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王女は理想のために魔王のところへ行き勇者抹殺の計画を企てる  作者: 怠惰
王女はもう一度計画を考えなければならない
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計画63

「ふざけるな! なんでこの俺が落選なんだ!」


皆さん同じことを言いますね。はぁ、疲れルコの仕事。


「貴方の槍捌きはたしかに良かったですが、隙も大きかったのです。あれでは素早い敵に避けられた場合に、すぐにカウンターをくらってしまい死にますよ」


「そこまで言うなら、試すか!」


そう言っていきなり槍をこちらに突き出してきた。私、一応王女なのですが?まぁ、問題はないのですけれども。


「ほら、こうして避けられ貴方は今殺されかけてますね? 奇襲を仕掛けたこの私に」


私は槍を簡単に避け、男の首に魔法で作った刃を突きつけた。


「な、こんな……」


「この人を外に連れ出してください。邪魔ですから」


こうして馬鹿がまた1人外に放り出された。本当になんでとんでもない人しかここに居ないのか。落選と伝えたらすぐに攻撃……。短気すぎる。それに相手は私、この国の王女に対して危害を加えようなんて殺してくださいと言っているようなもの。

最初の人は案の定私が止める前に護衛の兵士が殺してしまったし。その後に私が対処しますと言わなければ屍の山でしたね。


「次の人どうぞ」


「はい」


今度は女子か。私にとって喜ばしい物になるだろうか?それとも不合格でそもそも物になれないか?調べますか。


「それではお名前を」


「はい。初めまして、シスターのベルと申します。私は回復魔法が得意ですので、旅ではサポート役として活躍できると思います」


どこかで見たと思ったらそうか、これがあの時のシスターだったのですね。なら、もう合格でいいですかね。


「それはとても素晴らしいです! 少しどれほどの回復魔法なのか見せてくれませんか?」


「はい、それはいいのですが……。回復させる対象が」


「それなら大丈夫です。すみません、あの落選者を連れて来てください」


兵士がボロボロになった、火傷している男を連れて来た。


「この人は?」


「この人も選考会に参加した人です。爆破の魔法が得意と言って見せようとし、このように自爆した実力のない人でした。この大怪我を治せますか?」


「お任せください」


シスターは近づいて素早く回復魔法を発動させた。ドンドン馬鹿の体が完全治癒されていく。文句もないですね。さっさと合格にして残りの人にはお帰りになってもらいましょうかね。


「ベルさん。貴女の力は勇者様にとって素晴らしい助けになるでしょう。どうか旅の仲間になり力をお貸しください」


「それじゃあ私は」


「はい、合格です」


「やった!」


「それではまた後日連絡しますね」


「はい! ありがとうございました、失礼します」


よし!これで揃って……ない。本当ならここでスパイのシラーを入れて旅をさせるはずだったのに。あと1人はまぁ、またお願いして私がついて行きますか。


「皆さま! これで選考会は終了とさせていただきます。お帰りください」


私がそう言うと非難の声が聞こえてきましたが、関係ありません。あとの残りは使い道がありませんしね。





「リーン。選考会を1人で仕切ったそうだな」


「そうですが、何か問題でも?」


「俺は勇者の旅には精鋭をと考えている。使えんゴミはいらん! 別に人数が少なくとも有能であれば機能するだろう。だが、選考会でお前が選んだのは回復ができるシスター1人。これが有能か? 他に来ていた奴らは? 答えろ」


「お父様が言っていることは正しいと思います。弱者が大勢集まっても意味はありません。だからこその合格者はあのシスター1人なんです。彼女の回復魔法は高い治癒力でした。それにスピードも早く、とても優秀と判断しました。それ以外の者達は、頭も悪く実力も私以下ばかりの者達。必要ですか?」


「ならばお前は勇者とシスターだけで旅に行けと? ありえんな」


「いえ、勇者様には今1人説得をしに行ってもらっています」


「誰だ」


「この前のゴブリン討伐で一緒に戦った、ザザールさんです」


「あの無能を?」


「彼は無能ではありませんよ。とても優秀な魔法使いです。あの場で冷静な判断もでき、勇者様がもう少し強ければ問題なく途中で出てきたゴブリンキングも倒せましたよ。むしろ、彼が仲間にならないのはマイナスでしかありません」


「それではお前はこの3人が最高だと言うのだな? 俺が命令し、勇者が確実に魔王を殺せる旅の仲間だと」


「いえ、あと1人」


「さっさと言え」


「私です」


「はっ!」


志願をした途端に侮蔑の目をこちらに向けてきた。まったく、娘を見る目じゃない。


「お前はこの前の件で何を学んだ? ん? 己の無力感を味わって来なかったか? それとも頭でも打って記憶を失くしたか? 愚かな娘を持つと頭が痛くなる。あんな情け無い姿をして帰って来ておいて、また外に行こうと? そんなに死にたいと思っていたとは知らなかった! まぁいい、今回は回復女も居るからな。あんな怪我やましてや死ぬ事はないだろう。勝手にしろ、どうせ何か考えているのだろ? ここでお前を止めても何かしらして抜け出す。面倒はごめんだ。お前は勇者に張りついて、やる気を出す装置にでもなっていろ」


「……ありがとうございます、お父様」


早く殺されればいいのに。でも、これで私がスパイとして潜入できる。勇者は盲目的に私を信じ、ザザールはこの前での交友がある。悪くない状況。あとはあの女も操って、勇者へあてがって私が主導権を握れれば……。勇者を殺せる!

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