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王女は理想のために魔王のところへ行き勇者抹殺の計画を企てる  作者: 怠惰
とにかく王女様は計画して行動する
20/92

計画19

あまりにも本の内容がふざけた内容過ぎていたので、馬鹿馬鹿しく思い読むのを途中で放棄しました。そんな事、言い訳になんかなりません…。私の愚かな行為で意図せずに勇者に余計な力を与えてしまった。ありえない回復力…これは相当なアドバンテージになります。ただでさえ、倒せないという事で悩んでいたのに、そこへ超回復力まで加えてしまった。これで圧倒的に勇者は有利になってしまった。とにかく、会議室へ戻り私の罪を…。ふらりとしてしまった…足元がしっかりとしていない。力が入らない。全身に気怠さが襲っている。あはは、情けないですね。なんとか私は会議室に着き、中へ入るとモニターやらは全て既に撤収されていた。そして、いつもの会議スタイルに全員入っている。


「王女、何かわかったのか?」


入室した瞬間に問われるこの質問。この当たり前の質問に答えるのが怖く、情けなく、とても辛い。しかし、真実を伝えなければいけない…それが私の犯した罪への義務の1つなのだから。口の中が乾くのを感じ、刑を執行される罪人の感覚ってこんな感じなのでしょうか。と思いつつ、口を開いた。


「はい、全て私のせいです。皆さん申し訳ございませんでした。本を最後まで読んだところ、あの薬は確かに不死性を消す効果があります。しかし、副作用としてありえない程の超回復力を身につけます…。ここまでしてもらったのに、本当に申し訳ございません!」


誰もが何も言わない中で、1番最初に口を開いたのは、魔王だった。


「王女よ、他に書かれていた事は本当にないか?」


魔王からのさらなる問い。慎重になるのも当たり前だ。私のミスでとんでもない、取り返しのつかないことをしてしまったのだから。


「はい。妖精の王の涙には、それだけの効果があったようです」


「そうか。他の材料、そう黄金の林檎には他に効果は無かったのか?本当に?」


何故そこまで?


「ミスを犯した身を承知でお聞きしますが、何故そこまで質問を?」


「実はな…」


王女が図書室へ行った後、画面前で全員はこれからのことを色々と考えていた。まさかの勇者の強化、どうすればいいのか…。


『痛ぇ!痛い痛い痛い痛い痛い痛い!』


『どうしたんですか!勇者様!?』


『怪我は治ってるんだけど、なんかまだ体の節々が痛くて…。少し動くだけで、なんかスッゴイ痛い。強烈な筋肉痛って感じ』


『先程の戦闘でかなり動いていたが、そんなになるまでのことか?』


『なーんだよ、もっと鍛えろよ。勇者様!」


カルが勇者の背中をバシッとと叩いた。すると。


『ギヤァア!』


勇者は地面を転がり出した。


画面前で、これからのことを話し合っていた全員と、勇者について来た3人は目を丸くして、驚いた。


『なんだ…この痛がり方は』


『カルさん!やり過ぎでは…』


『ちょ、ちょっと待てよ!俺はそんな軽く叩いただけで』


『ハァ、ハァ。べ、ベルさん。カルさんは本当に俺を軽く叩いただけです。なのに何故か凄く痛みが全身を襲ったんです。もしかしたら、薬の副作用かもしれません…』


『え、そんな』


『あれだけの回復力を手に入れたんだ。もしかしたら防御力がかなり低くなってしまったのか?』


『勇者様?』


『とりあえず、宿に戻ろう。ザザールも居るし』


という事があったらしい。少し叩かれただけでそんなに?薬にそんなデメリット効果が…。


「というわけで、何か無かったか?」


「何か…あ!黄金の林檎の副作用です!」


「やはり何かあったか」


「黄金の林檎は食べると不死性が無くなるのは本当らしく、その代わり痛覚が倍増するとのことです」


「では、薬も無駄では無かったな」


「え?」


「そうだのぉ、少し叩いただけでもあれだけ隙を見せる。戦いに有利になるのぉ」


「これからの戦いには、そこら辺も考慮して計画を考えなきゃな〜」


「痛覚異常は有利な事」


「てか、結局殺してないから蘇るのかどうか確認できてねぇじゃん!どーするよ?」


「その計画をこれから考えるのだろう」


何故皆さんこんなに普通に?


「あの、私は…」


「どぉしたの?王女は何かぁまた計画思いついたのかしらぁ?」


「いえその、なにも今回の事で責められないので…」


「責めてどうなる、今回は実験だったはずだ。どうなろうと、次に繋げるしかない。失敗なら他の案を探せば良い」


「…皆さんありがとうございます」


そうですね…私はどうしても失敗に弱いようですね。それにしても、本当に皆さん魔族ですか?優し過ぎません?…次です。今度こそ完璧に勇者の不利になるモノを探して、抹殺への道を歩んでみせます。ドンドン、手数を増やしましょう!悩んでいても仕方ありません!


「さて、これからの計画を考えるぞ!」


「「「「「「おー!」」」」」」


「私も今度はしっかりと失態の無いように頑張ります!」


魔王の一言はいつもの情け無さを感じさせない声だった。

あ、そういえば…シラーさんに頼まなくてわ!


宿にて


「俺が寝てる間にそんなことになぁ。仲間外れな感じ…。てかよぉ、薬でとんでもなく回復できるようになったのに、ダメージにそんなに敏感ならむしろマイナスなんじゃね?なぁ、どう思うよシラー」


「…」


「シラー?」


「…ザザールどうすれば、あの2人は恋人同士になると思う?」


「はぁ?」


「勇者様とベルだ」


「…なにがあったか知らないが、お前疲れてんだよ。少し休め、な?」


「俺は、あの2人を恋人同士にする」


「本当に…どうしたんだ…」

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