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王女は理想のために魔王のところへ行き勇者抹殺の計画を企てる  作者: 怠惰
王女はもう一度計画を考えなければならない
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計画59

私は後ろから軽く光魔法を放ちながら考えていた。どうすればゴブリンキングと会話ができるかと。今邪魔なのは騎士隊長とザザールの2人。ボロボロな体をなんとか動かし、ギリギリ戦えている騎士隊長はまぁなんとかできそうなんですけれども、私と似た戦い方をしているザザールはどうすれば……。


「逃げるのは上手いな人間」


「お前なんぞこんな怪我をしていなければもっと攻めて……いや、ここは私が不甲斐ないのみ! なんとしてでも王女リーン様は必ず守ってみせグァ!」


「おい! 騎士隊長さん何やらかしてんだ!」


「ギムさんはもう無理です。今の一撃で完璧に動けないでしょう」


私、裏切るつもりなのですがそれでも思ってしまう。あれが国で1番の戦力って大丈夫なのですかね?私を守ろうと庇い過ぎて被弾が多くなり、最後は敵前で堂々と……。


「王女様よ、どうするんだ? 勇者様はどっかで気絶してる。騎士隊長さんはあれ。俺らでゴブリンキングは倒せねぇぞ」


「これから言うことをよく聞いてください。私が残ってゴブリンキングと戦います。なので、ザザールさんは勇者様とギムさんを抱えて逃げてください」


「待て待て。そんな事できるか! 王女様にそんな死んでもらって、俺ら助かりましたとか洒落にもなんねぇぞ」


「冷静になって考えてください。私は少しばかり近接戦も可能です。ザザールさんはもう魔力も尽きかけて尚且つ近接戦なんて無理ですよね?」


「まぁ、そうだけどよ」


「それに、時間を稼いで逃がそうとしても逃げれなければ意味がありません。私では身体能力強化の魔法を使っても、男2人を貴方が稼ぐ時間内に担いで逃げきる自信はありません。逆に、身体能力強化を使って私が足止めをしていた方が断然逃げれます」


「だからそういう問題じゃなくてよ!」


「王族なんてこの場では関係ない! 必要なのは貴重な戦力がなくなる事です! 今はまだ弱い勇者様ですがきっとこれから強くなります。何よりも加護で死ぬ事がありませんから、何度でも立ち上がることができます。その支えになるのに1番相応しいのは、ギムさんなんです。ギムさんならきっと勇者様を強く導いてくれると信じています! だから、お願い、2人を連れて逃げて……」


「ちくしょう! 絶対に死ぬなよ! 2人を安全な場所に置いてすぐに戻って来るから、逃げ回ってろ!」


そう言って、ギムを抱えて勇者を探しに行った。よしよし、演技もなかなか上手いのでは?あとは少しばかり戦うフリをして、お話をしましょうか。


「お前みたいな弱そうなのが残って、何ができる? なめてるのか?」


「いえいえ、こちらにも事情がありましてね。少々お付き合いください。少し、もう少しだけ戦いましょう」


「何を言ってるんだ?」


どのくらい時間があれば馬鹿も回収できて、ここから離れられるでしょうか?数分はかかりますよね。


「おい、お前。戦うと言っておいてまったく戦意を感じないぞ。どういう事だ」


「わかるんですか?」


「何人と殺し合ってきたと?」


「それでは質問ですが、私と一緒に居た人らはまだここら辺に居ますか?」


「いや、もう気配を感じない」


よし。


「やっと本音で話せますよ。私は貴方に用があってここに来たんですよ、ゴブリンキング」


「どういう事だ人間」


「まぁまぁ、落ち着いて。魔王との通信できるあれ、なんでしたっけ? まぁいいです。あれも出して、魔王も交えて3人でお話をしましょう」


「何故人間のお前が知っている!」


「そこら辺も話しますので、早くしましょう。あの人達が戻って来てしまうから」


「……ついて来い。変な動きをしたら、殺す」


「わかってます」


ゴブリンキングの部屋って意外と綺麗なんだなぁと思ってしまった。なんとなくイメージでこう、散らかってるイメージがあったのですが綺麗好きなんですかね?


「魔王様、今よろしいですか?」


「ゴブリンキングか? どうした?」


「この連絡方法が何故か人間に知られています」


「え、なんで?」


「わかりません。その人物を今ここに連れて来ています。というより、その本人が我々と何か話したいと申しております」


「わ、わかった。その人間と話そう」


「おい、こっちに来て話せ」


この世界では初めてなんですよね。はぁ……。なんでしょう、面倒です。


「初めて魔王。私は」


「なんで人間の王女が居るんだよ!」


「知ってもらえていて光栄です」


「おい! どういう事だゴブリンキング!」


「いや、勇者が攻めてきまして。その中の1人が王女だったというわけでして」


「なんでだよ! なんで王女が前線に立ってんだよ! いや、たしかに誘拐に向かわせた魔物からはかなりの頭脳派と聞いているが……」


「いえ、この人間の王女は遠距離戦、近接戦どちらもかなりの腕前でしたよ」


「強いのか」


「そこそこの腕はあるかと」


「いやでも、王女だぞ? 普通はその、戦うのか?」


「その理由が先程も言いました通り、我々と話したいから来たとの事でして」


「意味がわからん……」


相変わらずギャーギャー煩い魔王ですね。話が進まないじゃないですか。時間の無駄ですよまったく。


「人間の王女。お前の用とはなんだ?」


やっとですか、真実をどこまで受け止めてくれますかね。


「実はですね、私は魔王側になりたいんです」


「はぁ?」


「おい、魔王様の前でその様な嘘を」


「私は、時間を精霊王に戻されてしまいました。本来なら勇者を抹殺してのんびりと暮らしていたはずだったんですよ? ちなみに、魔王と一緒に殺しました」


「え?」


「何を言ってるんだ?」


まぁ、そんな反応になりますよね。だから話しましょう。前の世界の事を。勇者の殺し方以外にね。私が何故そちら側になる理由。幹部の皆さんの人?達の事。神界での出来事。小声で魔王の弱点。ぼかしつつ、異世界での出来事。それらを全て話し終えたら2人の反応は。


「私は死ぬ事になっていたのか……。今生きてるのは王女の誘拐に失敗したから? 複雑だけど嬉しいなぁ」


「なんでだよ。世界を手に入れたんじゃん。なのに面白くないからやり直しって、何? むしろ面白く殺せってどうやんの? 我にどうしろと?」


魔王が自分の世界に入ってしまい、私はどう話しかけたらいいのかタイミングが……。

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