計画34
「それでは帰るぞ」
「ええ、なんだかとても疲れましたね。今回はまぁ強い味方ができましたけど」
今現在私は、神様に憑依されている。魔王が言うにはこの神様は、勇者を封印する方法で排除するわけではないらしい。元々いた世界へ戻すという、この世界から存在を消す方法を教えてくれるらしい。
「強い…味方か…。王女よ、何故憑代の許可を出したのだ?」
「それはこの神様がとても良い神様で、そして私達の願いを叶えてくれると約束してくれたからですよ。それに、私のことも救ってくださるとも言ってくれて、凄い神様ですよね」
「何か話さなかったか?その…なんというか」
「何かですか?別に特別な事はなにも話しませんでしたよ。ただ普通に救ってやろうと言われたくらいです」
「そうか」
魔王の顔が何故か悩ましい顔になっているのですが、何かあったんですかね?勇者を消してくれる神様が味方になってくれたのに、何故そんなに不安そうなんでしょうか?
それにしても、神界は楽しむ場所ではないですね。もう少し観光地化していただけたら嬉しいのですが。あ、そうだ。
「そういえば魔王聞きたいことが」
「なんだ?」
「城の皆さんにお土産は買わないのですか?」
「…早く帰るぞ」
魔王からの呆れられた目を向けられながらも、帰りの道中何かないか探したが見つからず、申し訳ない気持ちでそのまま城に着いた。
「皆の者今帰ったぞ」
魔王がそう言うと久しぶりに会う方々から歓声やら、お帰りなどの声が聞こえてくる。
会議室
「というわけで、神界では本来の神達の協力を得ることができなかった。しかし、今現在王女の体内にとある神様が憑依している。その神様は我々に協力してくださるとのことだ」
「質問なんですが、その神様はどのようにして我らに協力してくださるのかのぉ?」
「加護を消す事はしないらしい」
「加護を消さない?なら何してくれるんですか?」
「この世界から勇者を別の世界へ移行するとのことだ」
そんなことが、などの言葉で会議室内が騒がしくなる。それはそうだ、私自身も最初に聞いた時は何を言っているのか理解できなかった。そんなの不可能だとも思っていましたし…。しかし!きっとこの神様ならできるのでしょうと希望をもっています!
「ちなみに、その神様と話すことはできないんですか?」
「王女、いや神様。お話を聞いてたと思います。もしよろしければ出てきて我々と話をしてくだされませんか?」
「…………無理ですね、私のままです」
「本当に神は憑依している?」
「本当です。私自身記憶が無い時があって、その間何をしていたのかわかりません。そして目が覚めたら魔王の部屋にいましたし」
「実際に見たのは王女で、話したのは王女と魔王様だけ。それだけで本当に神なのかって信じていいのか、しかも話の内容がなぁ。俺はイマイチその神ってやつを信じられてないんだが」
「しかしなローガン、今現状で我々に力を貸してくれるのはこの神様だけなのだ」
「魔王様ぁ?なんでぇこの神様はぁ、わざわざ王女の体を借りてるのかしらぁ?普通の神様って、ちゃんとした姿をもってなかったかしらぁ」
「ハァ、せっかく手伝ってやるってのに酷い言われようだな」
全員の目が王女に向く。王女はさっきまでと雰囲気が違ってどこかいつも以上に偉そうな感じである。
「どーも、魔族の皆さん。俺が王女に憑依している神だ。そして今回お前達の敵である勇者をどうにかしてやる、肝心な魔法を教えてやるのもこの俺だ。わかったか?」
「神様、我々は未だにその貴方が言ったことが信用できないというか…」
「信用するしかないだろ?お前達にはもう俺しか頼る相手はいないんだからよ。いいから、俺のいう通りにしとけ」
「…そういうことだ。皆の者、言う通りにして勇者を排除するぞ」
その後全員が納得していないながらも勇者を排除する準備が始まった。準備そのものは難しくなかった。私が神様に成り代わられてるときに指示は出されたらしい。
「そこの異世界への門、ちゃんと魔法陣の中に収まってるよな!」
「問題はない、それよりもこの魔法陣のこの部分教えられたのと少し違ってないか?」
「本当じゃねぇかよ、誰だ!ここ書いたの!」
このように皆んなで頑張りながら準備をしております。そして魔王は…。
「まだ…魔力が必要なのか…疲れたぞ」
発動の為に魔力を魔石に込めまくって辛そうにしている。膨大な魔力を持っている魔王が嘆いているとあって、この魔法はそれだけ凄い魔法なんだろうやはり。
なんやかんやとあり準備ができた。今私の目の前にはでっかい門ができている。
「これで、勇者がこの世界からいなくなるんですね」
「ああ、そういう説明だった。いやぁ…長かったような短かったような。これで勇者も終わりか」
あの勇者がいなくなって、この世界はきっとこの魔王ものになるんだろう。そして私はその世界でどんな風に生きようか。
「それで、この後はどうするのですか?」
「ん?そうだな…わからんから神様に聞くしかない。ということなので、出てきてくれませんか?」
魔王のその言葉を最後にまた意識が…。
「おお、しっかりとできてるじゃないか」
「はい、神様に言われた通りに作りましたので問題は無いかと」
「それでは最後の仕上げだ」
「何を用意するのでしょうか?」
「用意はもうできている、素材もここにある。そう!この女、王女の魂を使うんだ!」
「…………何かのご冗談でしょう?」
フハハハハハハ!そんな笑い声が王女の口から出て、魔王は固まった。
「何か問題でもあるのか?こんな人間貴様にとってどうでもいい存在だろ?お前の目的はこの世界を手に入れる事!魔族の世界にする事!ならば人間の王女の魂を犠牲にしても問題ないだろう」
「ッ…は、はい」
「これでこの俺は肉体を手に入れることができる!素晴らしいぞ!さぁ、魔法を起動させよう」
「待ってください!肉体を手に入れるとはなんですか!?」
「ん〜?あー、そうか。もうここまできたんだ隠すこともないか。俺は約100年前に神を殺そうとして何故か俺が死んでしまってな。まったく理解できんよ」
「貴方は…神様ではないと?」
「何を言っている、俺は神だ。お前も見ただろ?グズな神達を。あいつらこそ神ではない!本当の神はこの俺ただ1人だ!」




