計画14
部屋に戻ると、さっきの妖精と私と同じ身長くらいの美少年が居た。おそらく、この美少年も妖精なのだろう。
「すみません、お待たせしてしまい。魔王に連絡をしてましたので。それにしてもたくさんの妖精を連れてくるのかと思いましたが、上級の妖精の方ですか?」
「皆んな忙しいって手伝ってくれなかったんですよ。なので、妖精王に手伝ってもらいにいただきましたです」
「そうですか、妖精王ですか…。え?妖精王!この人が!何してんの!」
何いきなりご本人連れてきてんだこの、下級妖精!というよりも、来ていいのか妖精王!引き籠りはどうした?他の妖精は止めなかったのか?
「に、人間だ。これが、生の人間!動いてる」
「それは、生きてますからね。えー、初めまして妖精王様。私は人間の王女、名前はリーンと申します。よろしくお願いしますね」
「なるほど、話し方は固い感じだが時々、崩れるっと」
「妖精王様、自己紹介!自己紹介ですよ!」
フリーダムですか。とても王様感が無いですね。こんな子供が妖精王ってのも驚きですけど、はたして見た目通りの年齢なのでしょうか?
「そうか!自己紹介しなきゃ…どうしよう。なんて言えばいい?え?何をしたら喜んでもらえる?どうしたらいいの、水の精霊!助けて!」
駄目な人だ〜。軽く名前を言えばいいだけじゃないですか。威厳が…。
「大丈夫ですよ、妖精王様の事は聞いておりますので無理をせずに自己紹介をしなくとも。なんでも人間を見てみたいとかで?」
「は、はぃ。そうです」
これ会話できますかね…。なんか難易度が高く感じるのですが、この人とやってけますかねこの後。
「その、何か質問とかはありませんか?」
「少し部屋を見せてもらってもいいですか?」
「ええ、どうぞ」
妖精王が了承した途端に、私の部屋を見て回る。なんか恥ずかしいですね。
「普通の布製と木製のベッドか、こだわりは無いのかな?部屋はそんなに豪華じゃないんだな…。王女だからもっと豪華な部屋を想像してたけど、これは予想外だ!」
その後もはー、とかほーとか言って感想を言いまくってる。これはいつまで続くのでしょうか。
「楽しいですか?」
「その、とても興味深いですね。人間って」
人間というか、王女の生活観察ですけどね。
「本当でしたら、王都の私の部屋を見せた方が本当の私の生活している空間が、わかるのでしょうけど申し訳ありませんね」
「え?ここの部屋が君の部屋じゃないの?」
あれ?私、人間って言いましたよね?それに、妖精王って私が人間の王都から、この魔王の居る城に来たって知ってるはずですよね?どんな情報知識なんですかね。
「ここは、魔王から与えられた仮の部屋ですね。本来の部屋は王都にあります。訳あって、王都の自室に行くわけには行きませんが」
「なんで行けないの?」
「えー、それはですね…」
表向きは誘拐…しかし、本当は勇者を抹殺したいから魔王の元に居なければなりませんし。それを馬鹿正直に言うわけには…。
「どうしても行けないのかな?」
「そう、ですね。誰にも見つからず、ちゃんと私をここに戻してくださるなら、平気かと」
「なんだ!それなら行こう!」
そう言って、妖精王は扉を出した。
「下級妖精〜、先に誰かいないか確認してね」
「わかりましたー」
少しして。
「誰もいませんですよ」
「よし、行こう」
変な形で久しぶりの帰郷ですね。私も続いて扉をくぐると懐かしい私の部屋。あー、こんな部屋でしたね…この際に何か持っていけないかしら。
「おお!やっぱり王女はこんなに凄い部屋に住んでるのか!」
妖精王が興奮している。あ、やめて!そこは衣類系があるんです!恥ずかしいからやめてください!え?香りですか?そうですね、確かに魔王の城の部屋ではアロマなんてありませんからね。はい、このベッドはこだわってますよ。とても眠りやすく作られておりまして…。
この後、自室の案内をし妖精王は満足していた。
「やっぱり凄いですね、差がこんなにも…。環境の変化がこんなにもあるのに、大丈夫なんですか?」
「ええ、平気ですよ。最低限の部屋であれば過ごせます」
妖精王の人見知り具合もなんだか、落ち着いていますね。このまま仲良くなって、涙を…。
ガチャ
「この部屋に誰か居るのですか?」
「「「え?」」」
「リーン様!」
ちょっと、タイミングが!
「どどどど、どうしよう!見つかったよ!どうしよう!」
「妖精王様!逃げましょう!」
「リーン様!待ってください!」
すみません…私には成さねばならない事があるのです!妖精王は扉を出し、全員で逃げた。
「こ、怖かった…」
「大丈夫ですか?妖精王様〜」
「まさか、あんなハプニングがあるなんて…」
少し休憩した後、妖精王が立ち上がり。私に話をしだした。
「ねぇ!人間と他の動物との触れ合いの様子も見たいから、この後は僕達の国に来てね」
「は、はい」
まだ…付き合わされるのですね。先が長いですわ。
王都にて
バタンッ!
「王様!た、大変です!」
「どうしたのだ、そんなに慌てて」
「まったく、侍女がいきなり会議に入って来るとはなんですかな」
「まぁ、落ち着くのだ。さて、そんなに慌てておるのだ。何があったのじゃ?」
「リーン様が謎の少年と自室に現れたのですが、直ぐに消えました!」
「「「どういう事だぁ!」」」
王女様は実は拐われてない、実は重い病気で床に臥せていると一時城下で噂になりました。




