計画2
私は誘拐されたのではない、協力しに来たのだ!という事で魔王の城に居る今現在、私の宣言で叫び出したこの魔王は大丈夫なのだろうか?
「いきなり叫ぶなんて、おかしいんですか?」
「おかしいのはお前だ! 人間でありながら、何故魔族に味方をする!」
あぁ、理由を言ってませんでしたか。話さなければなりませんね、私の最悪の未来を。
「お話ししましょう、良いですか? 私達は異世界から貴方を倒せる勇者を召喚しました」
「あぁ、知っている」
「勇者はパニックになってました。いきなり知らない世界に連れてこられたので」
「まぁ、そうだろうな。普通の反応だと思うぞ? 我ももし、いきなり変な世界に召喚されたら戸惑うし」
「そんな事なんてどうでも良いんです。その勇者に、私達は勇気を出してもらおうとしました。そしたら、私の父が爆弾発言しやがりましたのです」
「どんなだ?」
「もし、勇者が貴方を倒し世界を救ったら私と結婚させようと」
「ふむ、で?」
「?」
「いや、だから何故味方をする?」
「今話しましたよね? ボケてます?」
「ボケてないわ! どこに理由があるのだ!」
「勇者と結婚ですよ!?」
「……は?」
「だから、私は貴方が倒されたら結婚させられるんです! 勇者と」
「あーー、うん。なんだ、お前は勇者との結婚が嫌だから味方をする。勇者を殺すと?」
「それ以外に何か?」
「何故だ……少し頭痛がする」
なんだこの魔王は、体調管理くらいしっかりするべきだ。こんなんじゃ、本当に倒されてしまう。
「王女、勇者はその……カッコよくないのか?」
「はい? なんですか? その質問は」
「いや、結婚したくないと言うからな? 見た目がその悪いのかと……」
「失礼な! 私は別に見た目はそんなに気にしません!」
まったく!私は人を見た目で判断するような……そこまで酷くなければ全然構いません!人間は見た目8割で決まり、その後に中身で判断するものですわ!
「……そんなになんだな。では何が不服でこんな事を?」
「結婚ってなんですか? 魔王倒したら結婚って……私は報酬か! 賞品ですか! 私の未来がそんな景品みたいな未来なんて嫌です! ならする事は1つ、変えるだけです」
「なんだろう、この王女が変なの? それとも最近の人間はこんななの?」
なんかブツブツ言っていますね、情緒が不安定なトップって大丈夫ですかね?
「良いですか! 私もこれから、運営に参加するのでよろしくお願いします」
「……マジか」
こうして私の未来への戦いは始まった。
魔王城の会議室にて。
「良いですか皆さん、今勇者は地力を上げてます。まだまだ弱いので今のうちに刺客を送り、殺しましょう」
私がそう発言すると、皆さんいきなり……。
「イヤイヤ! 待って。そんな事できないから! てか、なんで人間がここに居るの?」
「魔王様! あの人間はなんですか!」
ザワザワ煩いですね、ここに人間が1人居ても別に良いでしょ!情報も渡せるんですから。纏まり、今は一丸となって勇者を撲滅するべきでしょう!
「あーー、うむ。この人間は、王女だ。その訳があって我々の味方をしたいらしい……」
ポカーーンと皆様してますわね、早く会議を進めなきゃいけないのに。
「おかしいだろ! なんで普通に受け入れられるんだ、魔王様!」
「落ち着け、ダークエルフ」
「そうだ、人間は信用できない」
「イヤイヤ、この王女はその、大丈夫だ。ローガン」
「本当はスパイなのでは?」
「それは100%無いから、デビル」
「信頼性は、魔王様の言葉だけ」
「混乱するのもわかるけど、勇者に対しての殺意は本物だから。わかってくれエンシェントドラゴン」
「私は、魔王様を信じますので受け入れます」
「ありがとう。ハーピィ」
「とりあえず、理由がしりたいのぉ」
「……聞きたいのか? ドワーフ」
こちらに視線が集まる。そうですわ!これから一緒戦う者同士。むしろお話した方が、私の協力をしてくれる気がする。
「もちろん! お話しします」
こうして、魔王に話した事をそのまま話した。そしたら、皆さんの反応が。
「え? 本気?」
「それで……ここに来たのか?」
「嘘をついているのでは?」
「人間はどうなってる?」
「えっと、はい」
「……」
「それでは続けますね」
「「「「「「続けるな!」」」」」」
ハモった!ビックリしましたわ!何か問題でもありましたかね?
「あの皆さん何か?」
「何か? じゃない! 何普通にしてんの?」
ダークエルフさんは物凄い興奮してますが、何が悪いんですかね?
「お主に聞きたいのじゃが、勇者を抹殺したらその後はどうするのじゃ?」
ドワーフさんはそんな事考えてたんですか、そんなの決まってるじゃないですか。
「私に害が無ければ、人間達なんて好きにしてどうぞ」
全員が固まった。え?コイツマジで言ってる?そんな目をしていますね。
「あのぉ」
「はい、ハーピィさん」
「貴方のお父さんも居ますよね?」
「ええ、そうですね」
「その、助けたいとかは……」
「元々の原因を作ったのは父ですので、むしろ滅んで下さい。って感じなんで平気です」
グッと親指を立てたらなんか、全員がコイツ酷えって目で見てくる。何故だ。
「とにかく、会議です! 進めますよ! ほら、魔王仕切って」
「あ、あぁ。では、勇者が仲間を集め旅に出る時だが……」
「は? 何言ってんですか?」
「え?」
「何を普通に仲間集めとかさせてるんですか?」
「いやだって、仲間は必要だろ?」
「敵ですよ? わかってます?」
「も、もちろん」
嘘ですよね?この人達、本気で倒したいと思ってます?遊びじゃないのですよ?
「魔物の中で擬態ができて、戦闘がそこそこできる奴は誰ですか?」
「それなら、シフター族。アイツらはそういった事ができる」
「エンシェントドラゴンさん、シフター族の誰かを勇者のパーティーに入れましょう。理想は全員シフター族ですが、最低でも1人は入ってもらいます。そこで、スパイや成長の妨害活動をしてもらいましょう」
何故シーーンとするのでしょうか?当たり前ですよね?
「王女、勇者が成長しないとその色々と困るぞ?」
「何がですか?」
「我々と戦う時とか」
「その前に死なせれば良いでしょう」
この時会議室の王女を除いた全員は思った。あ、これなんかヤバイ気がする。
「とにかく、刺客が送れないならその作戦でいきますよ? 良いですね?」
「「「「「「はい」」」」」」
「魔王は?」
「はい」
「よろしい、では準備してください」
この後、シフター族に行き合格点の奴が数人居たのでそいつらを王都へ送った。なんで、俺らは人間の王女に従ってるのかわからない。でも、なんかしょうがないって、気持ちがあるのだからきっとしょうがないのだろう。
「魔王」
「なんだ、王女?」
「私は王都ではどんな噂に?」
「……お前は魔王に誘拐された、可哀想な姫と言われている。そして、勇者がめっちゃなんか頑張ってるらしいぞ」
「そうですか、勇者が頑張ってるんですか……」
「なんだ? もしかして、やは」
「予想外の力をつけるかもしれないですね、王都近隣の魔物のレベルを上げましょう。変な顔してますが、どうかしましたか?」
「……なんでもない、レベル上げはさせておく」
「ええ、よろしくお願いしますよ」
さて、次はどんな計画を考えましょうか。皆さん意識低いですからね。




