計画15
「人間だ」「人間じゃね?」「人間とかなんでいるの?」「人間が何故ここに!」「え?人間が妖精王様と何故一緒に?」「…あれは人間の中でも、上位種の人間…何故」「妖精王様、人間と結婚するのかな?」「妖精王様、今度は人間観察か〜」
…妖精達、煩!!今私は妖精王に連れられ、妖精の国?里?に来ています。それにしても、凄いざわめきですね。あと、そこの妖精…結婚とか言うな。
「とても賑やかな場所ですね」
「皆んな、僕のために頑張ってくれる頼もしい子達だよ!」
「そうなのですか、こんなに大勢の妖精達が居ましたら、色々な動物の観察ができますねたしかに」
「うん!本当に感謝してるよ」
「妖精王様!これで仕事に戻りますよ〜」
そういえば、影が薄くなっていましたが下級妖精いましたね。ここでお別れですか。
「王女もバイバイですよ〜」
「えぇ、お疲れ様でした」
そのまま下級妖精は水のある場所へ向かっていった。そういえば、水の下級妖精でしたね。
「それじゃ!早く動物達のところに行こうか!」
「ええ、行きましょう。あの質問なんですが、危険な動物は居ませんよね?」
「皆んな可愛いんだ〜」
「聞いてます?私の質問を聞いてますか?」
妖精王はスキップしながら目的地へ向かっているなか、私は何故か不安を覚えてしまうのは何故ですかね?今すぐに逃げろ!と本能が騒いでいますよ。しかし、ここで逃げては目的が達成できませんから…我慢です。
「ここが、妖精王の部屋ですか?」
「うん!そうだよ、さぁノンビリくつろいでね」
部屋に入って…先ずは広いという印象。それはいいのです。本やらおそらく、動物を見本にした模型?も問題ない。ですが!動物達を放し飼いするのはどうなんですかね!?害のない動物なら問題ありませんが、あそこにいるワニやら、さっきから上でこちらをじーっと見ている大きな蛇は隔離しませんか!とても怖いのですが!
「ここにいる、動物達は…大人しいので?」
「そうだよ、よくじゃれてくるんだ〜。うわぁ」
そう言って妖精王は猪に突撃され、吹っ飛ばされている。妖精王は人間をよく知らない…簡単に死ぬ事を、よく知らない!
「よ、妖精王様?私達人間はその、結構いえ、かなり弱い生き物ですので、あまりその…」
「何?最初はこの子と遊んでみて!」
そう言って渡されたのは。
「ワン!」
あら可愛い、犬って普通ね。これなら全然戯れれる!
「その狼、最近やっと噛み癖が無くなったんだ〜。可愛いでしょ」
訂正、私は犬と狼もわからない馬鹿です。
「そうですわね、とても凛々しくて可愛らしい子ですね」
そう言いながら、頭を撫でる。恐怖心は絶対に抱きませんよ。動物は怯えてると襲って来ると何かで読んだような?
「おお!狼が気持ち良さそうに…。人間と狼は相性が良いっと」
ああ、なんかメモされてます。次はなんでしょうか…。
あの後、数々の動物と触れ合った。時には引っ掻かれそうになり。他にも、頭からかぶりつかれそうになったり、巻き付かれて締め上げられて死にかけたり、思いっきり蹴飛ばされたり、水中に引き摺り込まれそうになったり。
ああ、そういえば…大群にのしかかられて圧迫死しそうにも、なりましたね。この短時間で随分と死にかけた気がしますね。もちろん、その側では妖精王がニコニコしながら、メモを取り満足そうにしていました。こいつが妖精王じゃなければ…。
「ど、どうでしたか?満足して、いただけましたか?」
「うん!人間と他の動物との相性って結構良いんだね」
「他の人には絶対に同じ事しないほうがいいですよ?泣き叫ばれるか、怒り暴れ出しますわよ」
「そうなの?」
「ええ、間違いなく」
軽く訂正をしておき、そろそろこちらの本題に入らせてもらいましょうか。
「うーん、人間は奥が深いんだね」
「そうですわね、そんな簡単には…理解できる生き物ではありませんわね」
「…」
「あの、妖精王様。お願いがあります」
「何かな?」
「ある理由で、貴方様の涙が必要なのです。いただけませんか?」
「その理由って?」
「…その」
どうする?勇者に飲ますなんて言わなくても、不死の解除の薬を作りたいからって言ったら貰えますかね?作りたいって言ったら、何のために?って追撃が来そうですよね…、どうしましょう。
「理由を教えてくれたら、あげる。それで、理由は何?」
「…私は、不死の解除薬を作ろうとしています。その材料は、黄金の林檎の果汁、1000年生きたドラゴンの骨、そして」
「僕の涙なんだ?」
「はい」
「今回、僕の観察に付き合ってくれたのも、涙を貰うため?」
「…はい。エルフの里では訳あって入手できず、偶々貴方様に接触できる事ができましたので」
「正直だねー」
「理由を話したら、頂けるとおっしゃってくださいましたので」
「何のために、作るの?」
やはり、質問されますか。
「勇者の蘇る加護を消せるかもしれないからです。そのために、作りたいと思ってます」
「ん?勇者って、人間だよね?君も人間だよ?その加護消して良いの?」
「妖精王様は…ご自身の未来が勝手に決められて、それに納得できない未来だった時どうなさいますか?」
「いきなり?そうだなぁ、なんとかしようとするかな?」
「その状況が、今の私です。私は勇者がこのままですと、納得できない理不尽な未来が待っています。ですので、加護を消したいのです」
「…わかった。あげるよ」
「ありがとうございます!」
「でも!もう一つ条件があるよ」
「条件ですか?」
「君を観察させてほしい、今後」
「はい?」
「さっき君は言ったよね?人間はそう簡単に理解できる生き物じゃない。奥の深い生き物って。だから、君は僕のモデルケースになってもらう。良いかな?」
「それは、ここに居なくても…魔王の城に居ても別に構わない条件ですか?」
「別に場所はどこでも良いよ?見張りの妖精を付けて、その妖精を通して観察させてもらうからね。自由に動く人間を観察させてもらうよ」
私の今後の人生のプライバシーが無くなるんですか、一生観察の人生…。でも、相手は妖精です。人じゃありません!こっちとの感性は全く違う、なら別に気にする事ないのでは?よし!
「わかりました。契約致します」
「じゃあ、これがその素材ね」
「ありがとうございます」
妖精王から液体の入った瓶を受け取った。これが涙か。
「それじゃ、監視してる妖精は君には見えないからね〜。何かあったらまた来てもらうかもね。じゃあね」
妖精王は扉を出してくれて、そのまま通ると魔王城の自室に戻って来た。
「これで材料が揃いましたね」




