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王女は理想のために魔王のところへ行き勇者抹殺の計画を企てる  作者: 怠惰
とにかく王女様は計画して行動する
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計画47

「えっと、お前達は勇者を殺したくても殺せないから元の世界に戻そうとしたけど、勇者の予想外の反撃で巻き込まれてこの世界に来たと。しかも、その勇者もこの世界にいるというおまけ付きで……。意味わかんねぇ」


まぁ普通の感覚ですとそうなりますよね。しかし、理解してもらいなんとかこの世界の魔王と会わせてもらえないとこのキノコに話した意味がないですし。


「しかも、お前が別世界の魔王ねぇ? なぁんか微妙。魔王っぽくないんだよ、お前」


「我は本当に魔王だ! どこが魔王らしくないというのだ」


「向こうの世界で人類を滅ぼすとか、世界征服とか……。魔王なのにそんな危険思考がちょっと」


「え?」


「この世界の基準ですと、暴力支配は魔王の器ではないようですね。むしろ、この世界の魔王はどうやって共存世界を築けたのですか?」


「どうやって言われても……。知らん」


まぁ良いでしょう。とにかく、会えるかの話です!


「それでお願いがありまして。私達を魔王居る場所へ連れて行ってくれませんか?」


「はぁ? そんなの無理に決まっているだろ!」


「何故だ。そちらの魔王と話をしたいだけだぞ」


「お前らみたいな怪しい奴らを魔王様のところへ連れて行けるか!」


まぁそうですよね。話のままだと危険人物ですよね私達は。


「ですが、勇者がこの世界にいるというのことはそちらの魔王も危険なのですよ。あの勇者は現在精神が安定していません。なので、この世界でも暴れますよ? そうなったら、この世界の魔族の皆さんや魔王にかなりの迷惑がかかるかと……。そうなる前に対策として私達が知っている勇者の情報と、元の世界へ帰る手がかりが無いかをこちらの世界の魔王と話し合いをしたいのです」


キノコが少し苦い顔をしてこちらを見ています。厄介な奴らだなという感じがとても伝わってきますね。その目をやめてくださいよ。


「仮にお前達がまぁ大丈夫な奴らだとしても、俺は魔王様の場所へは連れてけねぇよ」


「それはなんでですか?」


「馬鹿かお前は。俺みたいな普通の魔物が魔王様にそう簡単に会えるかよ」


「そしたら我々はどうしたらいいのだ。何のためにお主を探したと思っている?」


「いや、そんなことを言われてもな。俺には無理だからとりあえず近くのダンジョンに行こう」


「え? ダンジョンですか?」


このキノコはいきなり何を言ってるんですか。何故ダンジョンなんかに行かなくては?なにかの試練かなんかでしょうか?


「おう、少し歩いた場所にダンジョンがあって、そこにここら辺を管理しているエリアボスがいるから、そのボスに会ってさっきの話をもう1度して魔王様に連絡してもらってからの会えるかどうかだな」


「面倒ですね……。ちなみにそこのボスはどんな魔物なんですか?」


「機嫌が良かったら話を聞いてくれると思うんだけどなぁ。あいつは少し短気だからなぁ」


「いや、だからそやつは誰なんだ?」


「ミノさんっていって、さっきも話した通りのここら辺のエリア担当ボスだ。ダンジョン管理もしていて、最近は寝てないって噂もあったからなぁ。イラついてるかもしれねぇな」


「あの、ミノさんだけではどのような魔物なのかわからないのですが……」


「ああ、そうか。ミノさんはミノタウロスって種族なんだ。そん中でも1番の力自慢でここの担当になったんだ」


「元の世界にはミノタウロスは居ましたか?」


「居たな。お主が来て、計画通りに勇者との戦闘禁止令を出したらかなりの不満があったらしくてな。他の血の気の多い魔族で集まっては週に何日かは、戦っていたな……。壊れた備品やなんやかんやの経費が高かったなぁ」


魔王が遠い目をしている。あれですね、私が勇者に余計な戦闘経験をさせるな!って言ったせいでそんなことになっていたんですね。その、すみません。


「えっと、それではそのミノさんの居る場所へ連れて行ってください。お願いします」


「お前達、ミノさんの機嫌が悪かったら俺を守ってくれよ?」


「はい! この魔王が体を張りますから!」


「我か」


「私では無理でしょう?」


「まぁ、それは……。いや? お主はわりと我に攻撃していなかったか?」


「あんなほのぼの展開でやるような戦闘が、通用するとでも?」


「ほのぼの展開……」


あんな気の抜けた時にやる私の攻撃が、張りつめた時に効くわけない!というより戦うのがあんまり得意ではないのですから、やるわけない。


「人間の嬢ちゃんは戦えねぇのか」


「ええ、こう見えて私は王女ですし」


「は?」


「え?」


「王女って、偉い人間の?」


「まぁ、そうですね。言ってませんでしたか?」


「聞いてねぇよ! なんで王女が魔王と行動しているんだよ! お前達の世界観では敵同士だよな? そうだよ、そういえば普通の人間でも一緒に居るのはおかしいんだ。どうなっているんだ?」


やはり、気になりますか……。避けては通れないようですね。


「私は自ら進んで魔王に協力をしているのです」


「なんか複雑な事情でもあるんだろな」


「ええ。私は勇者がここに居る魔王を倒してしまうと、結婚しなくてはならないのです!」


「おう、で?」


「?」


「いや、だからその事情ってのはなんだ? 結婚すると何かまずいのか?」


「え? 私は魔王を倒したら勇者と結婚だなんて、そんなご褒美賞品扱いが嫌なんですよ。私は、自由に生きたい。だから、魔王と協力して勇者を抹殺しようとしているのです!」


私が高らかに宣言すると、キノコと魔王が何かを話していました。


「なぁ、お前の世界って大丈夫?」


「あの王女がおかしいだけだから、気にしないでくれ……」


「さぁ、早く出発しましょう!」


「ミノさんの胃が保つかな? こんな奴連れて行って」


こうして私達はキノコに連れられエリアボスのミノタウロス通称、ミノさんのところへ向かうのでした。

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