻撃……受けてくれるよなぁ。ウヒヒヒヒ」


「だったら、もう少し、手加減して、攻撃をしてください」


「それは無理だなぁ。バレたらよぉ、困るからさ。ほらほら、頑張ってかわせかわせ」


魔王……。こんなのは協力関係ではなくて、ただのエサに使われているだけじゃないですか!ふざけないでください!

何が巻き込まれたくなければ、ですか!巻き込むつもりの計画じゃないですか!


「このぉぉ! リーンから離れろ!」


「危ない危ない。勇者が来た来た」


「リーン! 怪我は!」


「大丈夫です! 集中してください!」


「ウヒヒヒヒ。隙ありだよ、勇者様ぁ?」


「なっ!」


手に黒い塊を持って一気に馬鹿に近づいたリドは、そのままそれを押しつけた。

黒い塊は馬鹿の体内に入っていき、苦しみながら倒れた。


「ウヒヒヒヒ。今日はこれで良いや。帰るねぇ、バイバイ!」


リドがあっという間に何処かへ飛び去って行った。


「ベルさん! 勇者様の様子を見てください。ザザールさんと私はこのまま周囲を警戒です!」


「クソ! わかった!」


「わ、わかりました! 勇者様! 返事をする事はできますか?」


それぞれが役目につき、私は考える。

この先も魔王の奴は私をさらに利用するつもりか!私の願いを知りながら……。どうしたら良い。

とてつもなく無力だった。

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