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王女は理想のために魔王のところへ行き勇者抹殺の計画を企てる  作者: 怠惰
とにかく王女様は計画して行動する
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計画49

「お前達の話は今魔王様に連絡したぞ。そしたら、是非会ってみたいとさ。別世界の魔王ってのに会いたいってまったく、魔王様は何を考えているんだ。まったく警戒心が無さすぎだろ、強いからって」


また同じ説明をして、同じ反応をされつつもなんとかこの世界の魔王へ会う約束ができた。ミノタウロスのミノさん、冷静に話せる時はしっかりしている魔物ですね。


「そんなにこの世界の魔王は強いのですか?」


「そりゃな。人間達の王国へ単身で行って、一方的に攻撃を受けながらも魔族と人間の友好関係を話、契約した方だからな」


「それは……。魔王、貴方も同じ事ができますか?」


「うーーむ。そもそも、人間との友好関係なんぞ思考になかったからな。その状態で我が生きていられるとかその前に、我慢の限界がくるな」


「短気なんですね、意外です」


「そっちの魔王と違って、俺達の魔王様は偉大という事だ! ヌワハハハ」


変な笑いかた……。

この世界の魔王がそんなに強くて頭の良い者なんて、この魔王に少しは見習ってほしいですね。それにしてもこの世界の魔王が私達に興味を持ち、会ってもらえて良かった。そんな余所者知らん!なんて言われていたら、どうしようもなかったですからね。


「さて、これから魔王様の城へ行ける転送魔法陣に乗ってもらうからな。これで俺の連絡役は終わりだ」


「ありがとうございます。殺されかけた時はどうなるかと思いましたけど」


「あれはタイミングが悪かったんだ」


ミノさんの案内で転送魔法陣の上に乗り、いよいよ魔王と対面です!と気合いを……。


「あ、魔王様の見た目を馬鹿にするなよ? それをしたらお前ら死ぬからな?」


「は、はぁ。わかりました」


「ふむ、見た目なぁ」


この世界の魔王はそんなに変な見た目をしているのでしょうか?それでしたら、笑ったりしないようにしなくては。

目の前の景色が変化し、大きな門が……。あれ?誰か居るようですが誰でしょうか?


「お待ちしておりました。私は魔王ギルス様のもとへと案内いたします、秘書にてございます。ついて来てくださいませ」


ひ、秘書?魔王に秘書が居るんですか。しかも何気にこの世界の魔王の名前を初めて聞きましたし。今更ながら聞いてませんでした……ね……あれ?そういえば?


「えっと、魔王。少し話したいというか、聞きたい事が……」


「ん? なんだ?」


「とても、かなり、すごーーく、今? という質問なのですが……。この世界の魔王はギルスって名前のようですよね?」


「そうだな。いやぁ、名前を確認していなかったのは危なかった」


「そ、それでですね。私はその、魔王の名前を知らないんですよね」


「何を言っている? 先ほどギルスと知ったではない……。魔王の名前を知らないとは、我の名前か? まさか?」


「だって! 魔王と呼べば済んでいたので名前なんて知るタイミングが……」


「王国に居た頃はどうなのだ? その時に名前は?」


「人間全員が魔王って呼んでますよ! 名前なんて知りません!」


「そ、そうなのか。今更名乗っても、違和感しか感じられんが教えておこう。我の名前はガド、魔王ガド。秘書が待っている、さっさと行くぞ」


ガドですか。これからこっちの魔王と会うのですから名前で呼んだ方が混乱を避けれますよね。

ああ、とても違和感を感じてしまいます。なれなくては。


「お2人、もうお話は済みましたら魔王様のもとへ早くお連れしたいのですが。魔王様も待っておられますので」


「はい、もう大丈夫です。案内をお願いします」


城の中は思っていたより広く、様々な魔物が巡回警備をしていた。時々私達を見て誰?と首を捻る者も居たが、秘書がその者をチラッと見ただけですぐに巡回警備へと戻っていた。

この秘書さん怖がられている?相当な実力者なのでしょうか?


「魔王様。例のお2人をお連れいたしました」


「ご苦労、2人のみ入室を許可する」


扉の向こうから声が聞こえてきたのですが、なんか声が幼く感じるんですが?


「私の役目はここまでです。お2人はこのまま中へどうぞ」


そう言って秘書はどこかへ行ってしまった。


「えっと、ガド開けますよ」


「名で呼ばれるのは、とても違和感があるのだが?」


「しょうがないでしょう。これからこちらの魔王と会うのですから、魔王って呼んでいたら混乱しますよ」


「我慢か」


そんな事を言いながら私達は扉を開け、入室した。そして、椅子に魔王ギルスは座っていた。


「よく来たな。厄介者達よ、これからのことを色々と話そうではないか」


「は、はい」


「お主がこの世界の魔王か」


「ああそうだ! 俺こそ魔王ギルス様だ!」


目の前の魔王は小さい。なんか子供って言ったら駄目なのでしょう。しかし、どう見ても年下の子なのですが。本当に魔王なのでしょうか?


「初めましてこの世界の魔王ギルス。我は聞いているとは思うが、異世界の魔王だ。そして、こっちに居るのは異世界の人間で王女だ。何か質問はあるか?」


魔王は何も感じていないようですね。魔族的には別に見た目は関係ないんでしょうか?しかし、ミノさんが言っていたあの注意はこの事なのでは?そしたら、私だけではなく魔王にも何かしらの驚きがあると思ったのですが。


「名前を教えてくれ! なんて呼べばいいのかわかんない」


「我はガド、こっちはリーンという。我からも質問して良いか?」


「いいぞ」


「そのなりで魔王とは、本当なのか?」


え?ちょっとコイツ何を言ってんの?今何を言っちゃいました?


「あ?」


「いやな、そのような幼き姿で魔王とは凄いなと感心して……」


魔王、ガドの言葉は続きませんでした。何故ならもう1人の魔王ギルスに吹き飛ばされて、壁にめり込んでいますからね。

なんで注意された事を忘れているんですかあの馬鹿さん。


「俺にそんなこと言うなんて、死にたいのか?」


「魔王ギルス様! 申し訳ございませんでした。こちらの魔王はかなり単純思考なので、できれば寛容な御心で許しください。お願いします」


「フン。馬鹿な王とは、そちらの世界の魔族が可哀想だな。まぁいいか、話し合いだ。色々と話してもらうぞ? まぁ、アレはしばらくは気絶しているだろうから、お前が話せ」


クソ魔王め……。余計な事をするから!


「わかりました。お話をさせていただきます。私達は元の世界への帰還を目指しています……が、ギルス様? 唐突ですが貴方は勇者を殺せませんか?」

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