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王女は理想のために魔王のところへ行き勇者抹殺の計画を企てる  作者: 怠惰
王女はもう一度計画を考えなければならない
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計画64

勇者について行けるようになりましたし、これからの事について考えないと。


「あれが人間の王か」


「あら、選考会はもう終わっているのにまだ通信を繋げていたのですか」


「なに、もう切る。少し人間の王がどんなのか知りたくてな」


「感想は?」


「我が言うのもなんだが、お前ら本当に親と子か? あの会話にはそんな感情が見えんかったぞ」


「アレに期待しないでください。私はアレを王だなんて思ってませんよ。魔王の貴方のがかなり王に相応しいです」


「会ったこと……。そうか、前の世界では組んで仲良くしていたのだったな」


「仲良く……。まぁ、そうですかね? 少なくともアレよりも近い距離感だったのは確かです」


「しかし、こちら側から派遣しないと言ったら王女自らスパイをするとはな」


「その場を操れて、状況を知り、報告もできる。とても嫌ですが今の段階では最良の手段です」


これで私を信用してくれる者達が増えてくれたら嬉しいのですがね。そしたらいつか増援を送ってもらって、色々と援護してもらえるようになり楽に勇者を殺す計画を……。


「こちら側には王女のお前が勇者側のスパイをすると伝える。更に何かしら勇者を殺せる方法を探し続ける方向でいこうと思う」


「是非私がスパイなのはしっかりと伝えてください。そして、お互いに協力関係を結ぶという事もちゃんとお話くださいね。あと勇者を殺せる方法については、前の世界でも何も見つけられなかったのでそんなに期待せずに、連絡を待っています」


「それではまた……。すまん。聞きたい事があった」


「なんですか?」


「前の世界で、お前は我に惚れていたのか?」


「へ?」


今この魔王はなんと言いましたか?誰が誰に恋してると?まさか、私が魔王に恋してるのかと?なんでそんな話になるのでしょうかね?今すぐにお前の命を終わらせますよ?


「お前の話を聞いているとなんというかな、あまりにも仲が良く聞こえたもので……」


「魔王。私は言いましたよね?」


「な、なんだ?」


「私は、貴方の、殺し方を、知っています」


「何故その話が出てくる!」


「私が貴方に恋? してるわけがないでしょう。私達は同じ目的を持った同士で、目的が達成されたらお互い不干渉みたいな雰囲気でしたよ。わかりましたか?」


「あ、ああ。わかった」


「では、また」


「その、すまなかった」


「次に変な事を言ってきたら……。ヤリマス」


「何かあったら連絡する」


そう言って魔王からの通信が切れた。

まったく魔王だからって言っていいことと悪いことがあるでしょ!私は平和にのんびりと暮らしたいんです。結婚はそうですね、気分次第ですよね。


「よう王女様、元気になったそうでなにより」


この声は……。馬鹿もなんとか頑張ったようですね。


「お久しぶりです、ザザールさん。この度は勇者様のお誘いを受けてくださりありがとうございます」


「気にすんなよ。むしろ俺なんかで良かったのか? 勇者様から聞いたけどよ、推薦したのあんたなんだろ? 俺はあの時結果何もできなかった。そんな奴が魔王討伐の旅にって」


「勇者様からはなんとお誘いを?」


「王女様が俺にどうしてもついて行けって言いながらしがみつかれたな。理由聞いても、リーンが仲間にした方が良いって言ったから! だとよ」


あれ?私ちゃんとあの馬鹿にこいつの優秀さを説明しましたよね?どんな説得をしているんですか……。馬鹿は馬鹿でしかありませんか。


「よく聞いてください。あの時の事はしょうがないと、私は思っています。ザザールさんは私の事を異常に守ろうとするギム騎士隊長や、初めての戦闘で少し粗さがあった勇者様に対しさりげなく魔法で何回もフォローをしていたではないですか。だからこそ魔力が無くなるのも当然の結果だったんです。これからの旅は違います。たしかに時々は無茶な事もするでしょう。しかし、勇者様は成長します。ザザールさんがフォローするのではなく、連携して戦う時が来るのです。それまではキツイかもしれませんが、一緒に頑張りましょうね!」


「まったく、あんたは。よし! 俺も頑張ってあの勇者を……。一緒に? 王女様、今一緒にって言ったか?」


「えぇはい。言いましたけれど。それがどうかしましたか?」


「それはどういう……」


ザザールがこちらに詰め寄ろうとした時にものすごい勢いで何かが迫って来た。


「リーーン! 一緒に旅に来るって何! どういう事! なんで! どうしてそうなったの! 

今王様から聞いてビックリしたんだけど本当に来るの! ねぇ! ねぇ! 聞いてる! リーン!」


……煩い!少しは落ち着いてくださいよ。そんなに揺さぶったりしたら話したくても話せないでしょう、この、馬鹿!


「おい、勇者様。そんな事したら話したくても話せねぇぞ」


「あ! ごめん。でも、わけがわからなくて」


「勇者様の言葉からして、本当に一緒に討伐旅に来るんだな」


「はい。ちなみにあと1人選考会で私が選んだ人が居ますから、その人を入れて4人で魔王討伐の旅に出ますね」


「ちょっと待て。たった4人なのか?」


「ザザールさん。残念ながら他の人は私にも簡単に負ける人ばかりでした。とても旅には……」


「え、選考会に来た人達ってリーンに攻撃してきたの?」


「不合格にしたら襲いかかって」


「そいつらまだ居る?」


「落ち着いてください勇者様。全員ズタボロですから。殺気を出さないでください」


「だとしても4人ってよ……。そうだ! 騎士隊長さんはどうしたんだ? あの人が来ればかなりの戦力になるだろ」


「勇者様が不在中に魔王が魔物をけしかけてきたときの為の戦力として残らなくてはなりません」


「まじかよ。本当に俺達4人の旅なのかよ」


そう呟くザザールと。


「それでなんでリーンは一緒に旅へ?」


一緒に旅に来るのが不安でしょうがない!って顔の馬鹿がしばらくの間私の目の前に立っていた。



「それでは自己紹介をしましょうか」


旅の出発当日。門の前で私達は初めて4人揃った。今までそれぞれが訓練や仕事で忙しかったからだ。


「自己紹介って言っても選考会で合格したそこに居る嬢ちゃんくらいしか知らないからなぁ」


「はい! 私はシスターのベルと言います。主に回復などのサポートが得意です。よろしくお願いします!」


「という事で、ベルさんは回復などのサポートが得意な人です。その実力はかなりの腕前ですよ」


「リーン。こういうのも失礼なんだけど、後方で戦う人しか居なくないかい? 俺以外」


「たしかに。勇者様以外全員見事に後ろで活躍するタイプだな」


「ああ。それなら大丈夫です」


「何かあるの?」


「近接は勇者様と私。後方での攻撃支援はザザールさんとベルさんって考えていましたから」


「お、王女様が……」


「また大怪我か?」


「嘘でしょ? リーン?」


「さぁ! 行きますよ」


なんでそんなに……。私はオールマイティな王女ですよ?

不満に思いながらも、4人は魔王討伐の旅へ出発した。1人は目的が違うが。

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