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王女は理想のために魔王のところへ行き勇者抹殺の計画を企てる  作者: 怠惰
とにかく王女様は計画して行動する
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計画50

「その勇者はお前達の話によると、不死の厄介者だったんじゃなかったか?」


「はい。私達ではあの勇者の不死の状態を解除するには至りませんでした。むしろ下手に変な強化や、地味に使えない弱体化の方法をしてしまう始末でして……」


「そんな面倒な者をよくも連れて来たな」


連れて来たというか、私達が巻き込まれてこの世界に来てしまっただけなのですがね。


「それで、そういった不死化を解く方法をご存知ないでしょうか?」


「そもそも不死の奴を知らね。異世界を知らなかった。そんな魔王にどう対処してほしいと?」


あーー。まぁ勇者はこの世界に置いてけばいいですよね?元の世界にとりあえず帰る方法を探しますか。

とにかく、来たときと同じ門を作成したらきっと帰れますよね。


「こちらの世界でも不死に関しては情報は無しですか。それでも、異世界への帰還ならなんとかなるはずなのです。私達が来た原因の門をもう一度作ればいいんです。なので、その素材を集めるのを手伝ってくださいませんか?」


「お前、よくもそんな事を次々と頼めるな。俺一応魔王なんだけど?」


「ならば、我も魔王だ!」


「あん? テメェもう起きたのか」


「ガドさん、ガドさん。今度は話をややこしくしないでくださいね? 私達が帰れるかどうかの重要な話なんですから」


「任せろ」


心配だわ……。また変な事を言わないでしょうね。


「先程は失礼した。なかなかの力を持っていたな。やはり魔王だな。そして、同じ魔王として頼みたい! 我らが元の世界へと帰還するための手伝いをしてほしい。この世界の事はサッパリわからぬ。材料がどこにあるのかも検討がつかない。この世界の異物である我らは早くにいなくなったほうが良いと思うが、どうだ? 何が起こるかわからんぞ?」


「ふむ、たしかに。世界に魔王が2人ってのは変だよな。お前の影響で何か変な魔物ができたら余計に面倒だし」


あ、思案顔になりましたね。これはいい感じなのでは?もしかして、協力してもらって……。


「俺がお前を殺しても問題は解消されるよな? お前は不死身じゃないんだろ?」


え?


「な! そ、それはわからん。我の本来の核は異世界にあるからな。本来なら我は核さえ残っていれば死なぬ」


「なんで異世界に心臓があるのに、お前は普通生きていて、行動できてんだよ……」


「……さぁ? 何か特別な力でも働いているのか、魔力で辛うじて動けているのか不思議だ」


「はいはい。もうお前達は本当に面白い奴らだが、厄介者でもあるなぁ」


「それで? 協力はしてくれるのか?」


「わかったよ、さっさと帰らせてやるよ」


「やったな王女よ! 王女? 何故そんな考えてます顔をしておるのだ? 協力をしてくれるのだぞ?」


「え? あ、はい。ありがとうございます、ギルス様」


「言っておくが、お前達だけではなく勇者もその門にぶち込んでやるからな? 面倒な勇者なんぞこの世界に置いてやるもんか」


「ええ! 別に勇者は我らを狙っているだけで、お主を狙っているわけではないのだからこちらの世界で貰ってくれても良くないか?」


「ふざけるな! そんな危なそうな奴を置いてくな!」


ギャーギャーうるさいですね。こっちは何か今大切な事を見逃した気がするというのに。なんでしょうか、このなんというか引っかかる感覚。

私達が帰る事に関して何か見落としがあるのでしょうか?門は膨大な魔力の入った魔石を魔法陣の上で作って、魂を生贄に呪文を唱えれば良いだけですよね。呪文もまだ覚えていますし、魔法陣も魔王が覚えているはず。魂は誰かをまぁ……はい、なんとか、ねぇ?

とにかく帰ることにはなんにも疑問はないのですが、さっきの魔王達のやり取りがどうしても気になってしまうんですよね。


「おい、王女よ。お主からも説得をしてくれ。この世界に勇者を置いていかねば、我らの世界でまた不死身の勇者を相手に対策を考えねばならんのだぞ。いや、今度は速攻で乗り込んで来て殺しに来るから我らに策を考える時間は無い」


「まぁ、あの殺気ですもんね。戻った瞬間に私は間違いなく殺されますね……。まお、ガドは別にまだいいじゃないですか。核さえ破壊されなければ死な……な……い!」


そうだ!何で気がつかなかったんでしょうかね!


「どうした?」


「ギルス様!」


「あ? 俺? なんだよ」


「もし今から話す内容に納得していただいていただけたら、この世界で勇者を殺すのに手を貸す事を約束してくれませんか!」


「お、王女? 勇者は不死身なのを忘れているぞ? というよりもその話をさっきからずっとしていたのだが」


「いいえガド。私の予想が正しければ、確率はほんの少しですが勇者を殺す事ができます」


「本当か!」


「ですから、可能性があるだけです。私の予想通りになれば殺せます」


「話すだけ話せ。聞いて納得したら手伝ってやるよ」


「納得してもらいますよ。絶対にそして勇者を……」


不死身の勇者が殺せる発言は1人の魔王を混乱させ、もう1人の魔王を愉快そうに笑わせる発言だった。

どうか、この予想が当たっていますように……。そして、あの勇者をこれで永遠に葬りされますように。私は強く祈った。

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