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王女は理想のために魔王のところへ行き勇者抹殺の計画を企てる  作者: 怠惰
とにかく王女様は計画して行動する
3/92

計画3

魔王城の廊下を、魔王と一緒歩く。なんでも部屋に案内してくれるそうだ。しかし、何故魔王がそんな雑務レベルをしているのだろうか?


「魔王、質問があるのですが?」


「なんだ?」


「部屋への案内。というのは、普通は家臣などにやらせるべきでは? 貴方は忙しいでしょうし」


そう言うと、魔王は目線を逸らし小声で私に言い辛そうに話した。


「いや、これから案内する部屋でな絶対に問題があるから、その……直接我が行く方が早いのだ」


どいうことだ?私はどんな部屋に住まわされるのでしょうか?


「……ここだ」


「……ここが部屋とは、面白いジョークですね」


辿り着いたのは部屋ではない、牢屋だった。


「魔王、文字にすると屋しか合ってませんよ? それと、プライバシーって知ってますか?」


「だってな、本来王女を誘拐して幽閉。そして、人間共によくも勇者なぞ召喚したな。これはその代償だ! とかやる予定だったのだ……。なのに、なのに。味方するとか、なんか言ってくるし? 人間滅ぼしても別にとか言うし? 逆に問うが、我の混乱は計り知れんぞ? どうしろと?」


「そこは臨機応変にしなさい、貴方はこの城の王でしょう。情け無い。そんなトップが何故、1部屋簡単に用意できないのですか? まったく、これから先が心配ですよ協力するにもこの程度では」


そう言い返すと、なんか落ち込んでる魔王(物体)が居る。メンタル弱いてすわね、魔法耐性大丈夫かしら?


「それで、どうするのですか?」


「え?」


「え? ではないですよ。なんですか? まさか、貴方はこの牢屋に本当に寝泊まりしろと? ハァ、私は言ったばかりですよね? この城の王、トップなんですよ貴方。ならばさっさと威厳を見せて、部屋を用意させるくらいしてみなさい。まったく」


「そ、そうだな。少し待っておれ」


本格的に改革しないと、勇者(アレ)は抹殺できないですね。そう思いながら魔王の後ろ姿を見ていた。


数時間後、魔王がやって来て改めて部屋に案内された。その部屋は普通の部屋だった。中に入り、よく見せてもらいましょう。パッと見は特に異常は無いですね。次は魔法で。


「リーリーン」


ふむ、本当に異常は無い。住めますね。


「検知魔法を……何故使ったのだ?」


「そんなの当たり前です。急に用意された部屋ですよ? 何か不備があるかもしれないじゃないてすか。そのために調べるのは当然だと思うのですが、違います?」


「あ、はい。そうだな」


本当に危機感を持ってくださらないと困りますよ?


「それでは、また明日。おやすみ王女よ」


「何を仰っているのですか?」


「ん?」


「これから、明日の会議での作戦もとい計画を決めましょう」


「待て待て待て! それは、各代表が居て話す事でだな……」


「今日居た方々ですよね?」


「ああ、そうだ」


「その方々には、明日この作戦計画でどうか。という意見を提示し、様々な意見を聞いて修正などをする。という方向で考えていましたが?」


「いやぁ……それでは」


「不都合は無いと思いますが?私達で予め作戦計画の土台を作り、その後皆さんの意見で補強する。完璧では?」


「しかし、睡眠は……」


「多少睡眠時間が無くなっても、問題ありません。というより、人間の私より頑丈な魔族の貴方が何を馬鹿な事を?」


「はい、作戦を考えよう」


本当に勝つつもりがあるのでしょうか?やるのなら、徹底的にやらねば……。負けたら、終わりなんですから。


「では、先ずお聞きしますが。勇者パーティーメンバーをスパイだらけにしよう作戦は、どのくらい進んでいますか?」


「そうだな、選んだシフター族は明日には王都に到着予定だ」


「そうですか、早いですね。連絡方法は?」


「我々魔族は同じ種族間ならテレパシーが使える、なのでそれで連絡を取るつもりだが?」


「何故他の手段も用意しなかったんですか! わざわざシフター族の誰かに経由してもらうより、魔王の貴方が直接連絡取れるか、会議に居た代表の方々に連絡取れるようにした方がスムーズでしたでしょう!」


