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王女は理想のために魔王のところへ行き勇者抹殺の計画を企てる  作者: 怠惰
とにかく王女様は計画して行動する
33/92

計画30

申請から1週間、今日やっと神様に会えるらしい。都合上2人の神様と同時に会って話をするとの事です。

それにしても長かった。魔王に許可を貰って神界を冒険してみたが…特にコレといった珍しい物も無く、拍子抜けでしたわ。食事に関しても、おぉ!美味しいって驚くほどでもない。そう、神界の生活レベルは地上とそんなに変わらないのだった。神界…神様に会えるだけですね。


「どうした王女?ボーッとしておるが、疲れているのか?」


「いえ、この1週間を思い出していたんですよ」


「そうか。どうだった?かなり刺激的だったか?」


「えっと、そうですね。食事の材料が神話生物だったり、地上と違ってなんでここだけ人間と魔族が普通に仲良くしていられるのかという謎に関してはとても刺激的でしたね」


「うむ、此処では争い禁止が暗黙のルールだからな」


「そうなんですか?」


「ちょっとした喧嘩くらいなら問題無いが、ガチ喧嘩だとな…。神界から戻ったら後悔するぞ」


「後悔?」


「天罰が執行される」


「そんな風になってるんですか。例えばどのような罰が?」


「我が聞いたのは雨に濡れてな」


「その程度ですか」


「そして、雷を落とされる」


「威力の底上げが恐ろしいですね!」


地味に恐ろしい罰の内容を聞きながら神様のところへ向かう。ここでは絶対に他人と喧嘩しないぞと、心に誓い。

神界総合案内に再び来た私達は近くに居た天使に、神様に会いに来た事を伝えると。


「予約票はありますか?」


「この2枚、この加護と寿命の神様に会えるはずなのだが」


「はい、確認できましたのでこちらへどうぞ」


天使に案内されて進み、だんだんと緊張感が出てきた。本当にこれから神様に会うんですよね。


「この扉の向こうにお2人はお待ちでございます。どうぞ、ごゆっくり」


そう言って天使は去っていった。


「いよいよですか」


「願いを聞いてくれるのか…」


「神様を待たすのもなんですし、早く入りましょう」


「ああ。行くぞ!」


扉を開けると…。


「どうよ!ツーペア。しかも、キングのツーペアよ!勝てるかしらね!」


「あのな、ツーペアで勝てると思うなよ?俺はフラッシュなんだよ」


「嘘!ちょ、ちょっと待って!」


「待たない。ほら、早く誰かの加護見せろよ。奪うかどうか考えるから」


「そんな〜、せっかく頑張って考えた加護なのに…」


部屋の中で男女がポーカーですかね?賭け事を行なっており。更にはおそらくは加護の神であろう女が負け、男に何かの紙を渡している。何ですかこの状況。


「ん?あ、もう予約の奴等来てんじゃねぇか。加護神、後でな」


「私は何故毎回勝てないのでしょうかね…」


「あの、失礼ですがあなた方は」


魔王が恐る恐ると質問すると、2神はこちらを向き話し出した。


「俺は寿命の神だ。そんで、こっちで落ち込んでるのは」


「加護の神です。初めまして」


「そんで?俺らに用事ってのは何だ?」


こんなギャンブルをしているような神様で、大丈夫なのでしょうか?


