計画11
報告ではあれから勇者は普通に旅をしているらしい。やってる事は道中困ってるは人の手助けや、魔王の攻略法を知ってるか?など人に聞いてるらしい。うん、困ってる人を助けるのは理解できますが、何故一般人に魔王の攻略法なんて聞いてるのでしょうか?そこら辺の人が、魔王の弱点はドコドコだ!なんて言ったらその人はもうその人は一般人じゃありませんよ。絶対に魔族の裏切り者ですよ?そういえば、魔王の弱点ってなんですかね?あるのでしたら聞きたいです。気になります。
いつものように図書室で本を読みながらそんな事を考えていると、1人の魔族がやって来た。
「王女さん、魔王が自室にお呼びですぜ」
「わかりました、今行きます」
そう言って準備をする。今日は会議室ではないのですか。なんのようですかね?あ、そうだ。
「魔族さん」
「なんですかい?」
「貴方、魔王の弱点って知っていますか?」
「何聞いてんだ!?」
「いえ、少し気になってしまったもので」
「こんな下っ端が知ってるわけねぇだろ!てか、知ってても言うか!」
「いえいえ、意外なところに情報はあるものですよ?」
「しつけ、何?魔王の命狙ってる?」
「個人的な知識欲です。それでは失礼します」
魔族の方になにか変な目で見られてしまいましたね、少し時間をかけてしまいました急ぎましょう。…アレ?そうですよね?もし、魔王の弱点が判明したら、そして私が魔王を殺害したら、勇者の蘇りって消えませんか?意外なところに情報がある…自分で言っておきながら気がつかないなんて、情けませんね。
魔王の部屋
「失礼します」
「王女、来たか。今日は報告があってな」
「奇遇ですね、私も重要な報告があります」
「ほう、どんな報告だ?」
「勇者の蘇りを無くせる方法が見つかりました」
魔王が固まってらしゃいますね。
「ちょ、ちょっと待て!我もさっきダークエルフから報告で不死の解除の件をだな、その、えー。どうすれば、えー」
かなりパニックになってますね、しょうがないですね。少し待ちましょう。
「すまん、取り乱した。いきなりの発言だったのでな。それで?その蘇りを無くす方法とは?」
「まったく、この程度で…。まぁ、今はいいです。お聞きしたい事があります。魔王、貴方の弱点は?」
「は?」
「歯ですか?」
「いやいや、違う!いきなり変な事を聞くから驚いたのだ、というか歯が弱点の魔王ってなんだ?しかし何故そんな質問を?」
「それが1つ目の重要な手順ですので」
「そ、そうなのか。我の弱点…。我は心臓を刺されようとも、体を消し飛ばされても、復活できるのだ。それはあの結界の中にある箱の中にしまった、我の魔核が存在しているからだ。まぁ、はっきり言えばあの魔核が、我の本体みたいなものだな」
ふむふむ、なるほどなるほど。
「2つ目です。その魔核を私に渡してください」
「いや、何故?」
「破壊します」
「なんて?」
「貴方の魔核を、私が破壊します」
「いきなりどうしたの!?」
魔王ったらなんでそんな驚いてるんですか?ちゃんと私説明しましたよね?勇者の蘇りを無くすためだって。なのに怯えてますし。不審者見る目ですし。なんなんですか!失礼な!
「もう、なんですか!」
「いや、こっちがなんですかだけど!」
「何か問題でも?」
「問題がないと?」
「?」
「この子、本当に王女なの?公務とかできてた?」
「してましたよ、公務」
「…とりあえず、何故そんな事を思いついたのだ?」
「ああ!そこからですか。良いですか?前にも話ましたが、勇者が復活できるのは魔王、貴方の存在が居るからです。貴方が生命線です。貴方が居ると無限に復活します。あー気持ち悪い。では、貴方が居なければ?あーら、不思議!なんてことでしょう、勇者は復活できません。1回、たった1回殺すだけで、皆んな幸せになれるのです」
「その皆んなの幸せの中に我が居ないことに、気がついて欲しいのだが」
「…世の中には必要な犠牲がありますのよ」
(ニッコリ)
「嫌だぁぁぁ!我はそんな死に方嫌だ!」
「なんでですか!?魔王の死で他の魔族の皆さんが安心できる世界になるんですよ?」
「なんか言葉に違和感!それって普通勇者の台詞じゃね?しかも、魔族じゃなくて人間の安心できる世界!」
「え?だって、魔王は魔族の世界を目指してるんですよね?間違ってます?」
「そこじゃねぇよ!どうした!?王女、なんかポンコツになってないか?」
「誰がポンコツですか!私は最適な方法を考えてるだけです」
その後、魔王が渋りに渋り。会議にかけることになった。
会議室
「えー、皆んな緊急な集まりすまない。今回はその、多数決を取りたく呼んだのだが…」
「魔王様、何を決めるのですか?」
「勇者に何かあったかのぉ?」
「皆さん、勇者の蘇りは知っていますね」
私が問い掛けると、全員が頷く。
「もし、1人の魔族が犠牲になる事でその力を無くせるとしたら?」
全員が驚いた顔をした。
「まさかぁ、わかったの?」
「その方法が犠牲…悲し」
「はい、私は見つけました。たった1人の犠牲により勇者の力を奪い、勝つ方法を」
全員の顔が真剣になる。
「また、犠牲か。しかし、今回はその1人のおかげで全てが変わる。その1人は我等の英雄だな」
「はっはっは、魔族の勇者か。皮肉かのぉ」
「それでぇ?その犠牲になる1人って、だぁれ?」
全員が私を見る。なので私はハッキリと言おう。
「魔王です」
「「「「は?」」」」
「魔王ですよ、勇者は魔王が居ると復活するのです。なので…」
「「「「できるか!」」」」
「うむ、そうだよな。我は信じてたぞ!」
「何故ですか!」
「魔王様が死んだら、その後誰が魔族を纏めるのだ!」
「ここに居る幹部の方で良いではないですか?」
「魔王様は俺たちよりも圧倒的に強い存在、だから魔族は纏まってるんだ!」
「大丈夫です。そこはしっかりと考えています。それに貴方達には上になりたいという気持ち…無いのですか?」
「「「「…」」」」
「え?お主ら、嘘だろ?」
その後、魔王の一喝でこの案は破棄になってしまった。職権濫用は良くないと思います。
「せっかくの最高の計画が…」
「もう、黙れ」
とある村にて
「ありがとうございます、勇者様。助かりました」
「いえ、これくらい。それよりもお聞きしたい事があるのですが?」
「はい、なんでしょうか?」
「魔王の弱点を知りませんか?」
「え?」
「弱点です!」
「い、いえ、知りません…勇者様、力になれずすみません」
「お気になさらず、それでは。この人も知らないか…、いったい誰が鍵を…」
(((何してるんだろう?)))




