計画16
バンッ!勢いよく、堂々と扉を開ける!
「やりましたよ、魔王!私は妖精の涙を手に入れましたよ!」
そう言って魔王の部屋に入る。いきなり開いた扉に魔王は驚き、こちらを見ていた。
「びっくりしたぁ!ノックしてくれないと困るから。てか、帰って来たのか。それにしても、本当に妖精の涙が手に入るとは…」
「ほらこれですよ、後は貴方の宝物庫にある黄金の林檎!エンシェントに頼んでた骨!完璧!やっとです。もうコンプリートです。さぁ、会議を開きましょう!計画を練りますよ!」
「ああ、わかった。しかしその前に、ダークエルフとローガンにもう帰って来るように、連絡するから待ってくれ」
水晶を取り出して、魔王は連絡をしだした。
「ダークエルフ、ローガン聞こえるか」
「魔王様ですか、何かありましたか?」
「すみません魔王様、こちらはまだ妖精王の涙を、手に入れれてません」
「その事なんだが、王女が妖精王の涙をゲットしたから。お前達はもう帰ってきなさい」
「「どうやって入手したんですか!?」」
息ピッタリなお2人ですね。
「まぁ、うん。なんか色々あったみたいだぞ?」
「なんですか?そのフワッとした感じの説明…」
「魔王様も知らないんですか?というより、もう色々とわけがわからんぞ」
「知りたいらしいな。そんな我も知りたいので王女、どのようにして手に入れたんだ?」
急にこっちに話を振りましたね。まぁ、教えてあげしよう。
「交換条件ですよ。妖精王の人間観察モデルに私はなりましたの。その報酬と呼んでいいのか、それでこの涙を貰いましたわ」
魔王が複雑そうな顔をして。
「王女よ、良いのか?それはその、お前は女なのに…」
「相手は妖精ですし、そこまで深く考えない事にしました。それよりも今は、早く薬を作る事です!お2人、そういう事ですので。それでは!」
「「ちょっと」」
プツン
「さぁ、会議です」
「あ、うん」
会議室
「皆さん、これが妖精王の涙です!」
「材料は揃ったわけかのぉ」
「ええ、これで検証ができます。効果があり、勇者が蘇らなくなった時…勝利は目の前です!」
「たしかにぃそうだけど、それはどうやってぇ?飲ます気なのぉ?」
「それをこの会議で決めます!意見のある方どうぞ!」
誰も何も言いませんね、何の意見も無いんですか?私が計画を言うのも良いんですが、生憎思いつかないんですよね。指名しますかね…こういう時はやはり。
「魔王、何か計画はありますか?大物らしくドーンとした計画をどうぞ」
「え、いきなり我か?そうだな…何かの飲み物と混ぜて勇者に飲ませるとかはどうだろうか?」
えっと、馬鹿か?何を言っとんじゃこの魔王は。会議の中身把握しとけや!
「先ず、どうやって勇者に飲ませるのかというのは、どう相手の口に入れされるかを考えてるんですよ、今。なのに、なにが飲み物に混ぜるってどんな意見言ってんですか?話聞いてんですか?それに、この薬は黄金の林檎の果汁と涙で飲むんですよ?そこに変に他の飲み物足したら、効果が出るかわからないでしょう!少しは考えろアホ魔王。聞いた私が悪かったですよ」
全員が魔王を見てる。本当にこんなのがトップで大丈夫なのかしらね!下克上しません?
「いや、本当にごめんなさい。少しボーッとしてただけだから。だからそんな目で見ないで」
「この駄魔王は放置して、なにか良い案ありませんかね…」
「そういえば、骨の杯で飲ませるのもかなり難しいのでは?」
「…そうですね、違和感なく飲ませるって無理ですかね?」
見た目もかなり怪しいですもんね…どんな風にしたら飲んでもらえるんですかね。
「ダンジョンに置くのはどう?」
「ダンジョンですか?」
「そう、ダンジョンに強くなれる薬と噂をして誘い込み、飲ませる」
なるほど、ダンジョン。でもまた経験値が…しかし、他に手が思いつきませんし。
「今現在、勇者はダンジョン近くに?」
「少し遠いが、数日中にはたどり着くのぉ」
うーん、ここは必要経費として割り切って…。仕方ないですかね。
「では…ダンジョンに配置しましょう。今すぐに作製と、誘導方法についてです」
「誘導方法は簡単だろう、勇者達を尾行してるシフター達に誘導させれば良い」
「なら、ダンジョンへの郵送を急がないとですね」
それからは大忙しで、全員が動きました。各魔族に連絡を入れて、郵送ルートの確保。シフター達への連絡をし、薬の噂を覚えさせダンジョンへの誘導方法。ドラゴンの骨の削り、見栄えがどれだけ良くなり、抵抗なく飲みやすい杯にできるか?などなど。徹夜での作業でした。そして、やっと今全ての準備が整ってこれから計画スタートです。成功か失敗か、ワクワクしますね。
勇者達より
「そろそろ次の村に着くな」
「早く休みたいです、最近野宿が多くて体が…」
「俺も、交代の警戒で久しぶりにグッスリ眠りたいぜ」
「…」
「シラーさんも疲れましたよね?」
「ああ、そうだな」(スパイも疲れるな)
「とにかく、次の村では少し休みましょう。体調管理も大事ですよね」
「「おー!」」
「おー」