「いや、あのしかし」


「それで、シフター族はちゃんと城の中に?」


「いや、シフター族は自分達の住み家があるから……」


「連れて来い」


「はい?」


「連れて、来い。ただでさえ連絡がワンテンポ遅いのに、さらに遅くする? なんの為のスパイ活動だ? 情報は新鮮じゃないと意味ねぇんですよ。わかってんですか?」


「す、すみません。直ぐに手配します」


「次、レベル上げの件は?」


「レベル上げ?」


「私と話ましたよね? なんですか? その頭の中は何が入ってるんですか? 思い出せないなら、かち割って中に作戦書いた紙を入れましょうか?」


「ひっ! あの、我はその」


「あーー! こんな魔王で勝てるんですかね! 私が誘拐されたって事になってるから、勇者が頑張って鍛えてるって話したでしょうが! だから、王都周辺の魔物達にレベル上げをしろと!」


「はい! すみません! まだ、できてません」


「ハァ、明日の朝には連絡してください。じゃないとドンドン差が出ます。勇者は加護があるのか、強くなる速さが異常ですから」


「わかった、朝1番に連絡しよう」


「そうだ、その時に周辺の薬草などの人体回復系の材料になりそうなのを刈るよう伝えてください」


「それは良いのか?」


「何故です?」


「回復ができなくなるぞ?」


何言ってんだろうかこの魔王は。


「回復をさせたいんですか?」


「ワンサイドゲームはつまらないではないか!」


なんですか?このドヤ顔は?というよりゲームってなんです?


「ゲームってなんですか?」


「フッ、王女よわかってないな。我は強いのだ。故に勇者はある程度強くなければ……、やる気が起きぬのだ!」


「そんな、死亡フラグは今すぐに破棄しなさい。貴方の生存に私の未来がかかっているんですよ?」


「しかし、未来と言っても結婚であろ?」


「ホーリーニードル」


魔王に無数の光の針が襲う。


「なっ! 痛い、痛いから! 王女よ、止めるのだ!」


「貴方は、自分が景品扱いで結婚させられるイラつきをわかっていないようですね。これは、作戦を考える前に、意識改革が必要。お話です!」


それから朝までずっと魔王は正座で、王女にいかに今の苦しみが辛いかを永遠愚痴られた。そして、計画は……立てれなかった。


翌日朝。森にて。


「ゴブリンキング、ゴブリンキングよ。居るか?」


「ま、魔王様! こんな朝早くに連絡なんて、何かありましたか!」


「あぁ、王都周辺を統括してるお前に命令だ」


「はい、なんでしょう」


「先ず、お前達……レベルアップしろ」


「え?」


「勇者が強くなってる可能性がある、そのためにお前達もレベルアップしておけ」


「なるほど、目安はどれほどで?」


「目安は今のレベル10倍だ」


「……聞き間違いですか? 10レベル上げろですか?」


「10倍だ」


「……いや……それは……」


「最低、5倍」


「……」


「あと、回復系の材料になる薬草を刈れ」


「……」


「その、頑張ってくれ。私もこんな事を言いたくな……」


プツン


「無茶苦茶だ、いつからブラックな環境に……」


「ゴブリンキング様ーー、どうしました?」


魔王城


「余計な事は言わなくて良いですよ、士気が下がります」


「いや、もう絶望感伝わって来たのだが。ゴブリンキング、大丈夫だろうか」


「というか、そんな水晶の連絡方法があるのですね」


「ああ、これは各部署にある」


部署ってそんな感じなんですか、ここ?

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