「我らの願いは今現在地上で活躍しております、勇者についてです」


「勇者ですか?」


「はい。勇者には死んでも我が生きている限り蘇る事ができる事ができます。その蘇生効果といいますか加護といいますか、失くしてもらえないでしょうか?」


「待てよ、勇者は人間だろ?魔族のお前の意見で勝手に加護消せるかよ」


「なので、ここに人間代表として王族であります、人間の王女も参加させていただかせてもらいました」


「初めまして、人間代表の王族。王女のリーンと言います。私からも勇者の加護でよろしいのでしょうか?あの蘇る効果を無しにしてほしいと、思っております」


「貴女は人間なのよね?何故勇者のマイナスになる様な事を?」


これは…正直に言うべきでしょうか?でも、結婚したくないからって言っても平気な雰囲気ですかね。でも、下手に嘘を神様に言うのは…。


「なんだ?魔族にでも脅されてんのか?」


「…いいえ」


「じゃあ、なんの理由で魔族の味方になる事してんだ?」


「その、私の将来に関わる事と言いますか…」


「貴女、未来予知の加護を持っていますの?」


「持っていません…」


「はぁ?ならなんで将来がどうのこうのって言った?」


こうなったら、言うしかないのか。チラッと魔王を見ると、コレから私が何を言うかわかっているだけあって複雑な顔をしていた。


「その、勇者が魔王を倒し世界を平和にしますと私は勇者と結婚させられるんです」


「で?」


「それだけです」


「…………ん?は?」


「えっと、王女さん?結婚させられるからどうしたの?」


「私は勇者と結婚したくないんです。魔王を倒したら、私と結婚!なんていう物扱いは嫌なんです!なので、勇者を抹殺したいんです!」


2神が固まっている。この空間に沈黙が…。何でしょうかね、デジャヴ?前にもこんな事があったような?


「お前、人間だよな?」


「はい」


「結婚が嫌で魔王の味方に?」


「はい」


「「ハァァァ?」」


その後、色々と神様同士でこの人間ありえねぇーとか理解ができないのですがなどと、数分間混乱の空気になったがなんとか収まった。


「とりあえずだ、理由はもうなんかどうでもいい。人間の考える事なんかよくわからないのが、改めてわかった。でも、加護外すだけならなんで寿命の神である俺まで呼ばれた?」


「それは蘇りは生き死にに関していたので、寿命の神様にも了承をと思いまして」


「別に、伸ばしてくれとか今すぐ殺してくれとかじゃねぇからなぁ。まぁ、その慎重な行動は正しいぞ。んで?加護神、できんの?」


「ちょっと待ってくださいね、今勇者の記録を出しますので」


加護の神がファイルを手に取って、ページをパラパラ捲る。


「ありました…え?」


「どうした?」


「ちょっとこれは、難しいですね。私1人では決められませんよ」


「な、何でですか!?」


「王女さん、この勇者の人間はこの世界の人間ではないでしょう。それが問題なんですよ。異世界の人間なら、えっと転生の神も居ないと」


「兄貴呼ばなきゃいけないの?今から?無理無理、あんな年中無休仕事神が来れるわけねぇって。今の仕事になってから顔見てねぇな、そういえば」


「そういうわけなので残念ですが、お2人の願いを叶える事はできません」


嘘ですよね?こんなに時間がかかって、無駄に過ごしただけって…。


「あの、寿命の神様は連絡を取る事はできたりしませんか?この場でOKだけもらう事など」


「なめてんのか?無理に決まってんだろ。ほら、お前らの願いは無理って決まったんだ。さっさと帰れ」


「魔王…」


「転生の神様は予約しても…年単位だ。諦めるしかない」


「そんな」


そんなに忙しい神様の予約とか…。どうすればこの状況を。


ガチャ


扉が開く音がしたので振り向くと、誰かが居た。誰?


「あ、まだ話し合い中だったか。また来るな〜」


「いや、もう終わったぞ。何の用事だよ親父?」


え?お父さん?今更ですが、わりと神様達って家族運営なんですかね?そしたら加護の神様は従姉妹とかでしょうか?


「ノルマが終わって暇だったからな、会いに来ただけだよ」


「お疲れさん。大変だよな親父も生命のバランスとかよく分からん仕事」


「慣れれば問題無いさ」


それにしてもコレは!寿命の神様のお父さん、ならば転生の神様のお父さんでもある!チャンスでは!?


「お話中申し訳ございません!!」


「あ?なんだよまだ居たのか。早く帰れよ」


「さっきの願いをその、寿命の神様のお父様に聞いて頂いて判断してはもらえないでしょうか!?」


「何言ってやがるんだ!そんなの無理に決まってんだろ!」


「そうですね、流石にそれは…」


「何の話?」


寿命の神様が転生の神様が居ないと、私達の願いを叶えられない事を大雑把に話をすると。


「ふむ、別に代理で私が受けても良いよ?暇だし。それに、なんか面白そうだしね」


「本当ですか!」


「親父!」


「まぁまぁ、落ち着けよ。後で報告書を息子に渡せば良いだけだし。よし、じゃあ改めて始めようか!」


なんとか首の皮1枚繋がり、奇跡の第2ラウンドが始まる。

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